C¥Documents and Settings¥User¥My Document¥脳内彼女 プレイ済エロゲのストーリーを脳内に書き残しておく為のブロg彼女にドキュメントフォルダ開けられたら死ぬほど殴られた
注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
夏の終わりのニルヴァーナ (ぱじゃまソフト)
2013/1/25
©PENCIL/PAJAMAS SOFT
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:5444字)
<共通>
閻魔大王である耶摩天の息子、カルマ。1200年生きながらまだ未熟とされたカルマはある試練の為に、冥府と人間界の狭間に浮かぶ、人間界の一部を模した浮世へと赴く。そこで同じ天人である奪衣婆に会い、その試練が四人の亡者を裁くことであることを知らされる。耶摩代学園へと移動したカルマはそこに現れた千手菩薩の言葉に従い、亡者の一人、橘美羽夜に自らの持つ断罪の笏剣で罪を問う。
だがその告解の力を弾かれたカルマに対して、四人が記憶を失っておりゆえに罪のありかも知れないことを千手は明かす。そしてカルマは助手を買って出た幼馴染のクオンと共に、四人と絆を深めることで彼女らを理解し、生前の記憶を思い起こさせ罪を自覚させる必要があることを悟る。
賽の河原でのバーベキュー、千手から与えられた経典試験、彼岸での盆にあたる六道祭。ことあるごとに損な役割に振り回されながらも、カルマはそれらの行事を通して彼女らについて理解を深めていく。そんな中カルマは父の耶摩天から譲られた、罪人の情報が書き込まれていく小閻魔帳から、ノノを除く三人の肉体が未だ現世で滅びず保持されていることを知る。だがそれを伝えられても喜ぶどころか生への執着を否定する三人。
自身の過去視の力でこれまでたびたび、彼女らの失われた記憶の断片を垣間見てきたカルマは、その意味に考えあぐむのだった。
<個別>
ナユ(如月那由)
人一倍の元気を見せながら、人並みの運動にも耐えられないナユ。カルマは身体の調子を崩したナユに触れ、その記憶を深くさらう。
翌日人が変わったように消沈した様子のナユは、いつものように自身の死を願うミハヤに対して、彼女らしからぬ怒りを爆発させる。命を捨てるミハヤの行動に強い拒否感を表すナユ。そして彼女から突如渦巻き出す力場。それは校舎を破壊し、浮世すら揺るがし始める。カルマはそれがナユの背負う「業」によるものと見抜き、自身の傷を厭わず断罪の笏剣を使い、忘我の暴走から彼女を救い出す。
その後運び込まれたレイアの家で正気を取り戻したナユから、思い出した記憶の全てを伝え聞くカルマ。生前の彼女は生まれつき重い病を抱えており、そしてついには余命半年の宣告を受けた。最後の入院の直前、一度も通ったことのなかった学園に向かったナユは、夏休みの午後であるにも関わらず彼女たちと出会う。
言葉はなく、ただそこに立ちその曲、「遠き山に日は落ちて」に耳を傾けた。一瞬の邂逅を果たした二人に強く生きて欲しいと願い、何か奥底から湧き上がる熱い感情を抱えて走り出したナユ。だがその途上で彼女はついに倒れ、そしてここ彼岸へと辿りつく。
生きたいと願いながらも、約束された死に絶望するナユ。だがカルマはその生に意味がないとは思えなかった。垣間見た記憶にあった、幼いナユとその母が育てたコスモスの種を添えて、飛ばした風船。そしてカルマはレイアの家の窓を開け放つ。そこに広がる光景は、ナユの心が打ち捨てられず誰かへと受け継がれた証。
<ナユエンド1>
そしてカルマは裁定者としてナユの前に立つ。その裁きは六道の一、天道。だがナユはそれを退け、塗炭の苦しみにまみれた自らの肉体への回帰を望む。その告白と笑顔を前にしてカルマは口を突きかけた言葉を飲み込み、彼女を送り出す。それでも生きることを決意した彼女への、せめてもの祝福と共に。
<ナユエンド2・出家ノ章+修験ノ章>
生きる希望を見出せないナユ。そんな彼女に対してカルマは自身がいると告げ、そして二人は結ばれる。裁きで天道への輪廻を口にしかけたカルマだが、それを破り自身と共にこの浮世へと残って欲しいと告げる。それを受け入れたナユ。早良和尚のように生き仏となる道を歩み始めたナユは、カルマの傍に寄り添う。
ミハヤ(橘美羽夜)
自身の生が呪われていると語り、ことあるごとに自殺を図るミハヤ。カルマはそんな彼女の行動に直接巻き込まれながら、魂魄がそういったことでは消滅しないことを言い聞かせ続ける。
そんな中でカルマはふとしたことからミハヤの誕生日を知り、クオンたちの賛成を取り付けた上で彼女の家での誕生会を開く。だが並べられたケーキと立てられたロウソクの火を見たミハヤは表情を凍りつかせる。そして業に引きずられた彼女はその炎を燃え上がらせた。
早良和尚と共に火中を切り抜けクオンたちを脱出させたカルマだが、家の中に取り残されていたミハヤを救う為に、炎に包まれた家に引き返す。そしてミハヤから流れ込む記憶に触れたカルマ。
ミハヤの母は彼女を産んだその日に亡くなり、父もまた火事となった家からミハヤを救い出した傷が元となって死んだ。誕生日、父の帰りを待ちきれずケーキのロウソクに火を灯した為に。父と再婚するはずだった、ミハヤの母の妹である陽子。ミハヤはその幸せを奪い、誕生日に両親を死なせたと悔やみ、そして自身を呪った。
カルマはそんな彼女をどうにか家の外へ引っ張り出すが、一息ついた時そこにミハヤの姿はなかった。一度散歩で通りがかった、浮世と虚空の境界である断崖を思い起こしたカルマはそこへ向かい、身を投げたミハヤの腕をすんでのところで掴んだ。自責と応報の念に耐え切れないミハヤはその手を離すよう懇願する。だがカルマを通してミハヤに伝わる、母と父、叔母の願い。
母は産まれる娘に万感の思いを託し、父はそれを守り、叔母はそれを受け継ごうとした。その誰もが、ミハヤがここで消える為にそれを為したのでは決してなかった。カルマもまたその思いを受け取ったかのように、ここに寄り添うことが叶わなかった彼らに代わってその言葉をつむぐ。
<ミハヤエンド1>
そしてカルマは裁定者としてミハヤの前に立つ。その裁きは人間道への回帰。最も重い罪を背負うミハヤはその判決に驚くが、カルマは此岸に残してきた者の存在を指摘する。そしてミハヤの両親がそうだったように、人の営みを歩み、命尽きて再びここへ降り立つことを諭すのだった。
<ミハヤエンド2・送リ火ノ章+迎エ火ノ章>
別れがたい二人はその身体を重ね合わせる。そして判決の時。カルマはミハヤに人間道への回帰を命じる。
一ヶ月の昏睡から目を覚ました美羽夜。なぜ急にそんな気持ちになったのかは不思議と釈然としなかったが自らの心に向き合い、陽子との間のわだかまりもほぐれた美羽夜は彼女との食事の為に商店街で待ち合わせをしていた。そこへ現れる男子学生。見覚えのないはずの彼を見てなぜか美羽夜の目には涙があふれ、それをとどめることができなかった。
迦留魔というその名にも覚えのない美羽夜。だが不思議と安らぎを彼から感じた。わずかな時間を共にする二人だが、迦留魔は突如現れた着物着の少女に連れられていずこかへと帰って行く。また必ず会いに来ると言い残して。
レイア(九条院玲亜)
カルマとことごとく衝突する、気の強いお嬢様のレイア。そしてそんな彼女を一目見てなぜかご主人様と慕うノノ。カルマはノノの失われた記憶に触れ、彼女がレイアの飼っていた犬であったことを知る。かつてパピーウォーカーとして子犬を預かった幼いレイアは、人間の友達のようにノノを可愛がった。
そして彼岸で再び同じ時を刻み始めた二人。カルマに対する刺々しい態度も鳴りを潜め、全てが順調に進むかと思われた矢先、レイアは突如目の光を失ってしまう。
生前、代議士であった父の汚職が発覚し、心無い好奇の視線を向けられたレイア。その結果をここでもなぞり始めていた。そしてノノに強く依存するようになり、この箱庭を失うことを恐れたレイアは、裁定を控えるカルマを敵とみなす。そして最後にはノノさえ拒絶した。
横軸の一つずれた世界へ追放された一同。その世界でのレイアは、全てから目を背けた凶暴な力の渦となっていた。そこに分け入ったカルマとノノは、仲間たちの外からの呼びかけに言葉を重ねてレイアを救い出す。
<レイアエンド1>
そしてカルマは裁定者として二人の前に立つ。そしてカルマはすでにノノの肉体が現世にはないことを、レイアに打ち明ける。
自宅でつまずき頭を打ったレイアはその後しばらくして、激しい頭の痛みに倒れる。盲導犬であるノノは教えの通り、主人の傍を離れられずにいた。
だがそれを破り人を呼ぶ為にノノはその場を駆け出し、そして直後車に轢かれてしまう。驚いて車を降りた家族連れを引っ張り、どうにかレイアの存在を気づかせたノノはそこで力尽きたのだった。
レイアを救ったノノを天道に、人を遠ざけた罪を持ったレイアを人間道へという判決を下したカルマ。ノノのいない世界で独り生きることに強く怯えるレイアだが、カルマは救われたその命を捨て去ることを許さなかった。ノノもまたレイアの生を望み、主人への愛とその願いを告げる。
思いを託されたレイアは消えゆくその手を握り締めながら、彼女に最後の誓いを立てた。
<レイアエンド2+ノノエンド・煩悩ノ章+歓喜ノ章+甘露ノ章>
正気を取り戻したレイアは、人を信じる強さをくれたカルマに惹かれ、二人は結ばれる。そしてレイアに審判を下したカルマだが、やはり自身の心を歪めてまでそれを押し通すことは出来なかった。レイアとノノはカルマと共に浮世に残ることを決める。再び時を刻み始める三人の生活。それは現世では叶わなかった、二人にとっての幻のような夢の時間。
クオン(久遠)
ノノを輪廻させ、三人を現世へと送り返したカルマ。千手を通して伝えられる天上の評決を待つ間、カルマはクオンと共に浮世へと留まる。だがそんな中でカルマは身に覚えのないクオンについての夢を見るようになり、またそれにつれて周囲に異変が起こり始める。
浮世の大結界である五鈷杵が光り始め、そしてクオンが体調を崩し、その姿が霞のように薄れることが度々起こった。早良和尚と奪衣婆の二人は、自身とクオンの持つ縁に向き合うようカルマに告げる。
断罪の笏剣を使い自身の魂を引き出したカルマは、そこに封印された戒めを見る。ナユたちと同じように自身も記憶を失っていたことを知り、その身に断罪の笏剣を突き立てその封印をこじ開けた。
延暦三年。奪衣婆に連れられ初めて人間道を訪れた迦留魔は、そこで久遠という幼い少女と出会う。彼女の母親の形見である櫛を壊してしまい、そして手作りの櫛を渡した二人の間には縁が芽生える。その十年後、再び耶摩代の里を訪れた迦留魔。久遠と同じく早良和尚の耶摩代寺に身を寄せる、奈津という少女とも仲を深めていく。
その頃都ではある噂が流れていた。十年ほど昔に暗殺された中納言式部卿・藤原種継の残した書簡から見つかった、配流された廃皇后の持ち物である櫛をある娘が持っていたという記述。帝は廃皇后にいたく執心しており、左大臣・藤原是公はこれを苦々しく思っていた。
山に入った迦留魔はそこで熊に襲われる少女を見つけ助け出す。藤原伊予と名乗る貴人とその女房である寧子を連れ、迦留魔は里に戻る。そして内裏を抜け出してきた伊予を追って現れた、左衛門尉である大伴美羽。三人は寺に一日逗留することとなる。
内裏で是公と出くわした伊予は、噂で聞いた帝の櫛探しを手伝っているのだと咄嗟にごまかす。二つに割れた久遠の櫛のことを聞いた是公は、寧子にそれを持ってくるよう命じる。菊の御紋が彫りこまれたその櫛を見た是公。そして悲劇が起きる。皇統を僭称する大逆人を討伐するとして是公は軍を興し、里を焼き払った。
伊予の好意のもと内裏で病を治療していた奈津は病身をおして里に向かい、その道中で力尽きて倒れた。祖父を悪辣となじり拒絶した伊予は是公自身に斬られ、それを聞き狂乱した寧子もまた斬り捨てられた。伊予たちを守れなかったどころか是公の側についた美羽は自身を呪い断崖から身を投げ、早良和尚も是公を呪詛しながら息絶えた。
矢を射かけられた久遠をかばった迦留魔。だがたった一本、庇いきれなかった矢が久遠の命を奪う。迦留魔は都に攻め入り是公を誅しかけるが、それを千手に引き止められた。
全てを思い出したカルマ。そしてカルマの血を口から体内に取り入れたクオンの肉体が不死となり、1200年の時を超えて現世に留まり続けていることを千手から知らされる。
肉体にかけられた封印が時と共にほころび始め、その魂を引き寄せていること。縁を持った少女たちを輪廻させず、更にカルマが記憶を取り戻したことでクオンとの縁が強固になったこと。このままでは不死の人間という特異が、人間道にあまねく全ての縁を崩壊させることをカルマに伝えた千手。
身を切られるような逡巡の後、ついに決意するカルマ。だがその時すでにそこにクオンの姿はなかった。人間道へと降り立ったカルマはかつて縁を絡ませた彼女たちの導きで、クオンの元に辿りつく。
全ての記憶を失ったクオンを前にして断罪の笏剣を顕現させるカルマだが、それを彼女の胸に突き立てることはついにできなかった。そして世界が彼女を受け入れられないのならば、せめて自身だけはと決心する。天と地の人々に永久の別れを告げたカルマは、断罪の笏剣で二人に連なる全ての縁を断ち切る。六道への縁を失い、ただ二人きりとなったカルマとクオンは悠久の旅人となった。弥勒が全てを救うとされる、涅槃の時まで。
<悠久ノ章>
あれから幾万度目かの夏。誰に省みられることもなく、二人きり。カルマはいつものようにクオンの髪をすく。だがその日のクオンの表情はいつもとは違った。まるでそれは、いつかのことを思い出した子供のように。
<プレイ時間>
共通6時間5分、那由ノ章2時間40分、出家ノ章+修験ノ章25分、美羽夜ノ章2時間45分、送リ火ノ章+迎エ火ノ章30分、玲亜ノ章2時間40分、煩悩ノ章+歓喜ノ章+甘露ノ章50分、久遠ノ章(業、本懐、終章含む)5時間30分、悠久ノ章10分、極楽ノ章10分。計21時間45分。
<印象に残ったシーン>
<グラフィッカー情報・敬称略>
トトメス、しゅべっち、朝雛依、服部米、江森美沙樹、村政竜之輔、カズマサ、くない瓜
<あとがき・2/5>
三人の人間は人として強く生きることを選び、天人である彼はあえて言えば神として「死ぬ」ことを選んだ。非常に人間臭い神である彼がその選択をしたことはとても皮肉だと思いました。
上記の是公の言葉は真実なんでしょう。誰かの為に敵を亡き者にし続けて、気づいたらその大切だったはずの人間も消えていた。歴史を見るとそんな風が読み取れる暴君は幾人も見受けられます。
あと業ノ章であった、レタスがそんな昔に作られてるわけないだろ!いい加減にしろ!と思って調べたら、原産の葉レタスは奈良時代にはすでに渡来してたらしく驚愕。
カルマ「そんなことも知らなかったのか、人間」
「そそそそんなこと知らなくても作れるし」(顔赤)
2013/1/25
©PENCIL/PAJAMAS SOFT
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:5444字)
<共通>
閻魔大王である耶摩天の息子、カルマ。1200年生きながらまだ未熟とされたカルマはある試練の為に、冥府と人間界の狭間に浮かぶ、人間界の一部を模した浮世へと赴く。そこで同じ天人である奪衣婆に会い、その試練が四人の亡者を裁くことであることを知らされる。耶摩代学園へと移動したカルマはそこに現れた千手菩薩の言葉に従い、亡者の一人、橘美羽夜に自らの持つ断罪の笏剣で罪を問う。
だがその告解の力を弾かれたカルマに対して、四人が記憶を失っておりゆえに罪のありかも知れないことを千手は明かす。そしてカルマは助手を買って出た幼馴染のクオンと共に、四人と絆を深めることで彼女らを理解し、生前の記憶を思い起こさせ罪を自覚させる必要があることを悟る。
賽の河原でのバーベキュー、千手から与えられた経典試験、彼岸での盆にあたる六道祭。ことあるごとに損な役割に振り回されながらも、カルマはそれらの行事を通して彼女らについて理解を深めていく。そんな中カルマは父の耶摩天から譲られた、罪人の情報が書き込まれていく小閻魔帳から、ノノを除く三人の肉体が未だ現世で滅びず保持されていることを知る。だがそれを伝えられても喜ぶどころか生への執着を否定する三人。
自身の過去視の力でこれまでたびたび、彼女らの失われた記憶の断片を垣間見てきたカルマは、その意味に考えあぐむのだった。
<個別>
ナユ(如月那由)
人一倍の元気を見せながら、人並みの運動にも耐えられないナユ。カルマは身体の調子を崩したナユに触れ、その記憶を深くさらう。
翌日人が変わったように消沈した様子のナユは、いつものように自身の死を願うミハヤに対して、彼女らしからぬ怒りを爆発させる。命を捨てるミハヤの行動に強い拒否感を表すナユ。そして彼女から突如渦巻き出す力場。それは校舎を破壊し、浮世すら揺るがし始める。カルマはそれがナユの背負う「業」によるものと見抜き、自身の傷を厭わず断罪の笏剣を使い、忘我の暴走から彼女を救い出す。
その後運び込まれたレイアの家で正気を取り戻したナユから、思い出した記憶の全てを伝え聞くカルマ。生前の彼女は生まれつき重い病を抱えており、そしてついには余命半年の宣告を受けた。最後の入院の直前、一度も通ったことのなかった学園に向かったナユは、夏休みの午後であるにも関わらず彼女たちと出会う。
言葉はなく、ただそこに立ちその曲、「遠き山に日は落ちて」に耳を傾けた。一瞬の邂逅を果たした二人に強く生きて欲しいと願い、何か奥底から湧き上がる熱い感情を抱えて走り出したナユ。だがその途上で彼女はついに倒れ、そしてここ彼岸へと辿りつく。
生きたいと願いながらも、約束された死に絶望するナユ。だがカルマはその生に意味がないとは思えなかった。垣間見た記憶にあった、幼いナユとその母が育てたコスモスの種を添えて、飛ばした風船。そしてカルマはレイアの家の窓を開け放つ。そこに広がる光景は、ナユの心が打ち捨てられず誰かへと受け継がれた証。
<ナユエンド1>
そしてカルマは裁定者としてナユの前に立つ。その裁きは六道の一、天道。だがナユはそれを退け、塗炭の苦しみにまみれた自らの肉体への回帰を望む。その告白と笑顔を前にしてカルマは口を突きかけた言葉を飲み込み、彼女を送り出す。それでも生きることを決意した彼女への、せめてもの祝福と共に。
<ナユエンド2・出家ノ章+修験ノ章>
生きる希望を見出せないナユ。そんな彼女に対してカルマは自身がいると告げ、そして二人は結ばれる。裁きで天道への輪廻を口にしかけたカルマだが、それを破り自身と共にこの浮世へと残って欲しいと告げる。それを受け入れたナユ。早良和尚のように生き仏となる道を歩み始めたナユは、カルマの傍に寄り添う。
ミハヤ(橘美羽夜)
自身の生が呪われていると語り、ことあるごとに自殺を図るミハヤ。カルマはそんな彼女の行動に直接巻き込まれながら、魂魄がそういったことでは消滅しないことを言い聞かせ続ける。
そんな中でカルマはふとしたことからミハヤの誕生日を知り、クオンたちの賛成を取り付けた上で彼女の家での誕生会を開く。だが並べられたケーキと立てられたロウソクの火を見たミハヤは表情を凍りつかせる。そして業に引きずられた彼女はその炎を燃え上がらせた。
早良和尚と共に火中を切り抜けクオンたちを脱出させたカルマだが、家の中に取り残されていたミハヤを救う為に、炎に包まれた家に引き返す。そしてミハヤから流れ込む記憶に触れたカルマ。
ミハヤの母は彼女を産んだその日に亡くなり、父もまた火事となった家からミハヤを救い出した傷が元となって死んだ。誕生日、父の帰りを待ちきれずケーキのロウソクに火を灯した為に。父と再婚するはずだった、ミハヤの母の妹である陽子。ミハヤはその幸せを奪い、誕生日に両親を死なせたと悔やみ、そして自身を呪った。
カルマはそんな彼女をどうにか家の外へ引っ張り出すが、一息ついた時そこにミハヤの姿はなかった。一度散歩で通りがかった、浮世と虚空の境界である断崖を思い起こしたカルマはそこへ向かい、身を投げたミハヤの腕をすんでのところで掴んだ。自責と応報の念に耐え切れないミハヤはその手を離すよう懇願する。だがカルマを通してミハヤに伝わる、母と父、叔母の願い。
母は産まれる娘に万感の思いを託し、父はそれを守り、叔母はそれを受け継ごうとした。その誰もが、ミハヤがここで消える為にそれを為したのでは決してなかった。カルマもまたその思いを受け取ったかのように、ここに寄り添うことが叶わなかった彼らに代わってその言葉をつむぐ。
<ミハヤエンド1>
そしてカルマは裁定者としてミハヤの前に立つ。その裁きは人間道への回帰。最も重い罪を背負うミハヤはその判決に驚くが、カルマは此岸に残してきた者の存在を指摘する。そしてミハヤの両親がそうだったように、人の営みを歩み、命尽きて再びここへ降り立つことを諭すのだった。
<ミハヤエンド2・送リ火ノ章+迎エ火ノ章>
別れがたい二人はその身体を重ね合わせる。そして判決の時。カルマはミハヤに人間道への回帰を命じる。
一ヶ月の昏睡から目を覚ました美羽夜。なぜ急にそんな気持ちになったのかは不思議と釈然としなかったが自らの心に向き合い、陽子との間のわだかまりもほぐれた美羽夜は彼女との食事の為に商店街で待ち合わせをしていた。そこへ現れる男子学生。見覚えのないはずの彼を見てなぜか美羽夜の目には涙があふれ、それをとどめることができなかった。
迦留魔というその名にも覚えのない美羽夜。だが不思議と安らぎを彼から感じた。わずかな時間を共にする二人だが、迦留魔は突如現れた着物着の少女に連れられていずこかへと帰って行く。また必ず会いに来ると言い残して。
レイア(九条院玲亜)
カルマとことごとく衝突する、気の強いお嬢様のレイア。そしてそんな彼女を一目見てなぜかご主人様と慕うノノ。カルマはノノの失われた記憶に触れ、彼女がレイアの飼っていた犬であったことを知る。かつてパピーウォーカーとして子犬を預かった幼いレイアは、人間の友達のようにノノを可愛がった。
そして彼岸で再び同じ時を刻み始めた二人。カルマに対する刺々しい態度も鳴りを潜め、全てが順調に進むかと思われた矢先、レイアは突如目の光を失ってしまう。
生前、代議士であった父の汚職が発覚し、心無い好奇の視線を向けられたレイア。その結果をここでもなぞり始めていた。そしてノノに強く依存するようになり、この箱庭を失うことを恐れたレイアは、裁定を控えるカルマを敵とみなす。そして最後にはノノさえ拒絶した。
横軸の一つずれた世界へ追放された一同。その世界でのレイアは、全てから目を背けた凶暴な力の渦となっていた。そこに分け入ったカルマとノノは、仲間たちの外からの呼びかけに言葉を重ねてレイアを救い出す。
<レイアエンド1>
そしてカルマは裁定者として二人の前に立つ。そしてカルマはすでにノノの肉体が現世にはないことを、レイアに打ち明ける。
自宅でつまずき頭を打ったレイアはその後しばらくして、激しい頭の痛みに倒れる。盲導犬であるノノは教えの通り、主人の傍を離れられずにいた。
だがそれを破り人を呼ぶ為にノノはその場を駆け出し、そして直後車に轢かれてしまう。驚いて車を降りた家族連れを引っ張り、どうにかレイアの存在を気づかせたノノはそこで力尽きたのだった。
レイアを救ったノノを天道に、人を遠ざけた罪を持ったレイアを人間道へという判決を下したカルマ。ノノのいない世界で独り生きることに強く怯えるレイアだが、カルマは救われたその命を捨て去ることを許さなかった。ノノもまたレイアの生を望み、主人への愛とその願いを告げる。
思いを託されたレイアは消えゆくその手を握り締めながら、彼女に最後の誓いを立てた。
<レイアエンド2+ノノエンド・煩悩ノ章+歓喜ノ章+甘露ノ章>
正気を取り戻したレイアは、人を信じる強さをくれたカルマに惹かれ、二人は結ばれる。そしてレイアに審判を下したカルマだが、やはり自身の心を歪めてまでそれを押し通すことは出来なかった。レイアとノノはカルマと共に浮世に残ることを決める。再び時を刻み始める三人の生活。それは現世では叶わなかった、二人にとっての幻のような夢の時間。
クオン(久遠)
ノノを輪廻させ、三人を現世へと送り返したカルマ。千手を通して伝えられる天上の評決を待つ間、カルマはクオンと共に浮世へと留まる。だがそんな中でカルマは身に覚えのないクオンについての夢を見るようになり、またそれにつれて周囲に異変が起こり始める。
浮世の大結界である五鈷杵が光り始め、そしてクオンが体調を崩し、その姿が霞のように薄れることが度々起こった。早良和尚と奪衣婆の二人は、自身とクオンの持つ縁に向き合うようカルマに告げる。
断罪の笏剣を使い自身の魂を引き出したカルマは、そこに封印された戒めを見る。ナユたちと同じように自身も記憶を失っていたことを知り、その身に断罪の笏剣を突き立てその封印をこじ開けた。
延暦三年。奪衣婆に連れられ初めて人間道を訪れた迦留魔は、そこで久遠という幼い少女と出会う。彼女の母親の形見である櫛を壊してしまい、そして手作りの櫛を渡した二人の間には縁が芽生える。その十年後、再び耶摩代の里を訪れた迦留魔。久遠と同じく早良和尚の耶摩代寺に身を寄せる、奈津という少女とも仲を深めていく。
その頃都ではある噂が流れていた。十年ほど昔に暗殺された中納言式部卿・藤原種継の残した書簡から見つかった、配流された廃皇后の持ち物である櫛をある娘が持っていたという記述。帝は廃皇后にいたく執心しており、左大臣・藤原是公はこれを苦々しく思っていた。
山に入った迦留魔はそこで熊に襲われる少女を見つけ助け出す。藤原伊予と名乗る貴人とその女房である寧子を連れ、迦留魔は里に戻る。そして内裏を抜け出してきた伊予を追って現れた、左衛門尉である大伴美羽。三人は寺に一日逗留することとなる。
内裏で是公と出くわした伊予は、噂で聞いた帝の櫛探しを手伝っているのだと咄嗟にごまかす。二つに割れた久遠の櫛のことを聞いた是公は、寧子にそれを持ってくるよう命じる。菊の御紋が彫りこまれたその櫛を見た是公。そして悲劇が起きる。皇統を僭称する大逆人を討伐するとして是公は軍を興し、里を焼き払った。
伊予の好意のもと内裏で病を治療していた奈津は病身をおして里に向かい、その道中で力尽きて倒れた。祖父を悪辣となじり拒絶した伊予は是公自身に斬られ、それを聞き狂乱した寧子もまた斬り捨てられた。伊予たちを守れなかったどころか是公の側についた美羽は自身を呪い断崖から身を投げ、早良和尚も是公を呪詛しながら息絶えた。
矢を射かけられた久遠をかばった迦留魔。だがたった一本、庇いきれなかった矢が久遠の命を奪う。迦留魔は都に攻め入り是公を誅しかけるが、それを千手に引き止められた。
全てを思い出したカルマ。そしてカルマの血を口から体内に取り入れたクオンの肉体が不死となり、1200年の時を超えて現世に留まり続けていることを千手から知らされる。
肉体にかけられた封印が時と共にほころび始め、その魂を引き寄せていること。縁を持った少女たちを輪廻させず、更にカルマが記憶を取り戻したことでクオンとの縁が強固になったこと。このままでは不死の人間という特異が、人間道にあまねく全ての縁を崩壊させることをカルマに伝えた千手。
身を切られるような逡巡の後、ついに決意するカルマ。だがその時すでにそこにクオンの姿はなかった。人間道へと降り立ったカルマはかつて縁を絡ませた彼女たちの導きで、クオンの元に辿りつく。
全ての記憶を失ったクオンを前にして断罪の笏剣を顕現させるカルマだが、それを彼女の胸に突き立てることはついにできなかった。そして世界が彼女を受け入れられないのならば、せめて自身だけはと決心する。天と地の人々に永久の別れを告げたカルマは、断罪の笏剣で二人に連なる全ての縁を断ち切る。六道への縁を失い、ただ二人きりとなったカルマとクオンは悠久の旅人となった。弥勒が全てを救うとされる、涅槃の時まで。
<悠久ノ章>
あれから幾万度目かの夏。誰に省みられることもなく、二人きり。カルマはいつものようにクオンの髪をすく。だがその日のクオンの表情はいつもとは違った。まるでそれは、いつかのことを思い出した子供のように。
<プレイ時間>
共通6時間5分、那由ノ章2時間40分、出家ノ章+修験ノ章25分、美羽夜ノ章2時間45分、送リ火ノ章+迎エ火ノ章30分、玲亜ノ章2時間40分、煩悩ノ章+歓喜ノ章+甘露ノ章50分、久遠ノ章(業、本懐、終章含む)5時間30分、悠久ノ章10分、極楽ノ章10分。計21時間45分。
<印象に残ったシーン>
<グラフィッカー情報・敬称略>
トトメス、しゅべっち、朝雛依、服部米、江森美沙樹、村政竜之輔、カズマサ、くない瓜
<あとがき・2/5>
三人の人間は人として強く生きることを選び、天人である彼はあえて言えば神として「死ぬ」ことを選んだ。非常に人間臭い神である彼がその選択をしたことはとても皮肉だと思いました。
上記の是公の言葉は真実なんでしょう。誰かの為に敵を亡き者にし続けて、気づいたらその大切だったはずの人間も消えていた。歴史を見るとそんな風が読み取れる暴君は幾人も見受けられます。
あと業ノ章であった、レタスがそんな昔に作られてるわけないだろ!いい加減にしろ!と思って調べたら、原産の葉レタスは奈良時代にはすでに渡来してたらしく驚愕。
カルマ「そんなことも知らなかったのか、人間」
「そそそそんなこと知らなくても作れるし」(顔赤)
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