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注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
美少女万華鏡 -罪と罰の少女- (ωstar)
2017/7/28
©ωstar
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(ストーリーテキスト:5128字)
<プロローグ>
その子供部屋に踏み入るのは四度目。深見が蓮華と相まみえるのもそう。だが同じ部屋の中にいる仲居は深見以外の目線にすら気づいていない。
そんな蓮華に対して伝えたいことがあるが、彼女はいつものように万華鏡を取り出す。深見は幾度かそれを覗き込んだことがあるが、今に至るまで何を見たのかは思い出せなかった。ただそうして目の前にかざされると、身を乗り出す欲求をどうしても抑えられない。そうして深見は隣に蓮華の気配を感じながら、再び夢の世界に沈んでいく。
<ストーリー>
その日、覡夕摩は長い入院生活からの退院の日を迎えた。だがそのことより、夕摩にとっては双子の姉、夕莉と一年ぶりに会えることの方に喜びが勝った。自身と同じ作りの姉はあまりにも美しく、だが自身と違って人間的にも完全だった。そんな姉がからかい交じりながらも自分をただ一人の弟という特別な目で見てくれている。それはこの上ない喜びだった。夕摩は姉に、姉に対するもの以上の感情を抱いている。
かつて暮らしていた洋館で母が自殺したことをきっかけとして入院した夕摩が、そのマンションに踏み入るのは初めてだった。無味乾燥な病室から離れ夕莉の存在が加わったことで色づいた生活。だがそこには父という異物がある。高級官僚である父は偏屈な人間で夕莉には不気味なほどの愛情を示す一方、夕摩に向ける目は害虫を見るそれだった。それには夕摩が、一目惚れをしたという女優だった亡き妻に可愛がられていたことも関係しているのかもしれない。
父も夕莉も外出する日中、姉の部屋に籠もることは夕摩の日課になっていた。母の影響で芸能界入りしたほんのひと時姉が使っていたウィッグ、姉の服、そして姉の下着。夕莉の匂いに包まれていると、痛いほどに腫れ上がった性器を扱き上げる手を止められない。だがある日、その光景を早退してきた姉に目撃されてしまう。粘つきひくつくそれを見る夕莉の目は冷たい。だがお仕置き、罰といって身を寄せる、その身体から発せられる吐息は熱っぽく湿っていた。
その秘め事を盾に夕莉は学業復帰を迫るようになった。それが彼女の通う聖カタリナ女学園だったとしても、夕摩に拒む術はない。それでも始めこそ戸惑いが先行する女学園での生活だったが、それまで属していたグループから距離を置かれるようになった鈴森いちかやオカルトに傾倒する変わり者の御殿場鏡子との文学部での活動、何より普段家では見られない姉の学生としての姿に、いつしかそこにいる自分に馴染みを覚えるようになっていく。だが保健室で休んでいた夕摩が襲われたのはそんな矢先だった。保険医の藤堂咲の、時に粘つくような視線は夕摩も何となく感じていたが、それがまさか自分に向くなど思ってもみなかった。
情けない姿を散々に罵倒され、女装した男という弱みを握られてしまった夕摩。それ以来学園に通うことも姉に事実を打ち明ける勇気も持てないでいた夕摩だが、夕莉はその異変を察したようだった。何があったとしてもこれから何があっても、自分は見放すようなことはしない。そう決意させるのは夕摩を愛しているがゆえだと夕莉は語る。その夜姉弟はベッドの上で女と男になった。
姉から勇気を与えられ学園に再び足を踏み入れる夕摩。だがそこに藤堂の姿はなかった。薬物を生徒に用いる教師という怪文書が出回り、その為に錯乱したのか女装した男だと喚き夕摩の制服を脱がせた藤堂。周囲の生徒たちはその出来事を噂しながら、ショックからようやく立ち直ったのだろうとして夕摩を気遣う。もちろんその本人には全く心当たりのない話だった。隣にいる夕莉は何も語らない。
夕莉と通じ合い、学園でも文化祭を迎えるなど、夕摩の日々は以前の色のない世界が嘘のように鮮やかに過ぎていく。そんなある日、夕摩は鏡子の唐突な訪問を受ける。その挙動が多少不審なことはそう珍しくはない。だがその日は違った。その手に持った注射器で身体の自由を奪い、夕摩にのし掛かってくる鏡子。その顔には躊躇が見て取れたが、その行為を押し留めるには至らないようだった。(※1)
夕莉は直前に電話を受け誰かに呼び出されていた。これが偶然であるとは思えない。夕摩は以前に鏡子と藤堂との密通の場面を目撃していた。そのことから同性ながら、鏡子が藤堂に思いを寄せていることはわかった。そんな相手の非道を許していいのかと夕摩は迫る。
そして夕暮れの遊園地、そこに夕莉はいた。夕摩との情事を収めた携帯をかざしながら自分のものになるよう迫る藤堂。だが夕莉は底冷えする目でナイフを取り出し自身の手首を傷つけた。弟を守る為なら自分を傷つけることなどなんでもないように、人を殺めることも瑣末事でしかない。その静かな狂気を前にして藤堂はすっかり腰砕けになってしまっていた。
夕莉は鏡子を突き放すようになり、それ以前にあった文芸部での心地よい時間は終わった。そんな中で夕摩はいちかから告白を受ける。彼女が人間関係で悩んでいた時、偶然出会った夕摩にその心の内を打ち明ける、そんな出来事が転入前にかつてあった。そしてその時触れた手の温もりをいちかは覚えていた。夕摩を異性としてその時から続いていた恋心を明かしたいちかだったが、その当人の思考は別のところにある。(※2)
夕摩には夕莉のことしか考えられない。いつしか学園はおざなりに通うだけの場所となり、二人はそのほとんどの時間を寄り添うようになっていた。そうして思い募るのは、互いが互いを寸分なく愛しているという確信だった。そんな中でクリスマスを間近に控えた夜、夕摩に先駆けて帰宅した夕莉はそこに父の姿を見る。妻を失ってからは鬱々として、今では左遷の憂き目に会い酒浸りの日々を送っている父。父にはもはや正体がなく、現れた娘が妻の夕香里に見えたのだろう。劣情を剥き出しにして夕莉に迫る。(※3)
<鏡子咲バッドエンド>
(※1)
夕莉よりもだらしなく、だからこそ肉感的な身体。鏡子の不健全な色香に惑わされ引き寄せられる自身を夕摩は抑えることができない。そしてその一部始終は全て夕莉に目撃されていた。薬を打たれていたことを訴えられた夕莉はその傷心も放り出し弟を気遣うが、それが一度ならず二度までも彼女を裏切る自身の弱さであり逃げであることはわかっていた。
それ以来夕莉は夕摩以外の全てに心を閉ざした、温度のない人間になった。にもかかわらず夕摩はあの官能が忘れられず、二度ならず三度までも夕莉を裏切る。鏡子と待ち合わせたホテルには謹慎中であるはずの藤堂の姿があったが、どんな疑問や躊躇いよりも肉欲が勝った。ふとした凪の中で鏡に映る自らの狂態を前にして姉への申し訳なさを覚えるも束の間、肉と粘膜とを絡め合う官能にそんな正気は容易く押し流されていく。
<いちかバッドエンド>
(※2)
よくいえば純粋、悪くいえば鈍臭く機微に疎い。そんな小動物じみたいちかを見ていると、夕摩の中には暗い感情が湧き上がる。それは、同世代の男子たちに相手にされなかった幼い頃、自邸の庭にいる小さな生き物たちに対して抱いていた嗜虐心と同じものだった。言うがまま、思いのままにできる玩具。だからそれを奪おうとする者は例えそれが夕莉であろうとも我慢ならなかった。反発を爆発させその情事の場を逃げ出す夕摩を夕莉は追い続ける。それは駅のプラットホームまで続いた。
狂気を含んだ独占欲を剥き出しにしたその表情はいつか見た誰かの顔を思わせる。それを振り払おうとした手は、夕莉を線路に突き落としていた。故意ではない。だがその光景は、夕摩の心を軽くさせたのも事実だった。ようやく自分は枷から解き放たれたのだと。
夕摩はいちかに電話をかける。部室を飛び出した二人を心配し続け、夕摩の言葉に安堵するいちか。そんな彼女に夕摩は、家に遊びに来るよう誘う。その足元には物言わぬ肉塊が転がっている。この家は夕摩一人のものだった。それは獲物を捕らえる巨大な虫カゴである。
<夕莉エンド>
(※3)
夕莉に伸し掛かろうとする父を見た夕摩は無我夢中で体当たりしていた。その手には床に散乱していた中から無意識の内に拾い上げていた包丁があった。
親殺しの子供はその国にいられない。二人は身分を変えシンガポールへと発った。そこには母の弟で、父からは目の敵にされていた夕紀夫がいる。その直前に叔父は亡くなったものの遺産を相続し、二人は新たな日々を送り始めた。ほどなくして二人の間には子どもが生まれた。母親となった夕莉は幸福に満ち溢れており、周囲の人々もそれが不義の子であると知りながら祝福してくれている。だが夕摩だけは密かにおののいていた。
自分たちに瓜二つの双子。自分たちがそうだったように、二度となく三度となく、いつか同じことが繰り返され降りかかるのではないか。それは姉弟でつがった、因果のように巡る罪と罰のように。対の顔を見つめる夕摩には、そう思わずにはいられないのだった。
<夕摩エンド>
(※3)
夕摩がそこに足を踏み入れた時、父は死体となっており、夕莉は怯えていた。さすがに夕莉といえども父を手にかけたのは堪えたようだった。父を殺めた怖れと親殺しの姉弟という事実から逃れるように、夕莉は夕摩を求める。父の死体の側でけだもののようにつがう姉弟。
ようやく夕摩の願いは全て叶った。始まりは母の生きていた頃に遡る。母は弟を愛しており、父との結婚は近親相姦での妊娠を隠しおおす旧家の体面でしかなかった。その仲を訝しんだ父によって弟の夕紀夫は脱税の嫌疑で海外逃亡を余儀なくされ、母の満たされない情欲は血を分けた息子の夕摩に向く。そして女の勘だろう、弟に恋慕する姉を芸能界を通じて家に寄り付かせないよう図った。夕莉はその諍いから母を自殺に追い込んだと思っているが、実は違う。母を絞殺し自宅に火を付けたのは夕摩だった。
そして入院中は夕紀夫を語る手紙を用いて夕莉に対して徐々に退院を働きかけ、同時に叔父には現状を訴え姉弟との養子縁組を約束させていた。叔父は母が自殺したことを知らず、糖尿病を患う身体を押してその墓参りの為に帰国したが、インスリンがすり替えられていたことを知らない。そこには叔父の秘書である高橋の暗躍がある。夕摩や夕莉、母にとっても旧知であり親しい関係だった高橋は海外に高飛びした叔父の行動を快く思っておらず、以後の破格の報酬もあって夕摩に有形無形の協力を提供した。その結果叔父の遺産は全て夕摩に移る。夕紀夫自身には恨みはないが、やはり実父として自分たちを生み、そして捨てた罪があるように思えた。
そして邪魔者を排除し姉を自分だけのものとする仕上げとして、自宅の飲料全てに催淫剤を仕込むことで父と夕莉を誘導した。思い描く通り夕莉は弟への思いを募らせ、父は娘に対して幻覚を見る。そうして夕莉は父を手にかけ、夕摩への愛と依存を確固としたものにした。
身分を変えた二人はシンガポールへと発ち、新たな日々を送り始めた。ほどなくして二人の間には子どもが生まれる。母親となった夕莉は幸福に満ち溢れており、高橋ももちろん事情を知りながらも祝福してくれているが、夕摩だけは密かにおののいていた。
自分たちに瓜二つの双子。自分たちがそうだったように、二度となく三度となく、いつか同じことが繰り返され降りかかるのではないか。それは姉弟で愛し合った、因果のように巡る罪と罰のように。対の顔を見つめる夕摩には、そう思わずにはいられない。だがそれでも、揺らぐことのない確かな愛がここにはある。それだけは信じられることだった。
<エピローグ>
深見はゆっくりと目を覚ます。今回もどこか恐ろしく、だがとてつもなく耽美な夢を見た気がする。そして隣に蓮華がいる、それも変わらない。蓮華が見せてくれるそれに閃きを受け、深見は怪奇浪漫の文壇で小説家としてようやく日の目を見るようになった。それが今回、どうしても彼女に伝えたいことだった。そしてこれからはこれまでのように暇にあかせて宿を訪れることはできなくなるかもしれないとも。
いつも泰然としている蓮華だが、それでも彼女のなにがしかの反応を期待していなかったといえば嘘になる。だが成功談を伝えられた時のほのかな喜びとその後の寂しげな表情は、深見にとって予想外のものだった。半ば口をつくように、それでも仕事の合間を縫って必ず訪ねると、深見は蓮華に約束していた。
小指と小指を絡め合わせるほどに、蓮華との距離が近づいたように感じたのはこれが初めてだった。万華鏡を与えられる自身の環境だけでなく、蓮華と自身との間にある何かも、今回の訪問で変わったのではないか。そう感じながら宿を後にする深見だった。
<プレイ時間>
鏡子咲バッドエンド(初回ルート)10時間22分、いちかバッドエンド1時間3分、夕莉エンド52分、夕摩エンド1時間23分。計13時間40分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
MARSHAN、夏華瑠璃
<あとがき・2017/10/20>
・CG+エロ
もうCGの美麗さは鉄板です。ただエロCG数は3話に比べて9枚とロープライスであることを考えると強力に減っており、よりストーリーに寄っていると思います。CG枠は41ですが作中に使われている一枚絵・カットインは恐らく50枚前後はあるはずなので、全体のボリュームとしては3話とほぼ同じだと思われます。
ただAEアニメは肌と肌を打ち付けた時のたぷんと揺れる尻の描写など更に素晴らしくなってます。そして特に八宝氏がエロゲで初めて(?)描くボテ腹セ○クスがあるなど大変に満足。それもAEアニメで…。八宝氏の原画作を自分が初めてやったのは無垢2で、97年以前はわかりませんが、少なくともそれ以降にボテ腹セ○クスがあったのは初めて。
あと男の娘×女の子ということで、ペニバンがいっぱいありそうだなあと思ってましたが、蓋を開いてみれば2シーンと思ったよりは少なくて、そこは個人的にはよかったです。
・ストーリー
吾輩キャラだった3話とは違い、1-2話のようにどこか弱さや心の危うさのようなところをもった主人公像で始まる4話。いかにもか弱そうな女子生徒相手にはえらい汚くキレるなと思えば、逆レ○プ大好きな女王様を前にしてはヒックヒックべそかきながら心の中でだけ威勢のいい、なんとも情けない主人公…。と思っていたんですが、中々にというかこれまでのシリーズ歴代主人公の内ぶっちぎりで一番やばいヤツでした。なんたって開幕で母親を殺害済みであり、場合によっては3人を殺害した上で更に1人手にかけようとしているという…。無差別でなく近親者のみで5人もの大量殺人を経験する主人公はエロゲでもなかなかいないと思います。
狂気漂う作品ということでエンディングも、白昼夢の中でこの先を示唆するような、どこか破滅的なものが匂う終わり方。
主人公はちょうど学園生活が順調な頃や先生に逆レされる頃までの内面独白をみるにどうも分裂症っぽい気が。理想の姿の自分という名前の、罰から生まれて罪を犯す少女とでもいうべきか、の人格のようなもの。場合によっては姉が父親にレ○プされることを儀式として許容していても全くおかしくなかったので、純愛メーカーとしての姿勢もあったのかもしれませんが、陵辱がなかったのは安心でよかった。
究極的には自分がもっとも好きで大事なナルシストだけど生まれという定めがそうはならず、理想にもっとも近い姉が身近な信仰対象として存在していた主人公。本当は姉のような自分になりたいけどそれは先天的にも後天的にももう絶対叶わないので、姉には自分と同じものになってもらう…。そういう目的の為の手段があのようになったのは、まだユーザー的というか俺的には救いがあったと思います。
基本CG数41※CG回想に登録されない本編中のCG・カットイン相当数あり(内胸露出以上のエロCG数24)…エロ割合59%、回想数17。
エロ1CGあたりの尺は1分30秒(夕香里回想)から21分30秒(夕莉処女喪失)。平均11分30秒。
永続ループBGVあり(台詞ボイス永続ループ機能なし)、永続ループBGエロSEなし、イベント連戦時付着精液残留なし、尻モザなし、淫語P音修正なし、立ち絵鑑賞モードなし。
(AEアニメ7)
(関連記事:美少女万華鏡 第1話 -呪われし伝説の少女-)
(関連記事:美少女万華鏡 第2話 -忘れな草と永遠の少女-)
(関連記事:美少女万華鏡 第2.5話 -かつて少女だった君へ-)
(関連記事:美少女万華鏡 第3話 -神が造りたもうた少女たち-)
2017/7/28
©ωstar
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(ストーリーテキスト:5128字)
<プロローグ>
その子供部屋に踏み入るのは四度目。深見が蓮華と相まみえるのもそう。だが同じ部屋の中にいる仲居は深見以外の目線にすら気づいていない。
そんな蓮華に対して伝えたいことがあるが、彼女はいつものように万華鏡を取り出す。深見は幾度かそれを覗き込んだことがあるが、今に至るまで何を見たのかは思い出せなかった。ただそうして目の前にかざされると、身を乗り出す欲求をどうしても抑えられない。そうして深見は隣に蓮華の気配を感じながら、再び夢の世界に沈んでいく。
<ストーリー>
その日、覡夕摩は長い入院生活からの退院の日を迎えた。だがそのことより、夕摩にとっては双子の姉、夕莉と一年ぶりに会えることの方に喜びが勝った。自身と同じ作りの姉はあまりにも美しく、だが自身と違って人間的にも完全だった。そんな姉がからかい交じりながらも自分をただ一人の弟という特別な目で見てくれている。それはこの上ない喜びだった。夕摩は姉に、姉に対するもの以上の感情を抱いている。
かつて暮らしていた洋館で母が自殺したことをきっかけとして入院した夕摩が、そのマンションに踏み入るのは初めてだった。無味乾燥な病室から離れ夕莉の存在が加わったことで色づいた生活。だがそこには父という異物がある。高級官僚である父は偏屈な人間で夕莉には不気味なほどの愛情を示す一方、夕摩に向ける目は害虫を見るそれだった。それには夕摩が、一目惚れをしたという女優だった亡き妻に可愛がられていたことも関係しているのかもしれない。
父も夕莉も外出する日中、姉の部屋に籠もることは夕摩の日課になっていた。母の影響で芸能界入りしたほんのひと時姉が使っていたウィッグ、姉の服、そして姉の下着。夕莉の匂いに包まれていると、痛いほどに腫れ上がった性器を扱き上げる手を止められない。だがある日、その光景を早退してきた姉に目撃されてしまう。粘つきひくつくそれを見る夕莉の目は冷たい。だがお仕置き、罰といって身を寄せる、その身体から発せられる吐息は熱っぽく湿っていた。
その秘め事を盾に夕莉は学業復帰を迫るようになった。それが彼女の通う聖カタリナ女学園だったとしても、夕摩に拒む術はない。それでも始めこそ戸惑いが先行する女学園での生活だったが、それまで属していたグループから距離を置かれるようになった鈴森いちかやオカルトに傾倒する変わり者の御殿場鏡子との文学部での活動、何より普段家では見られない姉の学生としての姿に、いつしかそこにいる自分に馴染みを覚えるようになっていく。だが保健室で休んでいた夕摩が襲われたのはそんな矢先だった。保険医の藤堂咲の、時に粘つくような視線は夕摩も何となく感じていたが、それがまさか自分に向くなど思ってもみなかった。
情けない姿を散々に罵倒され、女装した男という弱みを握られてしまった夕摩。それ以来学園に通うことも姉に事実を打ち明ける勇気も持てないでいた夕摩だが、夕莉はその異変を察したようだった。何があったとしてもこれから何があっても、自分は見放すようなことはしない。そう決意させるのは夕摩を愛しているがゆえだと夕莉は語る。その夜姉弟はベッドの上で女と男になった。
姉から勇気を与えられ学園に再び足を踏み入れる夕摩。だがそこに藤堂の姿はなかった。薬物を生徒に用いる教師という怪文書が出回り、その為に錯乱したのか女装した男だと喚き夕摩の制服を脱がせた藤堂。周囲の生徒たちはその出来事を噂しながら、ショックからようやく立ち直ったのだろうとして夕摩を気遣う。もちろんその本人には全く心当たりのない話だった。隣にいる夕莉は何も語らない。
夕莉と通じ合い、学園でも文化祭を迎えるなど、夕摩の日々は以前の色のない世界が嘘のように鮮やかに過ぎていく。そんなある日、夕摩は鏡子の唐突な訪問を受ける。その挙動が多少不審なことはそう珍しくはない。だがその日は違った。その手に持った注射器で身体の自由を奪い、夕摩にのし掛かってくる鏡子。その顔には躊躇が見て取れたが、その行為を押し留めるには至らないようだった。(※1)
夕莉は直前に電話を受け誰かに呼び出されていた。これが偶然であるとは思えない。夕摩は以前に鏡子と藤堂との密通の場面を目撃していた。そのことから同性ながら、鏡子が藤堂に思いを寄せていることはわかった。そんな相手の非道を許していいのかと夕摩は迫る。
そして夕暮れの遊園地、そこに夕莉はいた。夕摩との情事を収めた携帯をかざしながら自分のものになるよう迫る藤堂。だが夕莉は底冷えする目でナイフを取り出し自身の手首を傷つけた。弟を守る為なら自分を傷つけることなどなんでもないように、人を殺めることも瑣末事でしかない。その静かな狂気を前にして藤堂はすっかり腰砕けになってしまっていた。
夕莉は鏡子を突き放すようになり、それ以前にあった文芸部での心地よい時間は終わった。そんな中で夕摩はいちかから告白を受ける。彼女が人間関係で悩んでいた時、偶然出会った夕摩にその心の内を打ち明ける、そんな出来事が転入前にかつてあった。そしてその時触れた手の温もりをいちかは覚えていた。夕摩を異性としてその時から続いていた恋心を明かしたいちかだったが、その当人の思考は別のところにある。(※2)
夕摩には夕莉のことしか考えられない。いつしか学園はおざなりに通うだけの場所となり、二人はそのほとんどの時間を寄り添うようになっていた。そうして思い募るのは、互いが互いを寸分なく愛しているという確信だった。そんな中でクリスマスを間近に控えた夜、夕摩に先駆けて帰宅した夕莉はそこに父の姿を見る。妻を失ってからは鬱々として、今では左遷の憂き目に会い酒浸りの日々を送っている父。父にはもはや正体がなく、現れた娘が妻の夕香里に見えたのだろう。劣情を剥き出しにして夕莉に迫る。(※3)
<鏡子咲バッドエンド>
(※1)
夕莉よりもだらしなく、だからこそ肉感的な身体。鏡子の不健全な色香に惑わされ引き寄せられる自身を夕摩は抑えることができない。そしてその一部始終は全て夕莉に目撃されていた。薬を打たれていたことを訴えられた夕莉はその傷心も放り出し弟を気遣うが、それが一度ならず二度までも彼女を裏切る自身の弱さであり逃げであることはわかっていた。
それ以来夕莉は夕摩以外の全てに心を閉ざした、温度のない人間になった。にもかかわらず夕摩はあの官能が忘れられず、二度ならず三度までも夕莉を裏切る。鏡子と待ち合わせたホテルには謹慎中であるはずの藤堂の姿があったが、どんな疑問や躊躇いよりも肉欲が勝った。ふとした凪の中で鏡に映る自らの狂態を前にして姉への申し訳なさを覚えるも束の間、肉と粘膜とを絡め合う官能にそんな正気は容易く押し流されていく。
<いちかバッドエンド>
(※2)
よくいえば純粋、悪くいえば鈍臭く機微に疎い。そんな小動物じみたいちかを見ていると、夕摩の中には暗い感情が湧き上がる。それは、同世代の男子たちに相手にされなかった幼い頃、自邸の庭にいる小さな生き物たちに対して抱いていた嗜虐心と同じものだった。言うがまま、思いのままにできる玩具。だからそれを奪おうとする者は例えそれが夕莉であろうとも我慢ならなかった。反発を爆発させその情事の場を逃げ出す夕摩を夕莉は追い続ける。それは駅のプラットホームまで続いた。
狂気を含んだ独占欲を剥き出しにしたその表情はいつか見た誰かの顔を思わせる。それを振り払おうとした手は、夕莉を線路に突き落としていた。故意ではない。だがその光景は、夕摩の心を軽くさせたのも事実だった。ようやく自分は枷から解き放たれたのだと。
夕摩はいちかに電話をかける。部室を飛び出した二人を心配し続け、夕摩の言葉に安堵するいちか。そんな彼女に夕摩は、家に遊びに来るよう誘う。その足元には物言わぬ肉塊が転がっている。この家は夕摩一人のものだった。それは獲物を捕らえる巨大な虫カゴである。
<夕莉エンド>
(※3)
夕莉に伸し掛かろうとする父を見た夕摩は無我夢中で体当たりしていた。その手には床に散乱していた中から無意識の内に拾い上げていた包丁があった。
親殺しの子供はその国にいられない。二人は身分を変えシンガポールへと発った。そこには母の弟で、父からは目の敵にされていた夕紀夫がいる。その直前に叔父は亡くなったものの遺産を相続し、二人は新たな日々を送り始めた。ほどなくして二人の間には子どもが生まれた。母親となった夕莉は幸福に満ち溢れており、周囲の人々もそれが不義の子であると知りながら祝福してくれている。だが夕摩だけは密かにおののいていた。
自分たちに瓜二つの双子。自分たちがそうだったように、二度となく三度となく、いつか同じことが繰り返され降りかかるのではないか。それは姉弟でつがった、因果のように巡る罪と罰のように。対の顔を見つめる夕摩には、そう思わずにはいられないのだった。
<夕摩エンド>
(※3)
夕摩がそこに足を踏み入れた時、父は死体となっており、夕莉は怯えていた。さすがに夕莉といえども父を手にかけたのは堪えたようだった。父を殺めた怖れと親殺しの姉弟という事実から逃れるように、夕莉は夕摩を求める。父の死体の側でけだもののようにつがう姉弟。
ようやく夕摩の願いは全て叶った。始まりは母の生きていた頃に遡る。母は弟を愛しており、父との結婚は近親相姦での妊娠を隠しおおす旧家の体面でしかなかった。その仲を訝しんだ父によって弟の夕紀夫は脱税の嫌疑で海外逃亡を余儀なくされ、母の満たされない情欲は血を分けた息子の夕摩に向く。そして女の勘だろう、弟に恋慕する姉を芸能界を通じて家に寄り付かせないよう図った。夕莉はその諍いから母を自殺に追い込んだと思っているが、実は違う。母を絞殺し自宅に火を付けたのは夕摩だった。
そして入院中は夕紀夫を語る手紙を用いて夕莉に対して徐々に退院を働きかけ、同時に叔父には現状を訴え姉弟との養子縁組を約束させていた。叔父は母が自殺したことを知らず、糖尿病を患う身体を押してその墓参りの為に帰国したが、インスリンがすり替えられていたことを知らない。そこには叔父の秘書である高橋の暗躍がある。夕摩や夕莉、母にとっても旧知であり親しい関係だった高橋は海外に高飛びした叔父の行動を快く思っておらず、以後の破格の報酬もあって夕摩に有形無形の協力を提供した。その結果叔父の遺産は全て夕摩に移る。夕紀夫自身には恨みはないが、やはり実父として自分たちを生み、そして捨てた罪があるように思えた。
そして邪魔者を排除し姉を自分だけのものとする仕上げとして、自宅の飲料全てに催淫剤を仕込むことで父と夕莉を誘導した。思い描く通り夕莉は弟への思いを募らせ、父は娘に対して幻覚を見る。そうして夕莉は父を手にかけ、夕摩への愛と依存を確固としたものにした。
身分を変えた二人はシンガポールへと発ち、新たな日々を送り始めた。ほどなくして二人の間には子どもが生まれる。母親となった夕莉は幸福に満ち溢れており、高橋ももちろん事情を知りながらも祝福してくれているが、夕摩だけは密かにおののいていた。
自分たちに瓜二つの双子。自分たちがそうだったように、二度となく三度となく、いつか同じことが繰り返され降りかかるのではないか。それは姉弟で愛し合った、因果のように巡る罪と罰のように。対の顔を見つめる夕摩には、そう思わずにはいられない。だがそれでも、揺らぐことのない確かな愛がここにはある。それだけは信じられることだった。
<エピローグ>
深見はゆっくりと目を覚ます。今回もどこか恐ろしく、だがとてつもなく耽美な夢を見た気がする。そして隣に蓮華がいる、それも変わらない。蓮華が見せてくれるそれに閃きを受け、深見は怪奇浪漫の文壇で小説家としてようやく日の目を見るようになった。それが今回、どうしても彼女に伝えたいことだった。そしてこれからはこれまでのように暇にあかせて宿を訪れることはできなくなるかもしれないとも。
いつも泰然としている蓮華だが、それでも彼女のなにがしかの反応を期待していなかったといえば嘘になる。だが成功談を伝えられた時のほのかな喜びとその後の寂しげな表情は、深見にとって予想外のものだった。半ば口をつくように、それでも仕事の合間を縫って必ず訪ねると、深見は蓮華に約束していた。
小指と小指を絡め合わせるほどに、蓮華との距離が近づいたように感じたのはこれが初めてだった。万華鏡を与えられる自身の環境だけでなく、蓮華と自身との間にある何かも、今回の訪問で変わったのではないか。そう感じながら宿を後にする深見だった。
<プレイ時間>
鏡子咲バッドエンド(初回ルート)10時間22分、いちかバッドエンド1時間3分、夕莉エンド52分、夕摩エンド1時間23分。計13時間40分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
MARSHAN、夏華瑠璃
<あとがき・2017/10/20>
・CG+エロ
もうCGの美麗さは鉄板です。ただエロCG数は3話に比べて9枚とロープライスであることを考えると強力に減っており、よりストーリーに寄っていると思います。CG枠は41ですが作中に使われている一枚絵・カットインは恐らく50枚前後はあるはずなので、全体のボリュームとしては3話とほぼ同じだと思われます。
ただAEアニメは肌と肌を打ち付けた時のたぷんと揺れる尻の描写など更に素晴らしくなってます。そして特に八宝氏がエロゲで初めて(?)描くボテ腹セ○クスがあるなど大変に満足。それもAEアニメで…。八宝氏の原画作を自分が初めてやったのは無垢2で、97年以前はわかりませんが、少なくともそれ以降にボテ腹セ○クスがあったのは初めて。
あと男の娘×女の子ということで、ペニバンがいっぱいありそうだなあと思ってましたが、蓋を開いてみれば2シーンと思ったよりは少なくて、そこは個人的にはよかったです。
・ストーリー
吾輩キャラだった3話とは違い、1-2話のようにどこか弱さや心の危うさのようなところをもった主人公像で始まる4話。いかにもか弱そうな女子生徒相手にはえらい汚くキレるなと思えば、逆レ○プ大好きな女王様を前にしてはヒックヒックべそかきながら心の中でだけ威勢のいい、なんとも情けない主人公…。と思っていたんですが、中々にというかこれまでのシリーズ歴代主人公の内ぶっちぎりで一番やばいヤツでした。なんたって開幕で母親を殺害済みであり、場合によっては3人を殺害した上で更に1人手にかけようとしているという…。無差別でなく近親者のみで5人もの大量殺人を経験する主人公はエロゲでもなかなかいないと思います。
狂気漂う作品ということでエンディングも、白昼夢の中でこの先を示唆するような、どこか破滅的なものが匂う終わり方。
主人公はちょうど学園生活が順調な頃や先生に逆レされる頃までの内面独白をみるにどうも分裂症っぽい気が。理想の姿の自分という名前の、罰から生まれて罪を犯す少女とでもいうべきか、の人格のようなもの。場合によっては姉が父親にレ○プされることを儀式として許容していても全くおかしくなかったので、純愛メーカーとしての姿勢もあったのかもしれませんが、陵辱がなかったのは安心でよかった。
究極的には自分がもっとも好きで大事なナルシストだけど生まれという定めがそうはならず、理想にもっとも近い姉が身近な信仰対象として存在していた主人公。本当は姉のような自分になりたいけどそれは先天的にも後天的にももう絶対叶わないので、姉には自分と同じものになってもらう…。そういう目的の為の手段があのようになったのは、まだユーザー的というか俺的には救いがあったと思います。
基本CG数41※CG回想に登録されない本編中のCG・カットイン相当数あり(内胸露出以上のエロCG数24)…エロ割合59%、回想数17。
エロ1CGあたりの尺は1分30秒(夕香里回想)から21分30秒(夕莉処女喪失)。平均11分30秒。
永続ループBGVあり(台詞ボイス永続ループ機能なし)、永続ループBGエロSEなし、イベント連戦時付着精液残留なし、尻モザなし、淫語P音修正なし、立ち絵鑑賞モードなし。
(AEアニメ7)
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