C¥Documents and Settings¥User¥My Document¥脳内彼女 プレイ済エロゲのストーリーを脳内に書き残しておく為のブロg彼女にドキュメントフォルダ開けられたら死ぬほど殴られた
注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
ノラと皇女と野良猫ハート2 -Nora, Princess, and Crying Cat.- (HARUKAZE)
2017/10/27
©HARUKAZE
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(ストーリーテキスト:5604字)
<ストーリー>
その日ノラは行き倒れとなっていた少女を再び拾う。桜ヶ淵は夏真っ盛り。にもかかわらず少女の側には雪が降っていた。アイリス・ディセンバー・アンクライと名乗った少女は猫であるノラに対してまるで人のように語りかけ、また行商していたかき氷を与えてくれたことに命の恩人だとさえ感激していた。まるでこの世界の勝手を知らないかのような素振り。そして付き人であるノエル・ザ・ネクストシーズンの皇女という呼びかけから、ノラには彼女が異世界の住人だと知れた。
地上で初めて出会ったものとして強引に冥界へと連れ去られたノラ。そこは不毛な、北の果ての凍土を思わせた。アイリスはその国、アンクライ皇国を多くの人々に知ってもらう為に地上を訪ねたのだという。そして皇女の側に現れるという、冥界に伝わる伝説の獣だとして、ノラに自らの名の一部を与えたアイリスはその身体を離そうとしない。だがそうこうしている間に、じゃれあいのキスからノラは風呂場で人間の姿に戻ってしまい、不届き者としてノエルに処刑されかけてしまう。そんなノラをアイリスはある条件と約束の下に地上へ送り出した。
アンクライ皇国は冥界にとって危険な存在であり、冥界の神々はかつて、ルーシアたちの母に命じて忘却の魔法を施させた。死者の世界である冥界において存在を忘れられることは死を意味する。地上に戻りアンクライの名を呟いたノラに対して、自らの母の行いをルーシアはそう語った。次に会った時は自分の名を呼んでほしい。そうすればディセンバーの名を分け与えた獣がノラであると信じる。アイリスとの約束にはそんな思いが込められていた。
だがノラは忘却に蝕まれ、再会した彼女の名前とその記憶を思い出せない。アンクライの女王には人間たちと交わるようになったエンド家の娘たちへの復讐と告げ、地上への来訪を許されていたアイリス。だが本当のところは、死者の世界にあって生を奪われ、それでもなお自分が存在している意味を求めてのことだった。存在を忘れ去られついには友達の一人もいなくなった、そんな自分を覚えていてくれる誰かが冥界ではないどこかにいる。そんな風にもう一つの世界を信じたアイリスの悲しみの涙が、ノラにその記憶を取り戻させた。
地上再訪の際に持ち出したアンクライ国旗がその復讐心の欠如から荒れ狂う暴竜へと変貌し、それをノラやエンド家の姉妹たちに救われたアイリス。その出来事をきっかけにアイリスは地上で何をすべきなのかを自らの意志で考え始める。それにはパトリシアから、理由も意志もない、彼女の言うところの美学なき復讐を咎められたことも一因だった。
<ノブチナエンド>
ノラにとって幼い頃からの腐れ縁の一人だった高田信千奈。学園が文化祭を迎えるにあたって、クラスでは紆余曲折の結果、演劇を行うことになった。真面目な生徒とは言い難いノブチナだが、このようなお祭りには何だかんだといって盛り上がっている。そんな中で事故から猫になってしまったノラはノブチナの家に連れられた上で人の姿に戻して貰うが、それを彼女の父親に目撃されてしまう。当然猫の姿から戻れば素っ裸で、それは誤解を生むに充分な状況だった。
彼女の家はいわゆる極道を生業にしていた。娘も世話になった半田の家の息子ということで、誠意を貫くのなら制裁などはしないという。その言葉の裏には、任侠とはいえ赦される時代でもないこのご時世において、ノブチナを堅気の道に進ませようという親心があった。だが父の収監中、家をまとめてきたノブチナにそんな気はない。新興勢力から傘下に入るよう迫られ、劇の小道具を破壊されるという脅しに泣き寝入りするような真似などは、ノブチナには考えられないことだった。
抗争相手の事務所に殴り込んだことで留置場入りを免れなかったノブチナ。ノラたちの懇願によって弁護を引き受けた腹違いの姉、信愛の仕事によって裁判沙汰はどうにか回避されたものの、ノラには気がかりなことがあった。それはノブチナの実の母のことだった。愛人という立ち位置から今は亡き正妻に辛く当たられ、現在は行方も知れない。そのことが信愛と、そしてノブチナの父との間にわだかまりとなって残り続けている。母親を亡くしているノラにはそれでいいとは思えなかった。お節介を嫌うノブチカだが、方々を当たったノラはどうにかその消息を突き止める。田舎の小さな港町で新たな家族と生活を営んでいたノブチナの母。その母に現況を語り、そしてノブチナはその不器用な感謝を伝えることができた。
それから学年が一つ進み、桜ヶ淵学園で最後の一年を過ごし始めたノラとノブチナの日々、それは以前とそう変わっていない。受験を控えながらも脳天気に賑やかしく。らしい日々を送る二人だった。
<ユウラシアエンド>
何を思ったか、アイドルの真似事のようなことをし始めたユウラシア。そのマネージャー兼、猫の姿でのマスコットとして、ノラは度々ユウラシアに駆り出されるようになる。猫になる必要がある、それはその度にキスを必要とするということだった。繰り返しノラにキスをするユウラシアはいつしか自身でも説明のつかない感情をもて余すようになっていく。
そんなさなか、ノラは不意に地上に現れた冥界の母と、母を翻意させよとするパトリシアとルーシアの不穏な会話を耳にする。それは母から与えられた冥界の価値観を歌に乗せて人間界に広げる、同調魔法というものについてだった。魂を冥界に絡め取られた人々は生を厭い死に魅せられるようになる。
この間、ユウラシアの姿を見てきたノラには、そのようなはかりごとの為に彼女が歌っているようにはどうしても思えなかった。それをユウラシアに尋ねたノラは、地上に愛着を抱くようになってしまった姉をその元凶から遠ざける為にと、冥界の母の言っていた話が事実だったことを知る。そして同時に、この数日で姉たちにはない自身の価値を認めてくれた地上の人々と、そして何よりもノラに、パトリシアと同じように愛情を感じてしまっているとも。
ノラと恋人となり身も心も繋がったユウラシアの歌声は生の意志に満ちてしまっている。学園でのコンサートを見聞きし、そう認めた冥界の母は同調魔法を用いての地上の滅びを諦めた。少なくとも今はまだ。だからノラは憂いなくユウラシアの歌声に今こうして浸っていられる。
<ルーシアエンド>
相変わらず、パトリシアがノラに近づくことを快く思っていない様子のルーシア。目の敵にされ追い回されるノラは、犬の群れに紛れた時にだけ彼女が襲ってこないことに気づいた。それが幼い頃のパトリシアを襲い、ルーシアが討伐した地獄の犬ケルベロスの為ではないかとユウラシアは語る。だが今のパトリシアは子供たちに絵本の読み聞かせを度々しており、ペットの犬も出入りするそこに踏み入れないことをルーシアは気にしていた。それに犬の形をしたものを直視できないようでは、いざという時にパトリシアたちを守れないかもしれない。それを聞いたノラはルーシアの犬嫌いをどうにかしようと考える。
ノラの試みは、アルバイトでの散歩請け負いという形で不特定多数の犬と接する機会を設けることだった。多大な時間をかけ、ぎこちないながらも、ペットとしての犬にはどうにか近づけるようになったルーシア。そんな中、以前因縁をつけてきた街の不良がドーベルマンをけしかけてくるという出来事が起きた。ルーシアがその気になれば、我を忘れれば、不良も犬も無残な肉片となってしまうだろう。そう悟った猫の姿のノラは彼女を守る為にも、三頭もの猛犬に立ち向かい大怪我を負う。それ以来、ルーシアのノラに対する態度は、戸惑いを滲ませながらも柔らかいものになった。
だがある日、ノラを猫の姿にしようとしていたルーシアをパトリシアは引き止める。姉がノラを殺そうとしているのではないかと。その懸念通り、ルーシアは母からノラの命を奪うよう命じられていた。かつてケルベロスはその返り血をもってルーシアに呪いをかけ、冥界を支配するだろうその強大な魔力を封じた。それがあの時、血まみれのノラに口づけして家まで担ぎ込んだその時、冥界の母は胎動するルーシアの魔力、サクラメントを感じたのだという。冥界に伝わる、真の皇女の前に現れるという伝説の獣。その血を飲み干せばケルベロスの呪いなどは霧散し、解き放たれたサクラメントの力はルーシアの身に戻るだろう。冥界の母はそう確信している。
だがルーシアは呪いも自らの一部でありそれをどうするかは自分が決めることだとして、母の指図を頑として受け入れない。血ではなく愛によって呪いは解ける。パトリシアの言ったその言葉の意味は今はまだわからないものの。ノラを腕に抱いた娘の、生まれて初めての反抗に息を呑んだ冥界の母は、犬を模した幻影をルーシアが破ったこともあり、渋々それを認める。そして同時に、冥界において蛮族とされる狂犬、ガルム一族がパトリシアを狙っていることを伝えた。
パトリシアを狙い地上に現れ始めたガルムの部下たち。その戦いの中でノラと通じ合い、その魔力に触発されたルーシアは封じられたサクラメントを発現させる。その力とノラの助けもあってガルムを退けたルーシアだが、光輝く魔力となったサクラメントは闇の世界である冥界には置いておけないものとなった。
地上に留まり続けるルーシアはノラと過ごす内に、その隣に寄り添う将来を明確に意識するようになっていく。これまでのような戦いの為ではない、家事や仕事といった女の甲斐性を学ぶことに喜びを感じてもいるようだった。そしてノラを猫とする内の獣もサクラメントによって浄化されたことで、二人がその愛情を確かめ合う為の障害もなくなった。ルーシアと冥界の母の間にあるわだかまりも、ノラと過ごす時間が少しずつ、いつかは癒してくれるだろう。
ノラとルーシアの日々は今日も賑やかで騒がしい。その日も、母からの少し早い結婚祝いだという、その意図するところのよくわからない翼竜が送られてきた。家を破壊されてはたまったものではない。そうして二人は今日も手を携えてそのトラブルに立ち向かっていくのだった。
<アイリスエンド>
地上に留まる中で学びの為、桜ヶ淵学園に通い始めたアイリス。同時に冥界の歴史も一から教え込もうとするパトリシアには辟易していながらも、その顔はどこか活き活きとしていた。そんな中、微熱が続いていたノラは医者から唐突な余命宣告を受ける。それは猫に染まりつつあるノラに残された時間だった。このままではノラは全てを忘れ、猫そのものとなってしまう。パトリシアが思い付く、すぐにでも叶う対処は一つしかない。事象に至るまであらゆる存在に忘却を与える力を持つアンクライの涙。それによってノラの内の獣だけを忘却で拭い去ることだった。だがその涙を流させるには命の営みが必要だという。
有り体に言ってセックスしてほしい。当然アイリスはそんな話に承知できるはずもない。それでも数日間、試行錯誤していたノラ。そんなさなかに、学園がアンクライ皇国の軍勢に囲まれるという出来事が起きる。輝かしさとは程遠い皇国の歴史書を城の書庫から持ち出し、エンド家の娘たちと馴れ合うアイリスの行いは、アンクライに住む亡霊たちにとっては許し難いことのようだった。そのままノラたちは冥界に引きずり込まれかける。忘れられることが怖いと言った自身が地上を謳歌し、国の亡霊たちを忘れようとしていた。それに気づいたアイリスの慚愧の涙が亡霊たちを浄化する。そして同時にノラの獣の呪いも。
ノラの言葉によって自分を見つめ直し、亡霊たちと意思を交わすことができたアイリス。そんなノラに対してアイリスは初めて抱く感情を自覚するようになった。やがてそれが口をついたアイリスは自らの身体を開く。
そうして恋人となったノラとアイリスだが、その日常はそう変わりなく賑やかに続いていた。そんな中、ノエルを通してアイリスの母が、エンド家の忘却を打ち消す為としてアンクライの涙を求めてくる。もちろんそのことに二人も異存なく、愛の営みから生まれた涙をアイリスは冥界へと持ち帰る。だがアイリスの母の目的はその涙を用いて冥界を忘却に沈めることだった。冥界の死者が地上の生者を想い縛られ続けることは不条理だとして。
冥界から逃れてきたアイリスの訴えによって事態を知ったノラたち。そしてパトリシアは母が危険極まりないアンクライ皇国を完全に滅ぼそうとしていることを伝える。アイリスを逃がす為に冥界に留まったノエルを救いだす、その決意でノラたちは再び冥界に踏み入った。
だが王城にあったのはノエル一人の姿だけだった。母がそこに囚われているとアイリスが思い込んでいた玉座の分厚い氷、融け落ちたそこには女王の石像があるだけ。それまで聞いていた母の声が、ノエルが王城の書庫から再生していた機械仕掛けのものだったことを、アイリスは初めて知る。人々に忘れられ悲しみの内に長い眠りについていたアイリスに、母が亡くなっていたことをノエルはどうしても伝えられなかった。そして母の声で地上に向かわせたアイリスが前を向いて歩き始めたことに安堵し、二度とこの地を踏むことがないよう忘却に沈めようとしていた。
自らの命を投げ出そうとしているノエルを止め、冥界に危害を加える意図はもはやないことを冥界の母に訴えたアイリス。それから時は過ぎて、アイリスは地上で春を初めて迎えていた。そこにはノラたち、そしてノエルの姿もある。アンクライ皇国を再興するという願いはまだ遠いが、その遥かに続く将来に向かってアイリスとノラが歩んでいくことに、揺らぎはない。
冬に沈んだ、止まった世界だけしか知らなかったアイリス。それが今は、春の世界に踏み出し自らの足跡を残すことを恐れていない。アイリスは今確かに生きている。
<プレイ時間>
ノブチナエンド(初回ルート)12時間34分、ユウラシアエンド2時間35分、ルーシアエンド9時間47分、Cat Thinking未読59分、Extra Story(ユウキ29分、未知41分、パトリシア37分、シャチ47分、ノエル1時間、アイリス30分)、アイリスエンド6時間38分。計36時間37分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
ちきんぐ、馬並下半身一郎、チ豆、萩ユキ、moment果汁(有限会社アフェス無月庭)、もみじ(有限会社アフェス無月庭)、カヤ(有限会社アフェス無月庭)、トン☆ヌラ、七条貞之、加藤リィン、桜祢マオ
<あとがき・2017/11/28>
・CG+エロ
前作、無印よりもオッパイが凄くいい。ニップル感がより強く出た乳輪がたまらないです。
後こう、無印やらぶおぶもそうでしたが、HARUKAZEは印象に残るエロの構図が結構あったりしますね。ヒロインの顔を隠して股間ドアップとか、クッソ下品な足立ちでのガニ股フェラとか騎乗位とか。それで純愛セックスしてくれるものだから素晴らしい。
抜ける構図は非常に多いのですが贅沢を言えばもう少しエロの量は欲しかった気がしなくもないですね。38枚なので非抜きゲの一般的な量はあると思うんですが。できれば5割80枚。80枚エロあれば凄いことになってましたね。
・ストーリー
ルーシアルートがめちゃくちゃよかったですね…。無印の頃からルーシアが一番好きで、でもその時はイベント的にはあまり恵まれてなかったので、今作で優遇されていたのはとても嬉しい。メインヒロインのアイリスルートよりボリュームがあるとは思わなかった。これを機会にグッズが出てくれるとありがたいんですが。
基本脳筋で妹以外に興味がなく、それに引きずられて男嫌いの気さえあるルーシアですが、それがデレるとやばい。恋人としてはいわゆるポンコツなんですが、普段は少なくとも姉としての姿がしっかりしている分、好きな男にだけは素の姿をありのままにしているギャップが感じられて。
アイリスルートは中身が結構シリアス風味でしたね。ただ細かいところではよりコメディ寄りという、HARUKAZEらしいルートですが。アイリス大明神とか…。このテキストでもビジュアルでも笑いを誘うHARUKAZEの姿勢が好き。
基本CG数160(内胸露出以上のエロCG数38)…エロ割合24%、回想数17。
エロ1CGあたりの尺は1分30秒(ノエル砂浜全裸うつ伏せ)から22分(ルーシア水着パイズリ)。平均12分30秒。
永続ループBGVなし(台詞ボイス永続ループ機能なし)、永続ループBGエロSEなし、イベント連戦時付着精液残留なし、尻モザなし、淫語P音修正あり、立ち絵鑑賞モードなし。
(関連記事:ノラと皇女と野良猫ハート)
2017/10/27
©HARUKAZE
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(ストーリーテキスト:5604字)
<ストーリー>
その日ノラは行き倒れとなっていた少女を再び拾う。桜ヶ淵は夏真っ盛り。にもかかわらず少女の側には雪が降っていた。アイリス・ディセンバー・アンクライと名乗った少女は猫であるノラに対してまるで人のように語りかけ、また行商していたかき氷を与えてくれたことに命の恩人だとさえ感激していた。まるでこの世界の勝手を知らないかのような素振り。そして付き人であるノエル・ザ・ネクストシーズンの皇女という呼びかけから、ノラには彼女が異世界の住人だと知れた。
地上で初めて出会ったものとして強引に冥界へと連れ去られたノラ。そこは不毛な、北の果ての凍土を思わせた。アイリスはその国、アンクライ皇国を多くの人々に知ってもらう為に地上を訪ねたのだという。そして皇女の側に現れるという、冥界に伝わる伝説の獣だとして、ノラに自らの名の一部を与えたアイリスはその身体を離そうとしない。だがそうこうしている間に、じゃれあいのキスからノラは風呂場で人間の姿に戻ってしまい、不届き者としてノエルに処刑されかけてしまう。そんなノラをアイリスはある条件と約束の下に地上へ送り出した。
アンクライ皇国は冥界にとって危険な存在であり、冥界の神々はかつて、ルーシアたちの母に命じて忘却の魔法を施させた。死者の世界である冥界において存在を忘れられることは死を意味する。地上に戻りアンクライの名を呟いたノラに対して、自らの母の行いをルーシアはそう語った。次に会った時は自分の名を呼んでほしい。そうすればディセンバーの名を分け与えた獣がノラであると信じる。アイリスとの約束にはそんな思いが込められていた。
だがノラは忘却に蝕まれ、再会した彼女の名前とその記憶を思い出せない。アンクライの女王には人間たちと交わるようになったエンド家の娘たちへの復讐と告げ、地上への来訪を許されていたアイリス。だが本当のところは、死者の世界にあって生を奪われ、それでもなお自分が存在している意味を求めてのことだった。存在を忘れ去られついには友達の一人もいなくなった、そんな自分を覚えていてくれる誰かが冥界ではないどこかにいる。そんな風にもう一つの世界を信じたアイリスの悲しみの涙が、ノラにその記憶を取り戻させた。
地上再訪の際に持ち出したアンクライ国旗がその復讐心の欠如から荒れ狂う暴竜へと変貌し、それをノラやエンド家の姉妹たちに救われたアイリス。その出来事をきっかけにアイリスは地上で何をすべきなのかを自らの意志で考え始める。それにはパトリシアから、理由も意志もない、彼女の言うところの美学なき復讐を咎められたことも一因だった。
<ノブチナエンド>
ノラにとって幼い頃からの腐れ縁の一人だった高田信千奈。学園が文化祭を迎えるにあたって、クラスでは紆余曲折の結果、演劇を行うことになった。真面目な生徒とは言い難いノブチナだが、このようなお祭りには何だかんだといって盛り上がっている。そんな中で事故から猫になってしまったノラはノブチナの家に連れられた上で人の姿に戻して貰うが、それを彼女の父親に目撃されてしまう。当然猫の姿から戻れば素っ裸で、それは誤解を生むに充分な状況だった。
彼女の家はいわゆる極道を生業にしていた。娘も世話になった半田の家の息子ということで、誠意を貫くのなら制裁などはしないという。その言葉の裏には、任侠とはいえ赦される時代でもないこのご時世において、ノブチナを堅気の道に進ませようという親心があった。だが父の収監中、家をまとめてきたノブチナにそんな気はない。新興勢力から傘下に入るよう迫られ、劇の小道具を破壊されるという脅しに泣き寝入りするような真似などは、ノブチナには考えられないことだった。
抗争相手の事務所に殴り込んだことで留置場入りを免れなかったノブチナ。ノラたちの懇願によって弁護を引き受けた腹違いの姉、信愛の仕事によって裁判沙汰はどうにか回避されたものの、ノラには気がかりなことがあった。それはノブチナの実の母のことだった。愛人という立ち位置から今は亡き正妻に辛く当たられ、現在は行方も知れない。そのことが信愛と、そしてノブチナの父との間にわだかまりとなって残り続けている。母親を亡くしているノラにはそれでいいとは思えなかった。お節介を嫌うノブチカだが、方々を当たったノラはどうにかその消息を突き止める。田舎の小さな港町で新たな家族と生活を営んでいたノブチナの母。その母に現況を語り、そしてノブチナはその不器用な感謝を伝えることができた。
それから学年が一つ進み、桜ヶ淵学園で最後の一年を過ごし始めたノラとノブチナの日々、それは以前とそう変わっていない。受験を控えながらも脳天気に賑やかしく。らしい日々を送る二人だった。
<ユウラシアエンド>
何を思ったか、アイドルの真似事のようなことをし始めたユウラシア。そのマネージャー兼、猫の姿でのマスコットとして、ノラは度々ユウラシアに駆り出されるようになる。猫になる必要がある、それはその度にキスを必要とするということだった。繰り返しノラにキスをするユウラシアはいつしか自身でも説明のつかない感情をもて余すようになっていく。
そんなさなか、ノラは不意に地上に現れた冥界の母と、母を翻意させよとするパトリシアとルーシアの不穏な会話を耳にする。それは母から与えられた冥界の価値観を歌に乗せて人間界に広げる、同調魔法というものについてだった。魂を冥界に絡め取られた人々は生を厭い死に魅せられるようになる。
この間、ユウラシアの姿を見てきたノラには、そのようなはかりごとの為に彼女が歌っているようにはどうしても思えなかった。それをユウラシアに尋ねたノラは、地上に愛着を抱くようになってしまった姉をその元凶から遠ざける為にと、冥界の母の言っていた話が事実だったことを知る。そして同時に、この数日で姉たちにはない自身の価値を認めてくれた地上の人々と、そして何よりもノラに、パトリシアと同じように愛情を感じてしまっているとも。
ノラと恋人となり身も心も繋がったユウラシアの歌声は生の意志に満ちてしまっている。学園でのコンサートを見聞きし、そう認めた冥界の母は同調魔法を用いての地上の滅びを諦めた。少なくとも今はまだ。だからノラは憂いなくユウラシアの歌声に今こうして浸っていられる。
<ルーシアエンド>
相変わらず、パトリシアがノラに近づくことを快く思っていない様子のルーシア。目の敵にされ追い回されるノラは、犬の群れに紛れた時にだけ彼女が襲ってこないことに気づいた。それが幼い頃のパトリシアを襲い、ルーシアが討伐した地獄の犬ケルベロスの為ではないかとユウラシアは語る。だが今のパトリシアは子供たちに絵本の読み聞かせを度々しており、ペットの犬も出入りするそこに踏み入れないことをルーシアは気にしていた。それに犬の形をしたものを直視できないようでは、いざという時にパトリシアたちを守れないかもしれない。それを聞いたノラはルーシアの犬嫌いをどうにかしようと考える。
ノラの試みは、アルバイトでの散歩請け負いという形で不特定多数の犬と接する機会を設けることだった。多大な時間をかけ、ぎこちないながらも、ペットとしての犬にはどうにか近づけるようになったルーシア。そんな中、以前因縁をつけてきた街の不良がドーベルマンをけしかけてくるという出来事が起きた。ルーシアがその気になれば、我を忘れれば、不良も犬も無残な肉片となってしまうだろう。そう悟った猫の姿のノラは彼女を守る為にも、三頭もの猛犬に立ち向かい大怪我を負う。それ以来、ルーシアのノラに対する態度は、戸惑いを滲ませながらも柔らかいものになった。
だがある日、ノラを猫の姿にしようとしていたルーシアをパトリシアは引き止める。姉がノラを殺そうとしているのではないかと。その懸念通り、ルーシアは母からノラの命を奪うよう命じられていた。かつてケルベロスはその返り血をもってルーシアに呪いをかけ、冥界を支配するだろうその強大な魔力を封じた。それがあの時、血まみれのノラに口づけして家まで担ぎ込んだその時、冥界の母は胎動するルーシアの魔力、サクラメントを感じたのだという。冥界に伝わる、真の皇女の前に現れるという伝説の獣。その血を飲み干せばケルベロスの呪いなどは霧散し、解き放たれたサクラメントの力はルーシアの身に戻るだろう。冥界の母はそう確信している。
だがルーシアは呪いも自らの一部でありそれをどうするかは自分が決めることだとして、母の指図を頑として受け入れない。血ではなく愛によって呪いは解ける。パトリシアの言ったその言葉の意味は今はまだわからないものの。ノラを腕に抱いた娘の、生まれて初めての反抗に息を呑んだ冥界の母は、犬を模した幻影をルーシアが破ったこともあり、渋々それを認める。そして同時に、冥界において蛮族とされる狂犬、ガルム一族がパトリシアを狙っていることを伝えた。
パトリシアを狙い地上に現れ始めたガルムの部下たち。その戦いの中でノラと通じ合い、その魔力に触発されたルーシアは封じられたサクラメントを発現させる。その力とノラの助けもあってガルムを退けたルーシアだが、光輝く魔力となったサクラメントは闇の世界である冥界には置いておけないものとなった。
地上に留まり続けるルーシアはノラと過ごす内に、その隣に寄り添う将来を明確に意識するようになっていく。これまでのような戦いの為ではない、家事や仕事といった女の甲斐性を学ぶことに喜びを感じてもいるようだった。そしてノラを猫とする内の獣もサクラメントによって浄化されたことで、二人がその愛情を確かめ合う為の障害もなくなった。ルーシアと冥界の母の間にあるわだかまりも、ノラと過ごす時間が少しずつ、いつかは癒してくれるだろう。
ノラとルーシアの日々は今日も賑やかで騒がしい。その日も、母からの少し早い結婚祝いだという、その意図するところのよくわからない翼竜が送られてきた。家を破壊されてはたまったものではない。そうして二人は今日も手を携えてそのトラブルに立ち向かっていくのだった。
<アイリスエンド>
地上に留まる中で学びの為、桜ヶ淵学園に通い始めたアイリス。同時に冥界の歴史も一から教え込もうとするパトリシアには辟易していながらも、その顔はどこか活き活きとしていた。そんな中、微熱が続いていたノラは医者から唐突な余命宣告を受ける。それは猫に染まりつつあるノラに残された時間だった。このままではノラは全てを忘れ、猫そのものとなってしまう。パトリシアが思い付く、すぐにでも叶う対処は一つしかない。事象に至るまであらゆる存在に忘却を与える力を持つアンクライの涙。それによってノラの内の獣だけを忘却で拭い去ることだった。だがその涙を流させるには命の営みが必要だという。
有り体に言ってセックスしてほしい。当然アイリスはそんな話に承知できるはずもない。それでも数日間、試行錯誤していたノラ。そんなさなかに、学園がアンクライ皇国の軍勢に囲まれるという出来事が起きる。輝かしさとは程遠い皇国の歴史書を城の書庫から持ち出し、エンド家の娘たちと馴れ合うアイリスの行いは、アンクライに住む亡霊たちにとっては許し難いことのようだった。そのままノラたちは冥界に引きずり込まれかける。忘れられることが怖いと言った自身が地上を謳歌し、国の亡霊たちを忘れようとしていた。それに気づいたアイリスの慚愧の涙が亡霊たちを浄化する。そして同時にノラの獣の呪いも。
ノラの言葉によって自分を見つめ直し、亡霊たちと意思を交わすことができたアイリス。そんなノラに対してアイリスは初めて抱く感情を自覚するようになった。やがてそれが口をついたアイリスは自らの身体を開く。
そうして恋人となったノラとアイリスだが、その日常はそう変わりなく賑やかに続いていた。そんな中、ノエルを通してアイリスの母が、エンド家の忘却を打ち消す為としてアンクライの涙を求めてくる。もちろんそのことに二人も異存なく、愛の営みから生まれた涙をアイリスは冥界へと持ち帰る。だがアイリスの母の目的はその涙を用いて冥界を忘却に沈めることだった。冥界の死者が地上の生者を想い縛られ続けることは不条理だとして。
冥界から逃れてきたアイリスの訴えによって事態を知ったノラたち。そしてパトリシアは母が危険極まりないアンクライ皇国を完全に滅ぼそうとしていることを伝える。アイリスを逃がす為に冥界に留まったノエルを救いだす、その決意でノラたちは再び冥界に踏み入った。
だが王城にあったのはノエル一人の姿だけだった。母がそこに囚われているとアイリスが思い込んでいた玉座の分厚い氷、融け落ちたそこには女王の石像があるだけ。それまで聞いていた母の声が、ノエルが王城の書庫から再生していた機械仕掛けのものだったことを、アイリスは初めて知る。人々に忘れられ悲しみの内に長い眠りについていたアイリスに、母が亡くなっていたことをノエルはどうしても伝えられなかった。そして母の声で地上に向かわせたアイリスが前を向いて歩き始めたことに安堵し、二度とこの地を踏むことがないよう忘却に沈めようとしていた。
自らの命を投げ出そうとしているノエルを止め、冥界に危害を加える意図はもはやないことを冥界の母に訴えたアイリス。それから時は過ぎて、アイリスは地上で春を初めて迎えていた。そこにはノラたち、そしてノエルの姿もある。アンクライ皇国を再興するという願いはまだ遠いが、その遥かに続く将来に向かってアイリスとノラが歩んでいくことに、揺らぎはない。
冬に沈んだ、止まった世界だけしか知らなかったアイリス。それが今は、春の世界に踏み出し自らの足跡を残すことを恐れていない。アイリスは今確かに生きている。
<プレイ時間>
ノブチナエンド(初回ルート)12時間34分、ユウラシアエンド2時間35分、ルーシアエンド9時間47分、Cat Thinking未読59分、Extra Story(ユウキ29分、未知41分、パトリシア37分、シャチ47分、ノエル1時間、アイリス30分)、アイリスエンド6時間38分。計36時間37分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
ちきんぐ、馬並下半身一郎、チ豆、萩ユキ、moment果汁(有限会社アフェス無月庭)、もみじ(有限会社アフェス無月庭)、カヤ(有限会社アフェス無月庭)、トン☆ヌラ、七条貞之、加藤リィン、桜祢マオ
<あとがき・2017/11/28>
・CG+エロ
前作、無印よりもオッパイが凄くいい。ニップル感がより強く出た乳輪がたまらないです。
後こう、無印やらぶおぶもそうでしたが、HARUKAZEは印象に残るエロの構図が結構あったりしますね。ヒロインの顔を隠して股間ドアップとか、クッソ下品な足立ちでのガニ股フェラとか騎乗位とか。それで純愛セックスしてくれるものだから素晴らしい。
抜ける構図は非常に多いのですが贅沢を言えばもう少しエロの量は欲しかった気がしなくもないですね。38枚なので非抜きゲの一般的な量はあると思うんですが。できれば5割80枚。80枚エロあれば凄いことになってましたね。
・ストーリー
ルーシアルートがめちゃくちゃよかったですね…。無印の頃からルーシアが一番好きで、でもその時はイベント的にはあまり恵まれてなかったので、今作で優遇されていたのはとても嬉しい。メインヒロインのアイリスルートよりボリュームがあるとは思わなかった。これを機会にグッズが出てくれるとありがたいんですが。
基本脳筋で妹以外に興味がなく、それに引きずられて男嫌いの気さえあるルーシアですが、それがデレるとやばい。恋人としてはいわゆるポンコツなんですが、普段は少なくとも姉としての姿がしっかりしている分、好きな男にだけは素の姿をありのままにしているギャップが感じられて。
アイリスルートは中身が結構シリアス風味でしたね。ただ細かいところではよりコメディ寄りという、HARUKAZEらしいルートですが。アイリス大明神とか…。このテキストでもビジュアルでも笑いを誘うHARUKAZEの姿勢が好き。
基本CG数160(内胸露出以上のエロCG数38)…エロ割合24%、回想数17。
エロ1CGあたりの尺は1分30秒(ノエル砂浜全裸うつ伏せ)から22分(ルーシア水着パイズリ)。平均12分30秒。
永続ループBGVなし(台詞ボイス永続ループ機能なし)、永続ループBGエロSEなし、イベント連戦時付着精液残留なし、尻モザなし、淫語P音修正あり、立ち絵鑑賞モードなし。
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