C¥Documents and Settings¥User¥My Document¥脳内彼女 プレイ済エロゲのストーリーを脳内に書き残しておく為のブロg彼女にドキュメントフォルダ開けられたら死ぬほど殴られた
注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
Remember 最愛の妻が他の男の腕の中で微笑む、もう一つのIF (アトリエさくら)
2012//3/23
©アトリエさくら
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:6988字)
1/24
篠崎小太郎は今でもあの時のことを夢に見る。2002年1月27日、待ち合わせをしていた恋人の橘真希が事故で死んだ日のことを。
それから十年。小太郎は朋香と結婚し、娘の萌香を授かっていた。
かつての恋人を忘れられない小太郎を、朋香は優しく包み込む。それに対してすまなさを感じると共に、自分を救ってくれたことへの深い感謝も小太郎は噛み締めていた。
1/25
翌朝家族に見守られながら出勤する小太郎。
仕事中に朋香からメールが入り、早い時間に萌香を幼稚園に迎えに行くという。パパに会いたいと突然泣き出したという知らせに、安堵の溜息をつきながらも喜びを感じる小太郎は定時で帰宅を急ぐ。
萌香は二人を置いてどこにも行かないでと父親に何度もせがむが、全く見に覚えのない小太郎は娘の言葉に戸惑いながらもなだめる。
萌香を寝付かせた後で小太郎は朋香に心当たりを尋ねるが、彼女にも思い当たることはないのだった。
1/26
かつての真希との語らいを夢に見た小太郎。彼女の命日が近いせいだろうかと感慨にふける。
出勤中通りがかった、今では使われなくなった教会。地元の有志によって維持されている教会で、それを大切に思う誰かの気持ちと、真希を思う気持ちが同じものではないかと自問する小太郎。
この時期にそんなことをよく考える自分は、十年前から前に進めているのだろうか。小太郎の気持ちはやはり晴れない。
そして再び萌香が早引けし、小太郎は家路を急ぐ。
前日と同じように萌香をなだめなんとか寝付かせた二人。久しぶりの夫婦の時間を過ごすのだった。
1/27
小太郎は夢を見る。
なにがあってもいつでも、二人がずっと一緒であることを誓い合う夢だった。
朝食の席で萌香はこれまで以上に強く離れまいとするが、小太郎も仕事を急に休むわけにはいかなかった。小太郎も何か予感のようなものを覚えつつ家を出る。
そんな小太郎に、アイスバーンに足を取られたトラックが突っ込んでくるのだった。
IF-1/20
目を覚ました小太郎が最初に見たのは病院の天井だった。
事故にあったことを思い出した小太郎は、朋香と萌香の姿を探す。だがそこには、死んだはずの真希が寄り添っていた。驚き混乱し、だがそのことを心から喜ぶ小太郎。
身体はすでになんともなく、その日の内に小太郎は退院する。真希は家の鍵をまるで自分の家のもののようにすんなりと開け、そして居間から消えた朋香との写真など思い出の品。尋ねられた真希は朋香のことをまるで知らないようだった。
小太郎は真希の兄で親友の隆一に電話をかける。快復を電話口で喜ぶ隆一だが、真希のことを小太郎の妻だと言う。彼にとっては当たり前の質問を何度も繰り返す小太郎に対して、記憶の混乱を心配し安静にするよう促す隆一。
小太郎は真希を探し、元は朋香の私室であった部屋に入る。そこは彼の知る部屋ではなく、しかしどこか懐かしい、記憶にある真希の部屋に似たところだった。
小太郎は携帯にあった朋香の番号へ電話をかける。他人行儀な話し方、そして話すのは七年ぶりだという朋香に、小太郎は絶句し電話を切る。
もはや小太郎はここが、真希が事故にあわないまま七年の時間が過ぎた世界であると悟るしかなかった。
再び朋香に電話をかけた小太郎は、二人も時々利用していた喫茶店インディアンに彼女を呼び出す。
そこで小太郎は萌香のことと結婚しているかどうかを朋香に尋ねるが、そのどちらにも否定の側の言葉を返される。
店を出た小太郎はそこで隆一と出くわす。退院祝いに二人の家へ向かうのだったが、小太郎はそこに朋香も誘う。
篠崎の家で親睦を深める四人。朝の早い朋香を小太郎はマンションまで送り、再会を約束して別れる。
真希の夫としてこの世界を受け入れていくべきか、朋香の夫としてかつての風景を取り戻すべきか、小太郎は苦悩する。
IF-1/21
かつて学生時代真希にプロポーズをした。小太郎はそれを夢に見る。
そして今、朝起きた小太郎が見る、台所に立つ真希の姿。
朋香からのメールを見た小太郎は、昨日の礼に食事に誘いたいという朋香の希望を真希に伝える。真希は隆一も誘うことを提案し、お互い独身の朋香と隆一はお似合いではないかと無邪気に話す。
その何気ない一言に小太郎は激しく動揺する。
インディアンで食事を取った四人。服を買いに行くという朋香に、真希は隆一と同行するよう勧める。
ショッピングを終えた隆一が再び家を訪れ、三人での夕食になる。隆一から話を聞き、二人の仲が進展してゆくことに小太郎の気持ちは暗く沈んでいく。
その夜真希は小太郎に抱いて欲しいと告げる。その身体は熱く、確かに彼女の生を感じさせるものだった。
そしてだからだろうか。小太郎は真希が死んだ直後の頃を夢に見た。
真希の死を、呼び出した自分のせいだと後悔し続け、衰弱で死に掛けていたところを朋香に助けられたこと。一年以上もの時間をかけて朋香がゆっくりと立ち直らせてくれたことを、小太郎は今でも大切な記憶として持っていた。
IF-1/22
翌日二人は思い出の公園へ散歩に出かける。学生時代は二人でよく来ていた公園だった。
インディアンで昼食を取る二人は、店の奥に落書きのされたテーブルがあることを思い出し席を移る。学生時代に来ていた頃の店の楽しみの一つだったそのテーブルに、二人は現在の1ページを書き込んで店を出た。
家を訪れた隆一と共に三人での食事の席。隆一は小太郎に朋香との出会いを聞く。
朋香から聞いたことで小太郎も知ったのだが、二人は小学生の時の同級生だった。朋香の両親が離婚する際、小太郎が彼女を慰め両親に食って掛かったことがあり、その時一緒にいた真希もその話を思い出す。
IF-1/23
朝食の席で真希は、隆一と朋香が一緒になるかもしれないと小太郎に告げる。周囲からすれば好ましいそのことも、朋香と萌香の二人と過ごした十年をなかったことにできない小太郎にとっては、朋香が自分以外の男と連れ添うというのはどうしても考えの及ばないことだった。
その夜仕事を終えた小太郎は朋香に誘われ、因果かかつて二人が結婚式を挙げたプリンセスホテルへ食事に向かう。
その帰り道、朋香はかつて、そして今も好きな男がいることを告げる。その男は結婚し妻がいるにも関わらず、忘れようとしてもその気持ちを抑えることができないのだという。
小太郎は朋香を抱きすくめ、ホテルへ向かう。積み重ねた十年をなかったことにはできなかった。
IF-1/24
食事を取りながらも、朋香のことを話そうとする小太郎。だがその裏切りの意味は重く、結局言い出せなかった。
夜になりインディアンで食事を取り、ホテルで愛し合う二人。
だが小太郎が帰宅すると真希は起きて夜食を用意して待っているのだった。かつての世界でも今現在でも、真希がいるいないの違いはあれど、どちらも彼女への裏切りには違いないことに小太郎は苦悩する。
IF-1/25
朋香の誘いを断り、早めに帰宅した小太郎。何気ない会話の中、買い物中に萌香という迷子の子を見たという真希。小太郎はその名前に、衝動的に家を飛び出す。
途中会った朋香にも手伝ってもらい、郊外の教会で萌香を探し当てる小太郎。しかし萌香は小太郎のことをパパではなく知らないおじさんと呼ぶ。
パパが事故にあって眠っていること、目を覚ますのをママと待っていること、それを教会で祈っていることを萌香から聞いた小太郎。パパは必ず目を覚ますと萌香に言い聞かす。
病院へ戻るという萌香を見送った小太郎は朋香に電話をかけ、明日会う約束を取り付ける。
そして小太郎は真希が死んだ後に朋香と結婚した時点で、真希との選択肢は最初からなかったのだということを悟る。
IF-1/26
インディアンで待ち合わせた小太郎は、萌香という子供と三人でいる夢を見たことはないか朋香に尋ねる。驚きながらそれを認めた朋香に小太郎は夢の顛末を聞く。朋香は躊躇いながらも、最後は小太郎が事故にあい二人を残して死んでしまうことを明かす。
その話に頷いた小太郎は朋香に、全てを終わらせるまでもう少しだけ待っていて欲しいと頼む。
IF-1/27
朝、小太郎は夜に大事な話をしたいと真希に告げる。待っていると答える真希に見送られ、小太郎は家を出る。
その途中、いつかと同じようにトラックがスリップするのを見る小太郎。諦めに似た気持ちで小太郎は、朋香へ詫びの言葉を呟く。
<エンド1>
IF-1/23
朝食の席で真希は、隆一と朋香が一緒になるかもしれないと小太郎に告げる。周囲からすれば好ましいそのことも、朋香と萌香の二人と過ごした十年をなかったことにできない小太郎にとっては、朋香が自分以外の男と連れ添うというのはどうしても考えの及ばないことだった。
その夜仕事を終えた小太郎は朋香に誘われ、因果かかつて二人が結婚式を挙げたプリンセスホテルへ食事に向かう。
ホテルからの帰路、朋香は隆一と結婚を前提とした付き合いを始めることを小太郎に告げる。
ついに恐れていたことが起きてしまった小太郎だが、彼には朋香を止める資格も言葉も持たなかった。
IF-1/24
かつての幸せな朋香との結婚式を夢に見て、小太郎は目覚める。苦い思いを抱く小太郎だが、真希の死から立ち直ったようにいつかは朋香のことも過去のものとして受け入れていくことができるだろうと、自分に言い聞かせる。
しばらく家に顔を出すのは控えるという隆一のメールを見て、二人の固まったのだろう心境を酌んだ小太郎。また会えることを楽しみにしているというメールに肯定の返事が来たことが救いだった。
出勤途中の路上で小太郎は予想外の人物に出くわす。この世界にいるはずのない萌香だった。だが萌香は小太郎を知らないおじさんと呼び、父親として認識しない。
いなくなったパパを待っているという萌香。小太郎が止めるのにも構わず、帰るという言葉を残してどこかへと去ってしまう。
その夜、朋香と隆一は初めての夜を越える。朋香が抱く想い人への残滓はまだ消えない。
IF-1/25
翌日再び萌香と出会う小太郎。しかし萌香の様子は暗く、パパにとって自分はもういらない子だと思いつめていた。
そんなことは露ほども思っていなかった小太郎は、すぐさまその言葉を否定するが、萌香は走り去ってしまう。小太郎は自身を切り刻むような罪悪感に苦悩する。
帰宅した小太郎は食事の席で、朋香と隆一がデートをしていることを真希から聞かされ動揺する。仕方のないことでそれが正しいことだと自身に言い聞かせるが、心はきしむ一方だった。そんな小太郎に真希はそろそろ自分たちにも子供を、と提案する。
真希を抱く小太郎だが、その度に言い知れない喪失感を覚える。真希との間に二人の愛を育めばそれだけ、自分の大切だったものが失われていくようだった。
一方で朋香と隆一にも変化が起き始める。どこまでも優しく包み込む隆一に、朋香は特別な思いを募らせてゆく。
IF-1/26
翌日会った萌香は更に暗く、まるで生気を感じさせないものだった。パパにとって一番大切なものが変わってしまったという萌香の言葉を小太郎は否定するが、ならばママとパパがなぜ一緒にいないのかという問いには答えられるはずがなかった。
消えてしまった萌香を探して会社を無断欠勤した小太郎は失意の内に帰宅する。その憔悴ぶりに心配する真希にも、小太郎は短く謝るのが精一杯だった。
朋香と隆一の蜜月はその日も続く。心だけでなく身体でも隆一を精一杯に感じ、朋香は絶頂へ駆け上ってゆく。まるでかつてのように。
IF-1/27
昨日を最後に姿を消してしまった萌香。自分が愛娘を消してしまったようなものだと絶望する小太郎は、その日が真希の命日であることをぼんやりと思い出す。
そんな小太郎の目に、どこかで見たトラックが映る。それがスリップし迫ってくる光景を、小太郎はどこか運命めいた心持ちで見つめていた。
薄れる意識の中で小太郎が最後に思うのは、真希の顔だった。
<エンド2>
IF-1/20
小太郎が目を覚ますとそこは病室だった。傍に寄り添い涙ながらに喜ぶ真希。
その光景に小太郎はこれまでのことを思い出す。真希を選び、朋香と萌香を捨てる選択などできなかったこと。朋香を選び、過去から目を背けて日常を続けていくことはできないこと。
一度朋香との人生を選んだことは、この世界でも覆ることのない事実で、そんな小太郎が今更真希を幸福にすることなどできるはずがなかった。
だからこそ、小太郎は自分がこの世界に来た意味を考える。幸せになれなかった真希に、自身がなにをすべきかを。
IF-1/21
朝、小太郎は真希と公園に出かける。小太郎はなにかして欲しいことはないか尋ねるが、一緒にいられればそれでいいと答え逆に、結婚前のあの頃に戻りたいかと真希は尋ね返す。
それに対して今を生きると答えた小太郎に、真希もまた同じ言葉を返す。
家に帰った小太郎は、未来を歩む為に過去と向き合う決心を固める。
IF-1/22
真希と過ごせるのはこれが最後という予感を持った小太郎は、仕事を休むことを決める。そんな小太郎に、最近見るという夢について真希は語る。
狭い場所にいて自分の身体が少しずつ消えていく夢。助けようとする小太郎の声が聞こえるが、最後は消えてしまう。それは真希の火葬のことに違いなかった。
その夢がかつての過去であったことを、小太郎は断腸の思いで明かす。
死んだにも関わらず今こうして小太郎と話せていることを不思議がりながら、最後まで守ろうとしたことを感謝する真希。そして辛い思いをさせたことを謝りながら、小太郎を同じく愛する故に朋香が傍にいることに安堵する。
眠ってしまった小太郎は夜になり、真希がよく作ってくれていたビーフシチューを食べる。真希が死んでいるにも関わらず、十年の時を越えても変わらないそれを今味わえたことがどれだけ大切なことかを知る。
小太郎はこれからのことを考えようとするが、真希は心の準備にほんの少し時間が欲しいと願う。十年前に止まった二人の時が今ようやく流れ始める。
IF-1/23
かつて二人で見た、小太郎と真希と朋香の姿を撮ったかのような映画を再び見る二人。
それを見終えた真希は、何気ない今日が明日もあるとは限らず今を一生懸命に生きたいと語る。それが未来のない真希の導き出した答えだった。小太郎もまたそうありたいと願う。
IF-1/24
小太郎は考え抜いた結果、真希との結婚式を挙げたいと告げる。かつて結婚を約束して叶えられなかったその誓いを果たすことが過去に向き合うことだと小太郎は信じた。
朋香への不義理にもなるだろう。だが現在の"篠崎小太郎"がかつて真希を愛した小太郎である以上、朋香との未来を歩んで行く為にも必要なことだった。
結婚式の神父役を頼みに、小太郎は隆一に会いに行く。突然の難題に渋る隆一だが、他でもない妹の為にも、二人の共同作業として結婚式の準備をすることを条件に引き受ける。
IF-1/25
翌日、二人は教会の下見の後インディアンで昼食を取る。いつかのように落書きのされたテーブルに席を移し相々傘を書き込む真希。
夜になり、真希が朝大量に作った料理を平らげる為に隆一が家を訪ねてくる。
二人の結婚をしみじみと祝うが、自身はその気が希薄な隆一。そんな兄に、妹にいつまでも囚われずこの式を無事に挙げた後は前を向いて生きて欲しいと真希は告げる。
それが三人で取る最後のものだと噛み締めながら、小太郎と真希は食事を続ける。それが二人が決めた今を一生懸命に生きることでもあった。
IF-1/26
夕方を待ち、二人は教会を訪れる。
参列人もおらず見届け人は神父役の隆一だけというささやかなものだったが、それは確かに二人の為のものだった。
過去を過去のものと胸に留め、なにかの形を与えてやれなかった真希を小太郎は妻とし永久に愛することを誓う。
真希も同じく小太郎を夫とし誓う。その思いは二人が出会った頃から一度も変わっていなかった。
家に帰った二人は最後の抱擁を交わす。
小太郎は朋香との結婚について尋ねるが、悔しくないわけではないがそれ以上に、小太郎が幸せを掴もうとしたことを嬉しく思うと真希は語った。生きている人は死んだ人のことも背負って、その分だけ幸せにならなければいけないという。
IF-1/27
最後の日。真希はいつも通りの日常のままを過ごすことを希望する。小太郎は会社へ、真希は料理を作ってその帰りを待つ、そんな日常。
<エピローグ>
あの事故から三週間。小太郎は朋香と萌香のいる場所へ戻ってくる。トラックに撥ねられ無事に済むはずもなく、小太郎は四ヶ月にも及ぶ入院を余儀なくされる。
真希のことを夢に見ることもなくなり、だがそれでも今も彼女が笑顔でいてくれるかを考える。
萌香はますます父親に馴れ、朋香はますます夫を深く愛するようになった。
真希の夢を見たという隆一は、約束を果たしてという妹のそれに覚えがないものの、なにかを吹っ切ったのか朋香の協力を得て婚活を始める。
それから一年。
小太郎は家族とインディアンを訪れる。珍しく満員の店内。三人は空いていた奥のテーブルへ座った。
かつて真希が相々傘の落書きを遺したテーブルだ。
萌香から声をかけられた小太郎は、パパも萌香が大好きだと返す。そして朋香。
ずっと一緒にいて欲しいと、最愛の人へ小太郎は告げる。
<グラフィッカー情報・敬称略>
衣羽生先、睦月山羊
2012//3/23
©アトリエさくら
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:6988字)
1/24
篠崎小太郎は今でもあの時のことを夢に見る。2002年1月27日、待ち合わせをしていた恋人の橘真希が事故で死んだ日のことを。
それから十年。小太郎は朋香と結婚し、娘の萌香を授かっていた。
かつての恋人を忘れられない小太郎を、朋香は優しく包み込む。それに対してすまなさを感じると共に、自分を救ってくれたことへの深い感謝も小太郎は噛み締めていた。
1/25
翌朝家族に見守られながら出勤する小太郎。
仕事中に朋香からメールが入り、早い時間に萌香を幼稚園に迎えに行くという。パパに会いたいと突然泣き出したという知らせに、安堵の溜息をつきながらも喜びを感じる小太郎は定時で帰宅を急ぐ。
萌香は二人を置いてどこにも行かないでと父親に何度もせがむが、全く見に覚えのない小太郎は娘の言葉に戸惑いながらもなだめる。
萌香を寝付かせた後で小太郎は朋香に心当たりを尋ねるが、彼女にも思い当たることはないのだった。
1/26
かつての真希との語らいを夢に見た小太郎。彼女の命日が近いせいだろうかと感慨にふける。
出勤中通りがかった、今では使われなくなった教会。地元の有志によって維持されている教会で、それを大切に思う誰かの気持ちと、真希を思う気持ちが同じものではないかと自問する小太郎。
この時期にそんなことをよく考える自分は、十年前から前に進めているのだろうか。小太郎の気持ちはやはり晴れない。
そして再び萌香が早引けし、小太郎は家路を急ぐ。
前日と同じように萌香をなだめなんとか寝付かせた二人。久しぶりの夫婦の時間を過ごすのだった。
1/27
小太郎は夢を見る。
なにがあってもいつでも、二人がずっと一緒であることを誓い合う夢だった。
朝食の席で萌香はこれまで以上に強く離れまいとするが、小太郎も仕事を急に休むわけにはいかなかった。小太郎も何か予感のようなものを覚えつつ家を出る。
そんな小太郎に、アイスバーンに足を取られたトラックが突っ込んでくるのだった。
IF-1/20
目を覚ました小太郎が最初に見たのは病院の天井だった。
事故にあったことを思い出した小太郎は、朋香と萌香の姿を探す。だがそこには、死んだはずの真希が寄り添っていた。驚き混乱し、だがそのことを心から喜ぶ小太郎。
身体はすでになんともなく、その日の内に小太郎は退院する。真希は家の鍵をまるで自分の家のもののようにすんなりと開け、そして居間から消えた朋香との写真など思い出の品。尋ねられた真希は朋香のことをまるで知らないようだった。
小太郎は真希の兄で親友の隆一に電話をかける。快復を電話口で喜ぶ隆一だが、真希のことを小太郎の妻だと言う。彼にとっては当たり前の質問を何度も繰り返す小太郎に対して、記憶の混乱を心配し安静にするよう促す隆一。
小太郎は真希を探し、元は朋香の私室であった部屋に入る。そこは彼の知る部屋ではなく、しかしどこか懐かしい、記憶にある真希の部屋に似たところだった。
小太郎は携帯にあった朋香の番号へ電話をかける。他人行儀な話し方、そして話すのは七年ぶりだという朋香に、小太郎は絶句し電話を切る。
もはや小太郎はここが、真希が事故にあわないまま七年の時間が過ぎた世界であると悟るしかなかった。
再び朋香に電話をかけた小太郎は、二人も時々利用していた喫茶店インディアンに彼女を呼び出す。
そこで小太郎は萌香のことと結婚しているかどうかを朋香に尋ねるが、そのどちらにも否定の側の言葉を返される。
店を出た小太郎はそこで隆一と出くわす。退院祝いに二人の家へ向かうのだったが、小太郎はそこに朋香も誘う。
篠崎の家で親睦を深める四人。朝の早い朋香を小太郎はマンションまで送り、再会を約束して別れる。
真希の夫としてこの世界を受け入れていくべきか、朋香の夫としてかつての風景を取り戻すべきか、小太郎は苦悩する。
IF-1/21
かつて学生時代真希にプロポーズをした。小太郎はそれを夢に見る。
そして今、朝起きた小太郎が見る、台所に立つ真希の姿。
朋香からのメールを見た小太郎は、昨日の礼に食事に誘いたいという朋香の希望を真希に伝える。真希は隆一も誘うことを提案し、お互い独身の朋香と隆一はお似合いではないかと無邪気に話す。
その何気ない一言に小太郎は激しく動揺する。
インディアンで食事を取った四人。服を買いに行くという朋香に、真希は隆一と同行するよう勧める。
ショッピングを終えた隆一が再び家を訪れ、三人での夕食になる。隆一から話を聞き、二人の仲が進展してゆくことに小太郎の気持ちは暗く沈んでいく。
その夜真希は小太郎に抱いて欲しいと告げる。その身体は熱く、確かに彼女の生を感じさせるものだった。
そしてだからだろうか。小太郎は真希が死んだ直後の頃を夢に見た。
真希の死を、呼び出した自分のせいだと後悔し続け、衰弱で死に掛けていたところを朋香に助けられたこと。一年以上もの時間をかけて朋香がゆっくりと立ち直らせてくれたことを、小太郎は今でも大切な記憶として持っていた。
IF-1/22
翌日二人は思い出の公園へ散歩に出かける。学生時代は二人でよく来ていた公園だった。
インディアンで昼食を取る二人は、店の奥に落書きのされたテーブルがあることを思い出し席を移る。学生時代に来ていた頃の店の楽しみの一つだったそのテーブルに、二人は現在の1ページを書き込んで店を出た。
家を訪れた隆一と共に三人での食事の席。隆一は小太郎に朋香との出会いを聞く。
朋香から聞いたことで小太郎も知ったのだが、二人は小学生の時の同級生だった。朋香の両親が離婚する際、小太郎が彼女を慰め両親に食って掛かったことがあり、その時一緒にいた真希もその話を思い出す。
IF-1/23
朝食の席で真希は、隆一と朋香が一緒になるかもしれないと小太郎に告げる。周囲からすれば好ましいそのことも、朋香と萌香の二人と過ごした十年をなかったことにできない小太郎にとっては、朋香が自分以外の男と連れ添うというのはどうしても考えの及ばないことだった。
その夜仕事を終えた小太郎は朋香に誘われ、因果かかつて二人が結婚式を挙げたプリンセスホテルへ食事に向かう。
その帰り道、朋香はかつて、そして今も好きな男がいることを告げる。その男は結婚し妻がいるにも関わらず、忘れようとしてもその気持ちを抑えることができないのだという。
小太郎は朋香を抱きすくめ、ホテルへ向かう。積み重ねた十年をなかったことにはできなかった。
IF-1/24
食事を取りながらも、朋香のことを話そうとする小太郎。だがその裏切りの意味は重く、結局言い出せなかった。
夜になりインディアンで食事を取り、ホテルで愛し合う二人。
だが小太郎が帰宅すると真希は起きて夜食を用意して待っているのだった。かつての世界でも今現在でも、真希がいるいないの違いはあれど、どちらも彼女への裏切りには違いないことに小太郎は苦悩する。
IF-1/25
朋香の誘いを断り、早めに帰宅した小太郎。何気ない会話の中、買い物中に萌香という迷子の子を見たという真希。小太郎はその名前に、衝動的に家を飛び出す。
途中会った朋香にも手伝ってもらい、郊外の教会で萌香を探し当てる小太郎。しかし萌香は小太郎のことをパパではなく知らないおじさんと呼ぶ。
パパが事故にあって眠っていること、目を覚ますのをママと待っていること、それを教会で祈っていることを萌香から聞いた小太郎。パパは必ず目を覚ますと萌香に言い聞かす。
病院へ戻るという萌香を見送った小太郎は朋香に電話をかけ、明日会う約束を取り付ける。
そして小太郎は真希が死んだ後に朋香と結婚した時点で、真希との選択肢は最初からなかったのだということを悟る。
IF-1/26
インディアンで待ち合わせた小太郎は、萌香という子供と三人でいる夢を見たことはないか朋香に尋ねる。驚きながらそれを認めた朋香に小太郎は夢の顛末を聞く。朋香は躊躇いながらも、最後は小太郎が事故にあい二人を残して死んでしまうことを明かす。
その話に頷いた小太郎は朋香に、全てを終わらせるまでもう少しだけ待っていて欲しいと頼む。
IF-1/27
朝、小太郎は夜に大事な話をしたいと真希に告げる。待っていると答える真希に見送られ、小太郎は家を出る。
その途中、いつかと同じようにトラックがスリップするのを見る小太郎。諦めに似た気持ちで小太郎は、朋香へ詫びの言葉を呟く。
<エンド1>
IF-1/23
朝食の席で真希は、隆一と朋香が一緒になるかもしれないと小太郎に告げる。周囲からすれば好ましいそのことも、朋香と萌香の二人と過ごした十年をなかったことにできない小太郎にとっては、朋香が自分以外の男と連れ添うというのはどうしても考えの及ばないことだった。
その夜仕事を終えた小太郎は朋香に誘われ、因果かかつて二人が結婚式を挙げたプリンセスホテルへ食事に向かう。
ホテルからの帰路、朋香は隆一と結婚を前提とした付き合いを始めることを小太郎に告げる。
ついに恐れていたことが起きてしまった小太郎だが、彼には朋香を止める資格も言葉も持たなかった。
IF-1/24
かつての幸せな朋香との結婚式を夢に見て、小太郎は目覚める。苦い思いを抱く小太郎だが、真希の死から立ち直ったようにいつかは朋香のことも過去のものとして受け入れていくことができるだろうと、自分に言い聞かせる。
しばらく家に顔を出すのは控えるという隆一のメールを見て、二人の固まったのだろう心境を酌んだ小太郎。また会えることを楽しみにしているというメールに肯定の返事が来たことが救いだった。
出勤途中の路上で小太郎は予想外の人物に出くわす。この世界にいるはずのない萌香だった。だが萌香は小太郎を知らないおじさんと呼び、父親として認識しない。
いなくなったパパを待っているという萌香。小太郎が止めるのにも構わず、帰るという言葉を残してどこかへと去ってしまう。
その夜、朋香と隆一は初めての夜を越える。朋香が抱く想い人への残滓はまだ消えない。
IF-1/25
翌日再び萌香と出会う小太郎。しかし萌香の様子は暗く、パパにとって自分はもういらない子だと思いつめていた。
そんなことは露ほども思っていなかった小太郎は、すぐさまその言葉を否定するが、萌香は走り去ってしまう。小太郎は自身を切り刻むような罪悪感に苦悩する。
帰宅した小太郎は食事の席で、朋香と隆一がデートをしていることを真希から聞かされ動揺する。仕方のないことでそれが正しいことだと自身に言い聞かせるが、心はきしむ一方だった。そんな小太郎に真希はそろそろ自分たちにも子供を、と提案する。
真希を抱く小太郎だが、その度に言い知れない喪失感を覚える。真希との間に二人の愛を育めばそれだけ、自分の大切だったものが失われていくようだった。
一方で朋香と隆一にも変化が起き始める。どこまでも優しく包み込む隆一に、朋香は特別な思いを募らせてゆく。
IF-1/26
翌日会った萌香は更に暗く、まるで生気を感じさせないものだった。パパにとって一番大切なものが変わってしまったという萌香の言葉を小太郎は否定するが、ならばママとパパがなぜ一緒にいないのかという問いには答えられるはずがなかった。
消えてしまった萌香を探して会社を無断欠勤した小太郎は失意の内に帰宅する。その憔悴ぶりに心配する真希にも、小太郎は短く謝るのが精一杯だった。
朋香と隆一の蜜月はその日も続く。心だけでなく身体でも隆一を精一杯に感じ、朋香は絶頂へ駆け上ってゆく。まるでかつてのように。
IF-1/27
昨日を最後に姿を消してしまった萌香。自分が愛娘を消してしまったようなものだと絶望する小太郎は、その日が真希の命日であることをぼんやりと思い出す。
そんな小太郎の目に、どこかで見たトラックが映る。それがスリップし迫ってくる光景を、小太郎はどこか運命めいた心持ちで見つめていた。
薄れる意識の中で小太郎が最後に思うのは、真希の顔だった。
<エンド2>
IF-1/20
小太郎が目を覚ますとそこは病室だった。傍に寄り添い涙ながらに喜ぶ真希。
その光景に小太郎はこれまでのことを思い出す。真希を選び、朋香と萌香を捨てる選択などできなかったこと。朋香を選び、過去から目を背けて日常を続けていくことはできないこと。
一度朋香との人生を選んだことは、この世界でも覆ることのない事実で、そんな小太郎が今更真希を幸福にすることなどできるはずがなかった。
だからこそ、小太郎は自分がこの世界に来た意味を考える。幸せになれなかった真希に、自身がなにをすべきかを。
IF-1/21
朝、小太郎は真希と公園に出かける。小太郎はなにかして欲しいことはないか尋ねるが、一緒にいられればそれでいいと答え逆に、結婚前のあの頃に戻りたいかと真希は尋ね返す。
それに対して今を生きると答えた小太郎に、真希もまた同じ言葉を返す。
家に帰った小太郎は、未来を歩む為に過去と向き合う決心を固める。
IF-1/22
真希と過ごせるのはこれが最後という予感を持った小太郎は、仕事を休むことを決める。そんな小太郎に、最近見るという夢について真希は語る。
狭い場所にいて自分の身体が少しずつ消えていく夢。助けようとする小太郎の声が聞こえるが、最後は消えてしまう。それは真希の火葬のことに違いなかった。
その夢がかつての過去であったことを、小太郎は断腸の思いで明かす。
死んだにも関わらず今こうして小太郎と話せていることを不思議がりながら、最後まで守ろうとしたことを感謝する真希。そして辛い思いをさせたことを謝りながら、小太郎を同じく愛する故に朋香が傍にいることに安堵する。
眠ってしまった小太郎は夜になり、真希がよく作ってくれていたビーフシチューを食べる。真希が死んでいるにも関わらず、十年の時を越えても変わらないそれを今味わえたことがどれだけ大切なことかを知る。
小太郎はこれからのことを考えようとするが、真希は心の準備にほんの少し時間が欲しいと願う。十年前に止まった二人の時が今ようやく流れ始める。
IF-1/23
かつて二人で見た、小太郎と真希と朋香の姿を撮ったかのような映画を再び見る二人。
それを見終えた真希は、何気ない今日が明日もあるとは限らず今を一生懸命に生きたいと語る。それが未来のない真希の導き出した答えだった。小太郎もまたそうありたいと願う。
IF-1/24
小太郎は考え抜いた結果、真希との結婚式を挙げたいと告げる。かつて結婚を約束して叶えられなかったその誓いを果たすことが過去に向き合うことだと小太郎は信じた。
朋香への不義理にもなるだろう。だが現在の"篠崎小太郎"がかつて真希を愛した小太郎である以上、朋香との未来を歩んで行く為にも必要なことだった。
結婚式の神父役を頼みに、小太郎は隆一に会いに行く。突然の難題に渋る隆一だが、他でもない妹の為にも、二人の共同作業として結婚式の準備をすることを条件に引き受ける。
IF-1/25
翌日、二人は教会の下見の後インディアンで昼食を取る。いつかのように落書きのされたテーブルに席を移し相々傘を書き込む真希。
夜になり、真希が朝大量に作った料理を平らげる為に隆一が家を訪ねてくる。
二人の結婚をしみじみと祝うが、自身はその気が希薄な隆一。そんな兄に、妹にいつまでも囚われずこの式を無事に挙げた後は前を向いて生きて欲しいと真希は告げる。
それが三人で取る最後のものだと噛み締めながら、小太郎と真希は食事を続ける。それが二人が決めた今を一生懸命に生きることでもあった。
IF-1/26
夕方を待ち、二人は教会を訪れる。
参列人もおらず見届け人は神父役の隆一だけというささやかなものだったが、それは確かに二人の為のものだった。
過去を過去のものと胸に留め、なにかの形を与えてやれなかった真希を小太郎は妻とし永久に愛することを誓う。
真希も同じく小太郎を夫とし誓う。その思いは二人が出会った頃から一度も変わっていなかった。
家に帰った二人は最後の抱擁を交わす。
小太郎は朋香との結婚について尋ねるが、悔しくないわけではないがそれ以上に、小太郎が幸せを掴もうとしたことを嬉しく思うと真希は語った。生きている人は死んだ人のことも背負って、その分だけ幸せにならなければいけないという。
IF-1/27
最後の日。真希はいつも通りの日常のままを過ごすことを希望する。小太郎は会社へ、真希は料理を作ってその帰りを待つ、そんな日常。
<エピローグ>
あの事故から三週間。小太郎は朋香と萌香のいる場所へ戻ってくる。トラックに撥ねられ無事に済むはずもなく、小太郎は四ヶ月にも及ぶ入院を余儀なくされる。
真希のことを夢に見ることもなくなり、だがそれでも今も彼女が笑顔でいてくれるかを考える。
萌香はますます父親に馴れ、朋香はますます夫を深く愛するようになった。
真希の夢を見たという隆一は、約束を果たしてという妹のそれに覚えがないものの、なにかを吹っ切ったのか朋香の協力を得て婚活を始める。
それから一年。
小太郎は家族とインディアンを訪れる。珍しく満員の店内。三人は空いていた奥のテーブルへ座った。
かつて真希が相々傘の落書きを遺したテーブルだ。
萌香から声をかけられた小太郎は、パパも萌香が大好きだと返す。そして朋香。
ずっと一緒にいて欲しいと、最愛の人へ小太郎は告げる。
<グラフィッカー情報・敬称略>
衣羽生先、睦月山羊
この記事のトラックバックURL
http://rex11i.blog.2nt.com/tb.php/22-d7010ab1