C¥Documents and Settings¥User¥My Document¥脳内彼女 プレイ済エロゲのストーリーを脳内に書き残しておく為のブロg彼女にドキュメントフォルダ開けられたら死ぬほど殴られた
注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
なないろリンカネーション (シルキーズプラス)
2014/9/26
©SILKY'S PLUS
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:4270字)
<ストーリー>
一ヶ月前に亡くなった祖父から遺産を相続した加賀見真。懐かしいその家には、子供の頃遊んでいた伊予が記憶に残る姿のままでいた。座敷童と今更ながらに明かした、霊視の力を持つ者以外に見えない少女は、先代に仕えていた鬼だという桔梗を紹介する。鬼を従え、街に生まれる迷い魂を鎮魂するという祖父の生業を初めて聞かされた真は、突飛な後継話に戸惑いつつも新たな生活を始めた。
その矢先に街中で出会った少女、滝川琴莉。その足元に控える犬の霊、それに気づかないまま姿を消した愛犬を探している。真の初の務めは決まった。だが犬のコタロウが成仏できない理由がわからない。鬼は主の精を受けて新たな鬼を生み出せる。残留思念を読み取ることのできる鬼を生む為に、真と桔梗は二人の子作りともとれる、その初めての夜に臨む。
新たに生まれた鬼、葵の力で飼い主へ寄せるコタロウの思いを読み、それを伝えた真。愛犬の供養を済ませた琴莉は感謝の気持ちと共に、命と命の最後を繋ぐこの仕事を手伝いたいと申し出た。そしてその夜、新たな鬼を生んだことで最後の力を失った桔梗が逝く。祖父から託されたものを噛み締めながら真は、桔梗への思いを胸に刻む。
伊予の助言から真は一般人にも視認できる、霊子を操る鬼を、葵との間に作った。芙蓉と名づけられた、桔梗と瓜二つの鬼。琴莉を含めて営まれる新たな日常、警察から連絡があったのはそんな頃だった。警察は以前から街の怪事件について加賀見の協力を仰いできた。その繋がりで真は伏見梓という新人刑事と面識を持つ。
人霊の鎮魂には会話を直接やり取りする必要がある。精神感応の力を持つ鬼アイリスを、芙蓉との間に儲けた真は、鬼たちのサポートの甲斐もあり初の鎮魂を無事に終わらせた。そして真はこの街に、土方由美が住んでいたことを偶然知る。かつて付き合っていた、だがすれ違いから徐々に距離が開き、今では他人行儀な関係となってしまっている彼女。その由美から真は、失踪した友人、嶋きららの捜索を頼まれる。だが彼女はすでに亡霊となって街に佇んでいた。
<梓ルート>
酒の勢いから肉体関係を持った真と梓。泥酔の結果とはいえ、二人の気持ちはいい加減なものではなかった。だが鎮魂の現場と、命を懸けても真を守るという琴莉の行動の源泉を慮った梓は、浮ついたものとして清算を切り出す。
(個別共通)
一方事件は、空腹に耐えかね弁当袋をさらった葵が拾った思念という全くの偶然から、殺人犯の正体が明らかとなる。弁当屋の息子の浪人生、自身を殺した恋人を庇い続けるきらら。それは愛する故の独占欲という、儚い望みに縋ってのものだった。だが葵とアイリスが調べをつけた、男が連続殺人犯という事実と、新たな獲物である由美の存在を告げられたことでついにその重い口を開く。
親戚が借り上げている、犯人の住む物件には幾人もの遺体が蒐集されている。そう見当がついていながらも、物証のない警察は強制捜査に踏み切れない。その務めは法の縛りの緩い真に委ねられた。カメラを携え忍び込んだ真はきららの遺体を発見し、そして強い既視感に襲われる。そこに真を追って現れた琴莉。目の前の保冷された首とその容貌は全く同一のものだった。琴莉は全てを思い出す。以前暴走した霊を抑えた、まるで同質のような彼女の力とコタロウが成仏できなかった二つの理由を、真も知るのだった。
女の身体を継ぎ接ぎする積み木遊びに興じる男をどうしても看過できない梓は独断で、自らの身体を囮にして自供を引き出す。アイリスの助言から万が一を危惧した真が商店街で見たものは、首を締め上げられ生死の淵を漂う梓の姿だった。怒りに任せた葵の一撃もあり、すんでのところで犯人は確保される。
だがまだ事件は終わっていない。街をさまよう琴莉と一つの約束を交わしその最期を見届けた梓。その口から全てを伝え聞いた真は、梓との生涯を心に決める。
それから指折り数えるほどの月日が流れた。仕事を控えた夫は、愛する妻子の前に顔を出す。母の腕に抱かれながら、幼娘はよく眠っていた。まるで華を手折ることのないように指でその頬を撫でる父は、そっとその名を呼びかける。琴莉、と。
<由美ルート>
始めは些細なきっかけだった。大学生同士の生活時間の食い違いから始まり、日に日に輝いていく由美に取り残されるような疎外感から、別れの言葉もなく遠ざかっていた二人。だがあの日の再会を再びの契機として、その時間は動き出した。由美のアパートでの夕食に誘われた真は、棚からコンドームの箱を見つけてしまう。恋人の存在を察し身を引こうとする真。だが由美はこの数年間、自らの身体に一切、男の手を触れさせていない。その思いは昔も、そして今この時も不変だった。去来する二つの感情に胸を詰まらせながら、真は手を伸ばした。二人は今、二度目の恋をしている。
だがそれでも御役目、何より芙蓉たちとの交わりは、由美にとって受け入れ難いものだった。そもそも由美には芙蓉を除いた鬼たちの姿が見えない。誠実であろうと隠し事を取り払った真の告白だったが、由美には御役目や鬼の存在が信じられない。ゆえに信じられるのは真のことだけだった。自身の身を案じるその表情を。由美は仕事を手伝わせてほしいと願い出る。
(個別共通)
一刻も早い解決と犠牲者の無念を晴らす為に、由美を囮とするよう真を説得する伊予。連続殺人の兆候さえ掴めず霊能者の情報提供からの把握という、世間の笑い種が公となりかねない警察の危機感も、そんな外道を肯定する後押しとなった。
犯人に一般人を自宅に招かせ、死体を見たとの通報を得た上での突入という警察の計画。だが自宅に入るなり凶行に及ぶ男に、控えていた葵とアイリスが行動に移る。そこからが伊予の計画だった。葵に押さえつけられ、そうとは知らぬ男は金縛りに動転しながら、アイリスによって呼び出された犠牲者たちの霊が動かす遺体を目の当たりにする。その陰惨な光景に犯人でさえ色を失い、その悲鳴は警ら中という風体だった梓たちを動かすには充分な材料となった。
事件の翌日、姿を見せた由美だがその様子はどこかそぐわない。その身体には琴莉が取り憑いていた。人を、家族を求める琴莉を、どうしても見放すことができない真。禁術を用いれば琴莉の魂を鬼へと変え由美と切り離すことが可能だが、それは人の輪廻から外れるものだと伊予は語る。真と、琴莉が眠りについたことで自我を取り戻し、その影響で鬼たちが見えるようになった由美は、彼女へ科せられる永劫の咎に苦悩し、それでもなお自らのエゴを貫き通す決意を固めた。
真と由美の精と血から受肉し、鬼として再びの生を受けた琴莉。自らの境遇に悲観することもなく、その表情は愛しいはらからと共に生きる喜びに満ちていた。三人はこれから片時も離れることなく、その生を全うしていく。死が彼らを別つ、その時まで。
<伊予ルート>
(個別共通)
(伊予・琴莉共通)
伊予は語る。道理から外れた悪鬼を毒をもって制するのもまた、守護者である加賀美の御役目だと。現代人の多くに精神の力は届かない。だが本来鬼の力は伝承の如く、人間への暴威そのもの。加賀美の血を吸うことで枷を外し、真の姿へと変貌した芙蓉たち鬼は、魂だけとなっている犠牲者たちの存在の具現化さえ成し得る。自らが手にかけた者たちの前に引っ立てられ、姿見や思念だけでなく、身体を切り刻まれる記憶や感覚にまで晒された男が正気を保つことは到底不可能だった。
決してそう口には出来ない、胸のつかえを下ろした真。事件は終わった。だがそこに琴莉はいない。その喪失感は、伊予に慰められたことで人恋しさへと移る。誰でも良かったわけではない。初恋同士だった二人がいずれ結ばれるのはそう遠くない定めだったように思われた。傍でその様子を見ていた琴莉には。
思いを封じ、それでもいつかまた巡り会う輪廻の果てを伊予に夢語り、涙の最後に笑顔で消えていく琴莉。惜別を望まれなかったただ一人の人間として真は、眠った振りに耐えた。代えがたい人をすぐ隣で亡くす苦しみ。御役目を続ける以上、これが最後とはならないだろう。だが自分だけは永遠に、この家にいる。ずっと側にいると、幼子のようになった真を掻き抱いて伊予は囁く。
あれからも真は加賀美の当主として、御役目を続けている。そのさなかに拾った子犬は真たちの新たな家族となった。今彼女は伊予の膝の上で穏やかに眠っている。温かな、日向の中に。
<琴莉ルート>
琴莉を妹のように思っていた真。だが琴莉からの告白は、自身が抱いていた感情がそれだけの思いではなかったことを気づかせる。兄や妹、探偵と助手という殻を取り払ったそこにはいつしか、互いが互いを求める恋心が育まれていた。
(個別共通)
(伊予・琴莉共通)
事件を終わらせた真は、街をさまよう琴莉を家に連れ帰る。心残りがなかろうはずがなく、だがそれでも真を自身に縛り付けることを受け入れず、運命を受け入れている琴莉。別れの日は近づいていた。その日真は琴莉に遊園地へと誘われる。それは二人にとって初めてのデートだった。
<続く日常エンド>
真の背を抱きすくめながら、コタロウの元へ逝こうとする琴莉。思いを殺し見送るつもりでいた。だがそれを迎えた刹那、そんな決意は吹き飛んだ。どうしてもできない。真は琴莉を呼び留め現世に縛り付ける。その覚悟を踏みにじってでも。祖父と桔梗への誓いを裏切ってでも。
家に帰った二人は鬼たちに温かく迎えられる。輪廻の流れに戻れない魂の消滅、それにはまだ時間が残されていると伊予もいう。いつかはこの日々にも終わりがやってくる。その日を先延ばしにしたにすぎない。だがせめてそれまでは、この瞬間の連続を慈しんで生きていく。真は琴莉の手を取り、その先には鬼たちが待っている。琴莉が出会いの時にそう名づけた、加賀美霊能探偵の一日が始まろうとしていた。
<リンカネーションエンド>
琴莉が逝って数日。真の無気力な日々は続いていた。鬼たちや梓の叱咤に動かねばとは思うものの、どうしても身体がそれについてこない。そんな真に伊予は、一枚の封書を手渡す。それはあの日琴莉が書き遺した、この世界への最後の痕跡だった。そこに綴られていたのは紙に表せないほどの感謝の言葉と、人生の最期に幸福を掴んだ彼女の別れの、そして再会への願い。恋人たちは願う。出会いがそもそも奇跡だったのならば、せめて神様、もう一度だけ、と。
それはいつかどこかで、七生の果てに紡がれた、何も知らない恋人たちの幸せな記憶。
<プレイ時間>
梓ルート(初回ルート)11時間20分、由美ルート(以下既読通常スキップ使用)4時間45分、伊予ルート2時間41分、琴莉ルート(続く日常エンド)3時間4分。琴莉ルート(リンカネーションエンド)18分。計22時間8分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
岡田亮(グラフィックチーフ)、安田和広(グラフィックチーフ)、相澤健一、秋葉啓太、安斉隆浩、多田弘
<あとがき・10/31>
(最初)医学部か…そのくらいのこと俺にもできる!→(三浪)ほざけ~っ!誰も俺のことをわかっちゃいねえんだ!→(末期)俺は天才だ!天才は何をしても許されるんだ!→(おわり)天才の俺がなんでこんな目に~!
10代後半から20代後半、黒髪長髪の中肉高背の男性による犯行。恐らく怨恨の線ではないか。自己顕示欲のような偏執的なものを事件現場から感じる。
最初は梓→琴莉→伊予→由美というルート順でやろうとしたんです。しっかし梓エンドを見て、これは琴莉を最後に回さんとあかんじゃろと。見た目の好みよりストーリーを優先するのはなかなかない。
そして第二ルートに由美。開幕でもう…。僕の為に塩辛オムライスを一生作って欲しいと強く念じました。ビッチギャルは由美を見習うべきだ。あれほど輝いて見えたすめらぎ琥珀学園長の聖ニンフォ学院が今では汚物に映る…。手は触れてないけどチ○ポは触れてるんでしょ?ギャハ!とかのたまいそう。
第三ルート伊予。見た目は大暮維人氏のエンジンルームってエロ本に出てた、ピーターパンに出てくるフック船長の娘のアイリってキャラにそっくりというか同一人物じゃねーかと、見るたびに常々思ってたんですが…。ゲスアイリとは違って素晴らしくいい子でした。千年処女ってみんな見守る者、守護者っていう立ち位置になるので母神性を感じる。処女なのに。
最終ルートの琴莉は…メリーゴーラウンドの下りがきつかった。もうなんとかどうにかこうにか幸せになってよと念じるしかありませんでした。二人はきっと報われたのです。必ず。
(感想:なないろリンカネーション)
(関連記事:あけいろ怪奇譚)
2014/9/26
©SILKY'S PLUS
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:4270字)
<ストーリー>
一ヶ月前に亡くなった祖父から遺産を相続した加賀見真。懐かしいその家には、子供の頃遊んでいた伊予が記憶に残る姿のままでいた。座敷童と今更ながらに明かした、霊視の力を持つ者以外に見えない少女は、先代に仕えていた鬼だという桔梗を紹介する。鬼を従え、街に生まれる迷い魂を鎮魂するという祖父の生業を初めて聞かされた真は、突飛な後継話に戸惑いつつも新たな生活を始めた。
その矢先に街中で出会った少女、滝川琴莉。その足元に控える犬の霊、それに気づかないまま姿を消した愛犬を探している。真の初の務めは決まった。だが犬のコタロウが成仏できない理由がわからない。鬼は主の精を受けて新たな鬼を生み出せる。残留思念を読み取ることのできる鬼を生む為に、真と桔梗は二人の子作りともとれる、その初めての夜に臨む。
新たに生まれた鬼、葵の力で飼い主へ寄せるコタロウの思いを読み、それを伝えた真。愛犬の供養を済ませた琴莉は感謝の気持ちと共に、命と命の最後を繋ぐこの仕事を手伝いたいと申し出た。そしてその夜、新たな鬼を生んだことで最後の力を失った桔梗が逝く。祖父から託されたものを噛み締めながら真は、桔梗への思いを胸に刻む。
伊予の助言から真は一般人にも視認できる、霊子を操る鬼を、葵との間に作った。芙蓉と名づけられた、桔梗と瓜二つの鬼。琴莉を含めて営まれる新たな日常、警察から連絡があったのはそんな頃だった。警察は以前から街の怪事件について加賀見の協力を仰いできた。その繋がりで真は伏見梓という新人刑事と面識を持つ。
人霊の鎮魂には会話を直接やり取りする必要がある。精神感応の力を持つ鬼アイリスを、芙蓉との間に儲けた真は、鬼たちのサポートの甲斐もあり初の鎮魂を無事に終わらせた。そして真はこの街に、土方由美が住んでいたことを偶然知る。かつて付き合っていた、だがすれ違いから徐々に距離が開き、今では他人行儀な関係となってしまっている彼女。その由美から真は、失踪した友人、嶋きららの捜索を頼まれる。だが彼女はすでに亡霊となって街に佇んでいた。
<梓ルート>
酒の勢いから肉体関係を持った真と梓。泥酔の結果とはいえ、二人の気持ちはいい加減なものではなかった。だが鎮魂の現場と、命を懸けても真を守るという琴莉の行動の源泉を慮った梓は、浮ついたものとして清算を切り出す。
(個別共通)
一方事件は、空腹に耐えかね弁当袋をさらった葵が拾った思念という全くの偶然から、殺人犯の正体が明らかとなる。弁当屋の息子の浪人生、自身を殺した恋人を庇い続けるきらら。それは愛する故の独占欲という、儚い望みに縋ってのものだった。だが葵とアイリスが調べをつけた、男が連続殺人犯という事実と、新たな獲物である由美の存在を告げられたことでついにその重い口を開く。
親戚が借り上げている、犯人の住む物件には幾人もの遺体が蒐集されている。そう見当がついていながらも、物証のない警察は強制捜査に踏み切れない。その務めは法の縛りの緩い真に委ねられた。カメラを携え忍び込んだ真はきららの遺体を発見し、そして強い既視感に襲われる。そこに真を追って現れた琴莉。目の前の保冷された首とその容貌は全く同一のものだった。琴莉は全てを思い出す。以前暴走した霊を抑えた、まるで同質のような彼女の力とコタロウが成仏できなかった二つの理由を、真も知るのだった。
女の身体を継ぎ接ぎする積み木遊びに興じる男をどうしても看過できない梓は独断で、自らの身体を囮にして自供を引き出す。アイリスの助言から万が一を危惧した真が商店街で見たものは、首を締め上げられ生死の淵を漂う梓の姿だった。怒りに任せた葵の一撃もあり、すんでのところで犯人は確保される。
だがまだ事件は終わっていない。街をさまよう琴莉と一つの約束を交わしその最期を見届けた梓。その口から全てを伝え聞いた真は、梓との生涯を心に決める。
それから指折り数えるほどの月日が流れた。仕事を控えた夫は、愛する妻子の前に顔を出す。母の腕に抱かれながら、幼娘はよく眠っていた。まるで華を手折ることのないように指でその頬を撫でる父は、そっとその名を呼びかける。琴莉、と。
<由美ルート>
始めは些細なきっかけだった。大学生同士の生活時間の食い違いから始まり、日に日に輝いていく由美に取り残されるような疎外感から、別れの言葉もなく遠ざかっていた二人。だがあの日の再会を再びの契機として、その時間は動き出した。由美のアパートでの夕食に誘われた真は、棚からコンドームの箱を見つけてしまう。恋人の存在を察し身を引こうとする真。だが由美はこの数年間、自らの身体に一切、男の手を触れさせていない。その思いは昔も、そして今この時も不変だった。去来する二つの感情に胸を詰まらせながら、真は手を伸ばした。二人は今、二度目の恋をしている。
だがそれでも御役目、何より芙蓉たちとの交わりは、由美にとって受け入れ難いものだった。そもそも由美には芙蓉を除いた鬼たちの姿が見えない。誠実であろうと隠し事を取り払った真の告白だったが、由美には御役目や鬼の存在が信じられない。ゆえに信じられるのは真のことだけだった。自身の身を案じるその表情を。由美は仕事を手伝わせてほしいと願い出る。
(個別共通)
一刻も早い解決と犠牲者の無念を晴らす為に、由美を囮とするよう真を説得する伊予。連続殺人の兆候さえ掴めず霊能者の情報提供からの把握という、世間の笑い種が公となりかねない警察の危機感も、そんな外道を肯定する後押しとなった。
犯人に一般人を自宅に招かせ、死体を見たとの通報を得た上での突入という警察の計画。だが自宅に入るなり凶行に及ぶ男に、控えていた葵とアイリスが行動に移る。そこからが伊予の計画だった。葵に押さえつけられ、そうとは知らぬ男は金縛りに動転しながら、アイリスによって呼び出された犠牲者たちの霊が動かす遺体を目の当たりにする。その陰惨な光景に犯人でさえ色を失い、その悲鳴は警ら中という風体だった梓たちを動かすには充分な材料となった。
事件の翌日、姿を見せた由美だがその様子はどこかそぐわない。その身体には琴莉が取り憑いていた。人を、家族を求める琴莉を、どうしても見放すことができない真。禁術を用いれば琴莉の魂を鬼へと変え由美と切り離すことが可能だが、それは人の輪廻から外れるものだと伊予は語る。真と、琴莉が眠りについたことで自我を取り戻し、その影響で鬼たちが見えるようになった由美は、彼女へ科せられる永劫の咎に苦悩し、それでもなお自らのエゴを貫き通す決意を固めた。
真と由美の精と血から受肉し、鬼として再びの生を受けた琴莉。自らの境遇に悲観することもなく、その表情は愛しいはらからと共に生きる喜びに満ちていた。三人はこれから片時も離れることなく、その生を全うしていく。死が彼らを別つ、その時まで。
<伊予ルート>
(個別共通)
(伊予・琴莉共通)
伊予は語る。道理から外れた悪鬼を毒をもって制するのもまた、守護者である加賀美の御役目だと。現代人の多くに精神の力は届かない。だが本来鬼の力は伝承の如く、人間への暴威そのもの。加賀美の血を吸うことで枷を外し、真の姿へと変貌した芙蓉たち鬼は、魂だけとなっている犠牲者たちの存在の具現化さえ成し得る。自らが手にかけた者たちの前に引っ立てられ、姿見や思念だけでなく、身体を切り刻まれる記憶や感覚にまで晒された男が正気を保つことは到底不可能だった。
決してそう口には出来ない、胸のつかえを下ろした真。事件は終わった。だがそこに琴莉はいない。その喪失感は、伊予に慰められたことで人恋しさへと移る。誰でも良かったわけではない。初恋同士だった二人がいずれ結ばれるのはそう遠くない定めだったように思われた。傍でその様子を見ていた琴莉には。
思いを封じ、それでもいつかまた巡り会う輪廻の果てを伊予に夢語り、涙の最後に笑顔で消えていく琴莉。惜別を望まれなかったただ一人の人間として真は、眠った振りに耐えた。代えがたい人をすぐ隣で亡くす苦しみ。御役目を続ける以上、これが最後とはならないだろう。だが自分だけは永遠に、この家にいる。ずっと側にいると、幼子のようになった真を掻き抱いて伊予は囁く。
あれからも真は加賀美の当主として、御役目を続けている。そのさなかに拾った子犬は真たちの新たな家族となった。今彼女は伊予の膝の上で穏やかに眠っている。温かな、日向の中に。
<琴莉ルート>
琴莉を妹のように思っていた真。だが琴莉からの告白は、自身が抱いていた感情がそれだけの思いではなかったことを気づかせる。兄や妹、探偵と助手という殻を取り払ったそこにはいつしか、互いが互いを求める恋心が育まれていた。
(個別共通)
(伊予・琴莉共通)
事件を終わらせた真は、街をさまよう琴莉を家に連れ帰る。心残りがなかろうはずがなく、だがそれでも真を自身に縛り付けることを受け入れず、運命を受け入れている琴莉。別れの日は近づいていた。その日真は琴莉に遊園地へと誘われる。それは二人にとって初めてのデートだった。
<続く日常エンド>
真の背を抱きすくめながら、コタロウの元へ逝こうとする琴莉。思いを殺し見送るつもりでいた。だがそれを迎えた刹那、そんな決意は吹き飛んだ。どうしてもできない。真は琴莉を呼び留め現世に縛り付ける。その覚悟を踏みにじってでも。祖父と桔梗への誓いを裏切ってでも。
家に帰った二人は鬼たちに温かく迎えられる。輪廻の流れに戻れない魂の消滅、それにはまだ時間が残されていると伊予もいう。いつかはこの日々にも終わりがやってくる。その日を先延ばしにしたにすぎない。だがせめてそれまでは、この瞬間の連続を慈しんで生きていく。真は琴莉の手を取り、その先には鬼たちが待っている。琴莉が出会いの時にそう名づけた、加賀美霊能探偵の一日が始まろうとしていた。
<リンカネーションエンド>
琴莉が逝って数日。真の無気力な日々は続いていた。鬼たちや梓の叱咤に動かねばとは思うものの、どうしても身体がそれについてこない。そんな真に伊予は、一枚の封書を手渡す。それはあの日琴莉が書き遺した、この世界への最後の痕跡だった。そこに綴られていたのは紙に表せないほどの感謝の言葉と、人生の最期に幸福を掴んだ彼女の別れの、そして再会への願い。恋人たちは願う。出会いがそもそも奇跡だったのならば、せめて神様、もう一度だけ、と。
それはいつかどこかで、七生の果てに紡がれた、何も知らない恋人たちの幸せな記憶。
<プレイ時間>
梓ルート(初回ルート)11時間20分、由美ルート(以下既読通常スキップ使用)4時間45分、伊予ルート2時間41分、琴莉ルート(続く日常エンド)3時間4分。琴莉ルート(リンカネーションエンド)18分。計22時間8分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
岡田亮(グラフィックチーフ)、安田和広(グラフィックチーフ)、相澤健一、秋葉啓太、安斉隆浩、多田弘
<あとがき・10/31>
(最初)医学部か…そのくらいのこと俺にもできる!→(三浪)ほざけ~っ!誰も俺のことをわかっちゃいねえんだ!→(末期)俺は天才だ!天才は何をしても許されるんだ!→(おわり)天才の俺がなんでこんな目に~!
10代後半から20代後半、黒髪長髪の中肉高背の男性による犯行。恐らく怨恨の線ではないか。自己顕示欲のような偏執的なものを事件現場から感じる。
最初は梓→琴莉→伊予→由美というルート順でやろうとしたんです。しっかし梓エンドを見て、これは琴莉を最後に回さんとあかんじゃろと。見た目の好みよりストーリーを優先するのはなかなかない。
そして第二ルートに由美。開幕でもう…。僕の為に塩辛オムライスを一生作って欲しいと強く念じました。ビッチギャルは由美を見習うべきだ。あれほど輝いて見えたすめらぎ琥珀学園長の聖ニンフォ学院が今では汚物に映る…。手は触れてないけどチ○ポは触れてるんでしょ?ギャハ!とかのたまいそう。
第三ルート伊予。見た目は大暮維人氏のエンジンルームってエロ本に出てた、ピーターパンに出てくるフック船長の娘のアイリってキャラにそっくりというか同一人物じゃねーかと、見るたびに常々思ってたんですが…。ゲスアイリとは違って素晴らしくいい子でした。千年処女ってみんな見守る者、守護者っていう立ち位置になるので母神性を感じる。処女なのに。
最終ルートの琴莉は…メリーゴーラウンドの下りがきつかった。もうなんとかどうにかこうにか幸せになってよと念じるしかありませんでした。二人はきっと報われたのです。必ず。
(感想:なないろリンカネーション)
(関連記事:あけいろ怪奇譚)
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