C¥Documents and Settings¥User¥My Document¥脳内彼女 プレイ済エロゲのストーリーを脳内に書き残しておく為のブロg彼女にドキュメントフォルダ開けられたら死ぬほど殴られた
注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
クロノクロック (パープルソフトウェア)
2015/4/24
©Purple software
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(ストーリーテキスト:4106字)
<ストーリー>
蔵の整理をしていた父親から、祖父の遺品である懐中時計を渡された沢渡澪。5分遅く時を刻むそれをどうにか直そうと街を巡る澪だが、そのさなか暴走するトラックに轢かれかける。だが零れ落ちた懐中時計が砕けた瞬間、気づけば自宅前に立ちすくんでいた。それは持つ者を1時間に一度、5分前の世界へと引き戻すことができる、神の依代だった。時計に宿る時の神、クロノス(クロ)はそう澪に語る。その力でだろう、一代で財を成した祖父が興した財閥創業家である沢渡。将来はその責務を負わされる澪だが、突如湧いて降った力に託すのは、この幸運を使い恋人を得るという、なんとも俗な願いだった。
翌日学園で、生徒が屋上から転落する現場に出くわしてしまった澪は、自身の友人に告白しようとしていた下級生の鈴木みうをその運命から救い出す。わたわたとしたまま足を踏み外したのだろう極度の上がり症の少女を前に、袖振り合った相手が与り知らぬところで再び災難にあうのも目覚めが悪い。そう考えた澪は上がり症の克服、その手助けを決意する。妹の満の助言もあり、みうの再度の告白に向けて恋人役を買って出た澪。だがそれは二人に思いも寄らない変化を生む。(※1)
そして一週間後、澪はその思いを殺しながら彼女を送り出す。だがみうの決断はその告白を先送りするというものだった。
<ドロシールート>
ある日突如、沢渡家にホームステイすることになった、日本人を祖父に持つ英国クォーターのドロシー・ダヴェンポート。祖父同士が酒の席で決めた許嫁であるというドロシーに困惑する澪だったが、その親しみやすい愛嬌に、いつしか惹かれていく。その思いは澪に、衝動的な行為を駆り立てさせる。合わさった唇。だがドロシーはその約束を果たすことはできないという。多臓器不全という、時の流れではどうしようもない定めによって。クロの見立てによるとその余命は三年。
見知らぬ許嫁に憧れ続けていたドロシー。その思いを秘めて帰国するはずだった、この一ヶ月間。澪に辛い記憶を残したくないというドロシーだが、許されない恋などないのだと、満は兄の背を押す。それを受け周囲の協力の元に澪は、帰国の送別会という名目でドロシーを教室に呼び出す。それは皆が見守る中で、二人の未来を誓う為に。その証を収めるべく促されたドロシーは、逡巡の果てにその左手を差し出した。
それからも二人の日常は変わらず続いている。ドロシーの両親が祝福の品として送ってきた、実家の林檎の苗を植える二人と、それを見守るクロ。それまでクロが見えていたドロシーだが、その時は彼女の声が届いていないようだった。ドロシーにとっては、死に引きずられていたからこそ、その存在を捉えることができていた影。その意味するものに澪は確かな光明を見い出す。二人の未来はこれからも続いていく。その確信を澪は、今なら信じることができた。
<満ルート>
幼い頃の熱病から盲目となってしまった妹の満を守ることは、澪にとっては義務を超えたものだった。そんな兄に妹としての愛慕を超えた感情を隠さない満。いつものように押し倒された澪は時計を使い時を遡ろうとするが、二人の手の中で砕けたそれは不可思議な現象を起こす。別の世界の、小さな満をこの世界に引きこむという、クロでさえ承知していなかった現象。
二人を両親のように慕う小さな満と接するにつれ、満は何か使命感のような、これまでにない大人びた振る舞いを見せるようになっていく。そんな妹にいつしか、彼女と同じように肉親の情を超えたものを感じ始める澪。だがイレギュラーな形で砕かれた時計がその姿を取り戻していくと共に、小さな満の存在は希薄になっていく。それはあるべき世界へ、彼女が還ることを意味していた。
それが最後の時間と予期しながら、彼女を連れた二人は、以前足を運んだ思い出の花畑を訪れる。これまでに考えられる限りの思い出を築き、それでもなお離しがたいその手。だが彼女は涙を見せながらも健気に笑った。いつかまた会えると、そう言い残して消えていく夏の幻影に満は慟哭する。
このひと月ばかりの出来事は、澪と満に大きな成長と絆をもたらした。その思い出は生涯忘れることはないだろう。二人は肩を寄せ合いながら遠い未来へと思いを馳せる。再会を果たした時の一言目は決められている。生まれてきてくれてありがとう、と。
<美咲ルート>
満たちのクラスメイトの安藤美咲。地元の名士であり、それゆえに沢渡の継嗣に対して家格という引け目を感じている、下級生の少女。お嬢様に似合わず跳ねっ返り、だがバイオリンという誰にも譲れない芯を持った美咲の眩しさに、知らず知らずの内に惹かれていた自身に澪は気づく。澪の告白に対してその答えを、一ヶ月後のコンクールで優勝を勝ち取るまで待ってほしいと告げる美咲。だがそんな二人の間に、幼い頃バイオリンに触れていた満が割って入る。
兄への思いを込めるだけという、聞く者をおしなべて魅了するその奏では、まさに天賦の才だった。そんな相手にもかかわらず、自転車と衝突しかけた満を庇ったことで美咲は腕を痛めてしまう。みうの勇気に見合う親友たる為に、立ちはだかった満の思いに応える為に、そして何より澪の為に、美咲は棄権も無理からぬはずの壇上に立つ。それでもその思いを裏切るように動きを止める腕。そこへ満が歩み寄る。途切れた曲に重ねられた調べ。二人のアンサンブルは、プログラム外の事態にどよめく聴衆の静粛を取り戻していく。
聴衆の喝采をもって締められた美咲の演奏。二人の失格という規範が覆ることはなかったが、合奏を容認するよう懇願した澪の存在も含めて、その出来事は美談として世間を賑わせた。演奏会に足を運んでいた美咲の両親の激賞もあり、両家公認のものとなった二人の仲。告白の続きが始まり、そうして二人での時間もここから始まる。
<真琴ルート>
沢渡や安藤とは別の、街の顔役である城之内。いわゆる侠客の一族であるその令嬢がクラスメイトと澪が知ったのは、偶然からだった。それを伏せながら学生生活を送っていた真琴にある日、家の蔵から出てきたという、全く同じ意匠の懐中時計について相談された澪。姿形の欺瞞と瞬間移動の能力という、子供が心ときめかせる話で済めばそれで終わる話だった。だがその時計にはクロとは違い、何か禍々しい存在が含まれていた。それまで家のこともあり自己を律していた真琴を、異様としか言いようがないほど直情的にさせていく時計。澪に対する好意のあけすけな態度に始まり、街の不良たちへの鉄拳制裁、果ては澪に近づいた美咲へのあてつけに至り、澪は事態の重大さに気づく。
時計から真琴を引き離すべく、澪は彼女に勝負を挑む。自身が勝った時は時計を、真琴が勝った時は代償として胸に抱くこの気持ちを永遠に殺すという提案。互いに後戻りのきかないサイコロ勝負は、真琴の張った側の数字を示す。その結果とそれが意味するものに愕然とする真琴に恋心を告白した澪は、彼女のありのままの思いの形を問いかける。泣き崩れるその姿にもはや、直前までの狂気はなかった。抱擁しあう中で澪が蹴り飛ばし目の変わったサイコロ。その幼稚なイカサマに、真琴はただ、泣き顔に笑みを差すだけだった。
その数日後、二人は海辺へと足を運んでいた。真琴の時計を海に投げ捨てた二人は、午後の予定について思いを馳せる。この瞬間から二人は晴れて恋人。その時間が刻み始める。
<クロルート>
その日、突如世界が崩壊した。そう感じるほどの衝撃がモノレールの中の澪を襲う。それは時が止まっているとしか言いようがない光景だった。車両の運動力がゼロになった瞬間それは現れる。世界を支配する能力、すなわち神。クロではない神クロノスは澪の死を宣告する。だがそれを為そうとした瞬間、世界は再び崩れた。澪は気づけば自宅前に、そしてそこに見慣れない少女の姿を見る。それは人間となったクロだった。
日付は澪がトラックに轢かれかけたあの日。殺されようとしていた澪を過去に送ることで助け、その報いとして世界と繋がる触覚にすぎない自身は神から切り離されたのだというクロ。そしてこの世界では満たち四人が、それぞれに結ばれた別の世界の自身の記憶を保持していた。再び同じ未来を確定させた場合、再度クロノスと遭遇するとも。
その当事者となったことで、これまで見つめ続けた人間に、初めて直に触れたクロ。人の営みを体験し、友と交わり衝突し、喜びと悲しみと死への恐れを抱き、そして恋を知る。それはどうということもない、一人の人間の生だった。そして二人はあの日の、夕暮れの車両へと至る。
クロノスは語る。くびきを消そうとする都度、神の元に戻ったクロが澪を過去へ逃す、これまでに幾度となく繰り返されていた堂々巡り。一人の人間に神が縛りつけられているという齟齬。そして触覚の見せる世界にいつしか感情を芽生えさせたクロノスは、クロを失う孤独を恐れていた。そんな神に澪は、自身がこの時の止まった世界で寄り添う代償に、クロの解放を願う。そしてそれはクロと同じ願いだった。自らがあるべき場所へ還ることでクロは、澪が生きるべき未来を選ぶ。澪の時が動き始めたことで、時の中に沈むクロは黄昏の中に溶けるように消えていく。終わりではなく始まりの死という誓いの口づけをこの世界に残して。
それから幾つかの時が過ぎた。たった一つだけを除いて以前と変わらない日常。だが澪はそんな日々の中にあって、ある確信を抱いていた。果たして澪はその日、モノレールの中で彼女と再会する。なぜクロがこの世界に戻れたのか、その理由は定かではない。だが再び彼女と歩むことができる、それこそが澪にとっては何よりも大切なことだった。そして二人の時はここから再び刻み始める。
<みうルート>
(※1)
みうの二度目の告白。だがそこで澪は彼女の手を取る。時計があったからこその出会いに、時計の力を使わずその思いを伝える為に。それはみうが待ち望んだものでもあった。
ようやく互いの気持ちに正しい立ち位置を掴んだ二人。その幸福はこの先にある。過去ではなく未来に。
<プレイ時間>
オートデモ(6人分)15分、ドロシールート(初回ルート)5時間53分、ドロシーHイベント50分、満ルート3時間37分、満Hイベント58分、美咲ルート3時間21分、美咲Hイベント54分、真琴ルート1時間55分、真琴Hイベント57分、クロルート3時間19分、クロHイベント56分、みうルート18分、みうHイベント1時間3分。計24時間16分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
白米、貞本琉規、神代舞、nishi、NAK、樽、悠樹真琴、ふとまき、おかださとし、meiz
<あとがき・2015/5/15>
・企画製作
克氏の絵はとても好きです。ただ毎作2原画ということで5キャラ6キャラと単純に倍のキャラ数になりますが、メインは2キャラ3キャラで構わないので単独原画・複数ラインの製作にして、その分キャラあたりのボリュームが増えると嬉しいです。
・シナリオ
2~3時間の個別ルート中に、ヒロインに対して何か一つ問題が提起され、それをきっかけに互いを好きだと気づきあう、そういう流れの話で比較的あっさりしています。ただ思いが通じあったそこでエンディングというのは結構新鮮でした。そこへ至る紆余曲折にもう少し多彩な展開と、その結末で報われたのだというような物語上のきつい障害が物語の主軸にあればよかったと思います。
タイトル的に時計が重要なファクターのように思えますが、展開によってはほとんどかかわりのないキャラも。ドロシーや美咲のルートでは時計の扱いはほぼなく、真琴ルートも偽時計がメインであって、クロの時計はストーリーにおいて重くありません。ストーリーの根幹に時計と時が大きくかかわるのはクロと満の二つのルートだけで、その要素があまり生かされなかった残り4ルートは、そういう意味では残念でした。
みうルートは最終ロックがかけられたエンドですが、告白直前の未読開始から告白してそれで終わってしまったので、味気ない感じは否めませんでした。グランドエンド的な位置に個人エンドが入るのは、物語以前から宿命的な因縁で結ばれた、もう一人の主人公のような相手でもない限り、どうしても他のルートが割を食うような気がします。他のルートを統合して一本に集束した上で、全員の白紙の未来がここから始まるというような、前作ハピメアでもロックされていたグランドエンドは本当に綺麗な終わり方だっただけに残念です。
基本CG数89(内エロCG数26+事後系R-17相当CG数3)、タイトル画面用CG数8、回想数12。
エロ1CGあたりの尺は3分半(真琴公園露出)から16分(みう背面座位挿入)。平均12分半。
BGVなし、BGエロSEなし、尻モザあり、淫語修正1文字P音修正あり。
特殊システム(タイトル画面放置オートデモ、台詞ウィンドウ可変機能、画面アイコンメニュー編集機能、クリア後スペシャルエディションタイトル画面複数)
5/4
2015/4/24
©Purple software
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(ストーリーテキスト:4106字)
<ストーリー>
蔵の整理をしていた父親から、祖父の遺品である懐中時計を渡された沢渡澪。5分遅く時を刻むそれをどうにか直そうと街を巡る澪だが、そのさなか暴走するトラックに轢かれかける。だが零れ落ちた懐中時計が砕けた瞬間、気づけば自宅前に立ちすくんでいた。それは持つ者を1時間に一度、5分前の世界へと引き戻すことができる、神の依代だった。時計に宿る時の神、クロノス(クロ)はそう澪に語る。その力でだろう、一代で財を成した祖父が興した財閥創業家である沢渡。将来はその責務を負わされる澪だが、突如湧いて降った力に託すのは、この幸運を使い恋人を得るという、なんとも俗な願いだった。
翌日学園で、生徒が屋上から転落する現場に出くわしてしまった澪は、自身の友人に告白しようとしていた下級生の鈴木みうをその運命から救い出す。わたわたとしたまま足を踏み外したのだろう極度の上がり症の少女を前に、袖振り合った相手が与り知らぬところで再び災難にあうのも目覚めが悪い。そう考えた澪は上がり症の克服、その手助けを決意する。妹の満の助言もあり、みうの再度の告白に向けて恋人役を買って出た澪。だがそれは二人に思いも寄らない変化を生む。(※1)
そして一週間後、澪はその思いを殺しながら彼女を送り出す。だがみうの決断はその告白を先送りするというものだった。
<ドロシールート>
ある日突如、沢渡家にホームステイすることになった、日本人を祖父に持つ英国クォーターのドロシー・ダヴェンポート。祖父同士が酒の席で決めた許嫁であるというドロシーに困惑する澪だったが、その親しみやすい愛嬌に、いつしか惹かれていく。その思いは澪に、衝動的な行為を駆り立てさせる。合わさった唇。だがドロシーはその約束を果たすことはできないという。多臓器不全という、時の流れではどうしようもない定めによって。クロの見立てによるとその余命は三年。
見知らぬ許嫁に憧れ続けていたドロシー。その思いを秘めて帰国するはずだった、この一ヶ月間。澪に辛い記憶を残したくないというドロシーだが、許されない恋などないのだと、満は兄の背を押す。それを受け周囲の協力の元に澪は、帰国の送別会という名目でドロシーを教室に呼び出す。それは皆が見守る中で、二人の未来を誓う為に。その証を収めるべく促されたドロシーは、逡巡の果てにその左手を差し出した。
それからも二人の日常は変わらず続いている。ドロシーの両親が祝福の品として送ってきた、実家の林檎の苗を植える二人と、それを見守るクロ。それまでクロが見えていたドロシーだが、その時は彼女の声が届いていないようだった。ドロシーにとっては、死に引きずられていたからこそ、その存在を捉えることができていた影。その意味するものに澪は確かな光明を見い出す。二人の未来はこれからも続いていく。その確信を澪は、今なら信じることができた。
<満ルート>
幼い頃の熱病から盲目となってしまった妹の満を守ることは、澪にとっては義務を超えたものだった。そんな兄に妹としての愛慕を超えた感情を隠さない満。いつものように押し倒された澪は時計を使い時を遡ろうとするが、二人の手の中で砕けたそれは不可思議な現象を起こす。別の世界の、小さな満をこの世界に引きこむという、クロでさえ承知していなかった現象。
二人を両親のように慕う小さな満と接するにつれ、満は何か使命感のような、これまでにない大人びた振る舞いを見せるようになっていく。そんな妹にいつしか、彼女と同じように肉親の情を超えたものを感じ始める澪。だがイレギュラーな形で砕かれた時計がその姿を取り戻していくと共に、小さな満の存在は希薄になっていく。それはあるべき世界へ、彼女が還ることを意味していた。
それが最後の時間と予期しながら、彼女を連れた二人は、以前足を運んだ思い出の花畑を訪れる。これまでに考えられる限りの思い出を築き、それでもなお離しがたいその手。だが彼女は涙を見せながらも健気に笑った。いつかまた会えると、そう言い残して消えていく夏の幻影に満は慟哭する。
このひと月ばかりの出来事は、澪と満に大きな成長と絆をもたらした。その思い出は生涯忘れることはないだろう。二人は肩を寄せ合いながら遠い未来へと思いを馳せる。再会を果たした時の一言目は決められている。生まれてきてくれてありがとう、と。
<美咲ルート>
満たちのクラスメイトの安藤美咲。地元の名士であり、それゆえに沢渡の継嗣に対して家格という引け目を感じている、下級生の少女。お嬢様に似合わず跳ねっ返り、だがバイオリンという誰にも譲れない芯を持った美咲の眩しさに、知らず知らずの内に惹かれていた自身に澪は気づく。澪の告白に対してその答えを、一ヶ月後のコンクールで優勝を勝ち取るまで待ってほしいと告げる美咲。だがそんな二人の間に、幼い頃バイオリンに触れていた満が割って入る。
兄への思いを込めるだけという、聞く者をおしなべて魅了するその奏では、まさに天賦の才だった。そんな相手にもかかわらず、自転車と衝突しかけた満を庇ったことで美咲は腕を痛めてしまう。みうの勇気に見合う親友たる為に、立ちはだかった満の思いに応える為に、そして何より澪の為に、美咲は棄権も無理からぬはずの壇上に立つ。それでもその思いを裏切るように動きを止める腕。そこへ満が歩み寄る。途切れた曲に重ねられた調べ。二人のアンサンブルは、プログラム外の事態にどよめく聴衆の静粛を取り戻していく。
聴衆の喝采をもって締められた美咲の演奏。二人の失格という規範が覆ることはなかったが、合奏を容認するよう懇願した澪の存在も含めて、その出来事は美談として世間を賑わせた。演奏会に足を運んでいた美咲の両親の激賞もあり、両家公認のものとなった二人の仲。告白の続きが始まり、そうして二人での時間もここから始まる。
<真琴ルート>
沢渡や安藤とは別の、街の顔役である城之内。いわゆる侠客の一族であるその令嬢がクラスメイトと澪が知ったのは、偶然からだった。それを伏せながら学生生活を送っていた真琴にある日、家の蔵から出てきたという、全く同じ意匠の懐中時計について相談された澪。姿形の欺瞞と瞬間移動の能力という、子供が心ときめかせる話で済めばそれで終わる話だった。だがその時計にはクロとは違い、何か禍々しい存在が含まれていた。それまで家のこともあり自己を律していた真琴を、異様としか言いようがないほど直情的にさせていく時計。澪に対する好意のあけすけな態度に始まり、街の不良たちへの鉄拳制裁、果ては澪に近づいた美咲へのあてつけに至り、澪は事態の重大さに気づく。
時計から真琴を引き離すべく、澪は彼女に勝負を挑む。自身が勝った時は時計を、真琴が勝った時は代償として胸に抱くこの気持ちを永遠に殺すという提案。互いに後戻りのきかないサイコロ勝負は、真琴の張った側の数字を示す。その結果とそれが意味するものに愕然とする真琴に恋心を告白した澪は、彼女のありのままの思いの形を問いかける。泣き崩れるその姿にもはや、直前までの狂気はなかった。抱擁しあう中で澪が蹴り飛ばし目の変わったサイコロ。その幼稚なイカサマに、真琴はただ、泣き顔に笑みを差すだけだった。
その数日後、二人は海辺へと足を運んでいた。真琴の時計を海に投げ捨てた二人は、午後の予定について思いを馳せる。この瞬間から二人は晴れて恋人。その時間が刻み始める。
<クロルート>
その日、突如世界が崩壊した。そう感じるほどの衝撃がモノレールの中の澪を襲う。それは時が止まっているとしか言いようがない光景だった。車両の運動力がゼロになった瞬間それは現れる。世界を支配する能力、すなわち神。クロではない神クロノスは澪の死を宣告する。だがそれを為そうとした瞬間、世界は再び崩れた。澪は気づけば自宅前に、そしてそこに見慣れない少女の姿を見る。それは人間となったクロだった。
日付は澪がトラックに轢かれかけたあの日。殺されようとしていた澪を過去に送ることで助け、その報いとして世界と繋がる触覚にすぎない自身は神から切り離されたのだというクロ。そしてこの世界では満たち四人が、それぞれに結ばれた別の世界の自身の記憶を保持していた。再び同じ未来を確定させた場合、再度クロノスと遭遇するとも。
その当事者となったことで、これまで見つめ続けた人間に、初めて直に触れたクロ。人の営みを体験し、友と交わり衝突し、喜びと悲しみと死への恐れを抱き、そして恋を知る。それはどうということもない、一人の人間の生だった。そして二人はあの日の、夕暮れの車両へと至る。
クロノスは語る。くびきを消そうとする都度、神の元に戻ったクロが澪を過去へ逃す、これまでに幾度となく繰り返されていた堂々巡り。一人の人間に神が縛りつけられているという齟齬。そして触覚の見せる世界にいつしか感情を芽生えさせたクロノスは、クロを失う孤独を恐れていた。そんな神に澪は、自身がこの時の止まった世界で寄り添う代償に、クロの解放を願う。そしてそれはクロと同じ願いだった。自らがあるべき場所へ還ることでクロは、澪が生きるべき未来を選ぶ。澪の時が動き始めたことで、時の中に沈むクロは黄昏の中に溶けるように消えていく。終わりではなく始まりの死という誓いの口づけをこの世界に残して。
それから幾つかの時が過ぎた。たった一つだけを除いて以前と変わらない日常。だが澪はそんな日々の中にあって、ある確信を抱いていた。果たして澪はその日、モノレールの中で彼女と再会する。なぜクロがこの世界に戻れたのか、その理由は定かではない。だが再び彼女と歩むことができる、それこそが澪にとっては何よりも大切なことだった。そして二人の時はここから再び刻み始める。
<みうルート>
(※1)
みうの二度目の告白。だがそこで澪は彼女の手を取る。時計があったからこその出会いに、時計の力を使わずその思いを伝える為に。それはみうが待ち望んだものでもあった。
ようやく互いの気持ちに正しい立ち位置を掴んだ二人。その幸福はこの先にある。過去ではなく未来に。
<プレイ時間>
オートデモ(6人分)15分、ドロシールート(初回ルート)5時間53分、ドロシーHイベント50分、満ルート3時間37分、満Hイベント58分、美咲ルート3時間21分、美咲Hイベント54分、真琴ルート1時間55分、真琴Hイベント57分、クロルート3時間19分、クロHイベント56分、みうルート18分、みうHイベント1時間3分。計24時間16分。
<グラフィッカー情報・敬称略>
白米、貞本琉規、神代舞、nishi、NAK、樽、悠樹真琴、ふとまき、おかださとし、meiz
<あとがき・2015/5/15>
・企画製作
克氏の絵はとても好きです。ただ毎作2原画ということで5キャラ6キャラと単純に倍のキャラ数になりますが、メインは2キャラ3キャラで構わないので単独原画・複数ラインの製作にして、その分キャラあたりのボリュームが増えると嬉しいです。
・シナリオ
2~3時間の個別ルート中に、ヒロインに対して何か一つ問題が提起され、それをきっかけに互いを好きだと気づきあう、そういう流れの話で比較的あっさりしています。ただ思いが通じあったそこでエンディングというのは結構新鮮でした。そこへ至る紆余曲折にもう少し多彩な展開と、その結末で報われたのだというような物語上のきつい障害が物語の主軸にあればよかったと思います。
タイトル的に時計が重要なファクターのように思えますが、展開によってはほとんどかかわりのないキャラも。ドロシーや美咲のルートでは時計の扱いはほぼなく、真琴ルートも偽時計がメインであって、クロの時計はストーリーにおいて重くありません。ストーリーの根幹に時計と時が大きくかかわるのはクロと満の二つのルートだけで、その要素があまり生かされなかった残り4ルートは、そういう意味では残念でした。
みうルートは最終ロックがかけられたエンドですが、告白直前の未読開始から告白してそれで終わってしまったので、味気ない感じは否めませんでした。グランドエンド的な位置に個人エンドが入るのは、物語以前から宿命的な因縁で結ばれた、もう一人の主人公のような相手でもない限り、どうしても他のルートが割を食うような気がします。他のルートを統合して一本に集束した上で、全員の白紙の未来がここから始まるというような、前作ハピメアでもロックされていたグランドエンドは本当に綺麗な終わり方だっただけに残念です。
基本CG数89(内エロCG数26+事後系R-17相当CG数3)、タイトル画面用CG数8、回想数12。
エロ1CGあたりの尺は3分半(真琴公園露出)から16分(みう背面座位挿入)。平均12分半。
BGVなし、BGエロSEなし、尻モザあり、淫語修正1文字P音修正あり。
特殊システム(タイトル画面放置オートデモ、台詞ウィンドウ可変機能、画面アイコンメニュー編集機能、クリア後スペシャルエディションタイトル画面複数)
5/4
この記事のトラックバックURL
http://rex11i.blog.2nt.com/tb.php/273-56446e72