C¥Documents and Settings¥User¥My Document¥脳内彼女 プレイ済エロゲのストーリーを脳内に書き残しておく為のブロg彼女にドキュメントフォルダ開けられたら死ぬほど殴られた
注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
海空のフラグメンツ (root nuko)
2014/4/25
©root nuko
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:4919字)
<ストーリー>
近場の離島である七色島の彩京学園に編入することとなった中上神。一つ年下の幼馴染、下上ののと共に入学式に向かう神だが、そこで学園長が口にしたのは、今学期限りでの廃校という、新入生のみならず在校生にも寝耳に水の話だった。
そんな中で神は生徒会への所属を志向する。その理由は、幼い頃夏の度に出会った紅月遥という少女との、いつか同じ学園に通い日常を送るという約束からだった。今では生徒会会長となっていた遥だが、探りを入れられたその頃の出来事に反応を示しながらも、なぜか神に拒絶を見せる。
寮で出会い頭にぶつかり、それを契機に親しくなった下級生の睦月ミソラと共に、幾度目かになる生徒会室を訪ねた神。こんな状況だからこそ学園と生徒たちの為に何かをしたいというその熱意は、副会長である西ノ宮悠里を動かす。書記の黒木樹雨、会計の姉川椎も賛意を示し、それを無下にできない遥はしぶしぶではあるが、神とミソラを役員に迎えた。
そして島の名家令嬢である悠里が語りだした学園閉鎖の理由。それは島全体が、莫大な経済効果を見込める世界遺産に最終推薦され、特に旧迎賓館と大聖堂をその校舎として利用する生徒たちが遺産保全には厄介な為だった。生徒会は密かに夏の文化祭を目指すが、学園側の感触はやはり冴えない。
だが休日明け、登校した神はそこで、学生の半数を率いた樹雨と椎の、校舎占拠を伴う抗議デモに遭遇する。その与り知らぬ話に遥さえ動揺を隠せない。強硬なデモ活動に対して数度の折衝の結果、一ヶ月で全生徒の8割に至る署名が集まれば計画を白紙撤回すると提案した学園側。樹雨たちは方々を駆け回って署名集めに奔走するが、全ての生徒が学園の存続を願っているわけではなかった。
それでも遥の力添えもあり、樹雨たちは期限当日にどうにか規定分の署名を集めきった。そこへにわかに現れた、署名を済ませておきながら撤回を叫び出す造反組。その明らかな学園側の仕込みに、樹雨たちには打つ手がない。だが学園理事たちが署名を受理し幕引きを図ろうとしたその場に、ケーキの箱を持った悠里が現れる。中には自身が集めた、幾らかの署名が収められていると語る悠里。規定数まではたったの7票という焦燥と、島の実力者の娘である悠里の強い姿勢に、理事たちはその妥協案を呑んだ。すなわち、文化祭の実施だけは認めるという特例。悠里のハッタリによって、彼女たちの最後の矜持だけは守られた。
<椎ルート>
水科神社の係累ながら神を信じない天才肌の、手に嵌めたパペット人形を介してでしか他人と意思の疎通ができない椎。そんな彼女が紛失した人形を一緒になって探した経緯から、神は椎を意識し始める。翌日そのお礼という手作りのケーキを手渡された神は照れ隠しから、その意図を尋ねた。互いに自身の気持ちのありかに気づき、そして恋人となった二人。
だが椎が海外の大学機関から幾度も招聘を受けては断っていたことを知った神は、それが自身に向けられた思いの為だとよく知りながらも、彼女の背を押した。そして神は、急遽出場の取り止めがあり穴が開いた文化祭のステージに、生徒会での催しを思い立つ。その意味するところを理解した椎は躊躇しながらも最後には、生徒会の仲間たちを信じることを決めた。
迎えた文化祭の日、予定から大幅に遅れた公演時間間近に現れた椎。それは神が事前に調べをつけていた、椎に以前パペット人形を譲ってくれた好々爺にそれを返す為だった。全てを吹っ切った椎の歌声は観客全てを魅了し、生徒会による演奏は成功裏に終わった。
そしてその舞台裏に現れた、椎が病院まで出向いて会えなかったはずの老人。認知症が進み現在では何も覚えていないはずながら、その人形を見た一瞬だけ過去を思い出したかのように学園を訪れたいと口にしたのだと、付添い人の息子は椎に語った。椎は涙ながらに、得がたい友人と思い出を結んでくれたその老人の手を握り、積年の感謝を伝える。彼にそれが届いたのかそうでないのか。だがそれでも老人は目を細め、椎の小さな手を握り返した。
<樹雨ルート>
生徒会や数少ない友人を除いた周囲から、マニッシュ的な佇まいによる尊敬を集めているものの、近寄りがたい存在と見られている樹雨。だが神はそんな彼女が、朗らかながらどこか抜けた言動もある、普通の少女であることを、その活動を通して知っていた。
樹雨から、学園の存続を願う行動に、島の平穏を望んでいた今は亡き両親の思いを重ねていたことを聞かされた神。廃校の決定に諦観を隠せない樹雨に、何か自身にできることはないだろうかと考え始める。それは遥の力添えもあり、文化祭に発表する校史編纂という結果を結んだ。
樹雨にそのお礼と、食事に誘われた神はその帰り際、彼女から告白を受ける。神もまた自らの気持ちを伝え、二人は恋人となった。その一方で作成のコンセプトに迷い、はかどらない校史編纂。そんな中で区画整理の煽りを受け、僻地の集落に最後まで残っていた樹雨の実家が取り壊されることになった。両親との思い出の詰まったよすがが失われていく様を見た樹雨は、その思いを胸に決意を新たにする。
そして文化祭の日。集まった聴衆に披露された編集映像には、島の人々の郷里に懸ける素朴な思いが吐露されたインタビューと、祖父母から父母へ、そして今を生きる自身たちに至る写真が並べられ、失われた島の情景が綴られていた。変わっていく故郷。そこに寂しさはあれど、変わらない人の営みがいつでもそこにあったことは、その記憶が語りかけていた。時の流れの変化の中に何かを築き、受け継がれていく人の思い。その意味を、樹雨はこの試みの中で知り、移り変わりを受け入れていくことができたことを、聴衆に打ち明けた。生徒会最後の活動を島への感謝で締めくくった樹雨に、沸き立った拍手が鳴り止むことはない。
<ミソラルート>
その真意が確かなのか判然としない告白を、以前にミソラから受けていた神。生徒会を通して見る彼女の姿はいつでも真摯で、その好意をいつしか素直に受け入れていた神は、遅まきながら自身の気持ちを伝える。
恋人となったミソラと、幼馴染であるのの。一方の変化は友人だった二人の間に、微妙な溝を穿ち始めた。二人の仲を応援しながらもふと思いつめるののと、幼馴染の近さに時として不機嫌さを見せるミソラ。そんな折、荷物が荒らされた上に尾行の気配を感じると、ののは神に訴える。用心の為とそれを確かめた神は、幼馴染の跡をつけていた相手が、自身の恋人であったことを知る。
そして生徒会に入った、美術部に所属するののが心血を注いでいた文化祭の看板が、酷く壊されているという報せ。神はミソラに怒りを爆発させる。その一線をどうにかこらえ、距離を置こうと告げる神だが、それは思いも寄らない結果を生む。
ミソラの自殺。それは出血のショックによる昏倒で未遂に終わったが、当事者の神にしてみれば、屋上から飛び降りることなく済んだのはひとえに幸運からだった。そして神は彼女の日記から、破り捨てられた最後の1ページに記された、ミソラがののに寄せる真情を知った。それがもう一つの、真実を知りえた幸運。
神は日記を破ったであろう、彼女を呼び出す。全ては彼女の狂言で、ミソラが跡をつけていたことも、自身が神と帰ることをそれとなく伝えていた結果だった。神とミソラが自身から離れていくことに耐えられなかったのの。だがそれがミソラを追い込んだことに悔恨の涙を流した。
それを陰から聞いていた、退院したばかりのミソラ。互いの思いを吐露し謝罪を重ねた二人は、これから先まで確かに続く、本当の意味での親友となった。
<悠里ルート>
学園の男子生徒に気を持たせるような言動が何かと多い悠里。神はその行動の裏に、親に決められた許婚の存在と、在学中に相応しい相手を見つけることができるのならばという父親の妥協があったことを知る。そんな副会長に告白をした神と、誰もが畏れる名家の娘に諫言を恐れない下級生に惹かれていた悠里。
悠里と恋人となった神は彼女の父親と面会し、好感触の内に顔合わせを終えた。それからも文化祭に向けて運営準備と広報を順調に進めていた生徒会。だがある日、それまで快く協力を提供していた経済団体らが突如こぞって撤退を始める。それが全て父親の仕業によるものだと悟った悠里は、神に別れ話を切り出した。その頑なな態度にどうすることもできない神。
そうして時は流れ、文化祭の日が訪れた。運営に打ち込むことで悠里を忘れようとした神だがその決意は、ベストカップルコンテストに立つ彼女とその許婚の姿に、あえなく崩れ去る。その誕生日に贈られたネックレスを未だ身につけながら、口づけを迫られ涙を流す悠里を見た神。何かを思うより早くその足が動いた。壇上で、ただ一つ心以外は何も与えられないという男と、自らの思うがままを与えられるという男。悠里は自らに幸せを与えられるのは自分自身だと言い放ち、そして神の手を取り駆け出した。
未来の形は誰にもまだ知れない。だがただ一つ確かなことは、二人の未来がこれから先も続いていくということ。
<トゥルールート・真エンド>
彩京学園を卒業して三年。その日々を緩慢に生きてきた神は、母校の記念式典に出席する為に帰郷する。何とはなしに立ち寄った水科神社。そこで神はクシナダと名乗る女性と出会った。無為に失われた過去への歪な拘泥、その余りにも人間臭い思いを滑稽と捉えたクシナダは、気まぐれにその力を貸す。
そして神は過去を巡る旅人となった。だが誰との未来を歩もうと、あの文化祭を境にまるで幻のように姿を消してしまう遥。見果てぬ彼女の未来を脳裏に浮かべる神は、幾度も過去を繰り返した。それは誰になのか、その頑迷さに呆れさえ抱いたクシナダはこれが最後と言付けて、神を送り出すのだった。
(共通ストーリー経由)
生徒会活動を通して遥に触れた神。文化祭の準備を終えたその夜、その気持ちを打ち明けた神に対して、遥の答えはやはりそれを受け入れられないというものだった。夏の終わりで島を離れてしまう為という理由を聞かされた神は、自身に向けられた好意という言葉を支えに、距離は関係ないと食い下がった。それに頷き、ついには受け入れた遥だが、それでもなお過去を直視することはできない。
その翌日、神に遥から手紙が届く。遥が過去を避けるのはかつて妹を病で亡くした為で、そしてその紅月彼方こそが、幼い頃に神と約束を交わした相手であることが綴られていた。初めからすれ違っていた自分たちが一緒になることはやはりできないと結びに記された手紙。約束の相手を失いながら、それでもなお神の中に残ったのは、今の遥が好きだという気持ちだった。それを寮の扉越しに伝えた神だが、遥は励まし続けた妹が死の淵に残した、なぜ姉でなく自分だったのだろうという言葉に縛られ続けていた。
その意味を知る為に、かつて彼方がその相手に宛てて遥に手渡した、だが会うこと叶わずに紅月の家で眠っていた手紙を、神は封開けた。
彼方の心に時を越えて触れた二人。だが全ては遅かった。かつて遥は、妹を失った悲しみから少しでも遠ざかりたいと願った。それはリンネと名乗るクシナダの従者によって叶えられ、文化祭をその針の終わりにして、未来へ移ることが決まっていた。
だがクシナダはそんな覚えはないと口にする。リンネとは死神であり、自身と神のかかわりを感じて現れたのだろうと。遥との血判書を破り捨てれば契約は破棄できるといいながら、全くその気はないリンネ。
そして文化祭の日。生徒会の仲間たちに全てを打ち明けその協力を得た神は、リンネが余裕綽々で始めた血判書を巡るゲームに勝利する。出し抜かれ面子を失い怒り狂うリンネだが、神は遥に代わって自ら新たな契約者として名乗り出た。
そして三年後。あるべき時間へと還った神はそこで、遥と再会する。学園の閉鎖に至るまで何も起こらなかったはずの世界で、神はその表情を涙で崩した遥を前にする。その男を全ての人が留めたことで、統合された二つの世界の記憶。そして遥は仲間たちが待つ場所へ導く、その手を差し出した。
<プレイ時間>
遥バッドエンド(初回プレイルート)9時間20分、千郷バッドエンド31分、椎ルート4時間13分、樹雨ルート5時間17分、ミソラルート5時間37分、ののバッドエンド34分、悠里ルート4時間35分、トゥルールート(共通パートスキップ)4時間57分、遥回収20分。計35時間24分。誠也の部屋様攻略参照。
<グラフィッカー情報・敬称略>
夕燈とび(CG監修)、かやか、空木、アマクラ(原画)
<あとがき・5/16>
ぬこで一番ストーリーが面白かったでつ。読後のしんみり感はワールズワールズの方が強かったけど、でもやっぱりハッピーエンドだよねという趣きの方が好きです。
ぬこは1年に1作出るかどうかなので次回作まで待つのが辛いです。いつも思うことですが。
(海空のフラグメンツ:感想)
2014/4/25
©root nuko
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:4919字)
<ストーリー>
近場の離島である七色島の彩京学園に編入することとなった中上神。一つ年下の幼馴染、下上ののと共に入学式に向かう神だが、そこで学園長が口にしたのは、今学期限りでの廃校という、新入生のみならず在校生にも寝耳に水の話だった。
そんな中で神は生徒会への所属を志向する。その理由は、幼い頃夏の度に出会った紅月遥という少女との、いつか同じ学園に通い日常を送るという約束からだった。今では生徒会会長となっていた遥だが、探りを入れられたその頃の出来事に反応を示しながらも、なぜか神に拒絶を見せる。
寮で出会い頭にぶつかり、それを契機に親しくなった下級生の睦月ミソラと共に、幾度目かになる生徒会室を訪ねた神。こんな状況だからこそ学園と生徒たちの為に何かをしたいというその熱意は、副会長である西ノ宮悠里を動かす。書記の黒木樹雨、会計の姉川椎も賛意を示し、それを無下にできない遥はしぶしぶではあるが、神とミソラを役員に迎えた。
そして島の名家令嬢である悠里が語りだした学園閉鎖の理由。それは島全体が、莫大な経済効果を見込める世界遺産に最終推薦され、特に旧迎賓館と大聖堂をその校舎として利用する生徒たちが遺産保全には厄介な為だった。生徒会は密かに夏の文化祭を目指すが、学園側の感触はやはり冴えない。
だが休日明け、登校した神はそこで、学生の半数を率いた樹雨と椎の、校舎占拠を伴う抗議デモに遭遇する。その与り知らぬ話に遥さえ動揺を隠せない。強硬なデモ活動に対して数度の折衝の結果、一ヶ月で全生徒の8割に至る署名が集まれば計画を白紙撤回すると提案した学園側。樹雨たちは方々を駆け回って署名集めに奔走するが、全ての生徒が学園の存続を願っているわけではなかった。
それでも遥の力添えもあり、樹雨たちは期限当日にどうにか規定分の署名を集めきった。そこへにわかに現れた、署名を済ませておきながら撤回を叫び出す造反組。その明らかな学園側の仕込みに、樹雨たちには打つ手がない。だが学園理事たちが署名を受理し幕引きを図ろうとしたその場に、ケーキの箱を持った悠里が現れる。中には自身が集めた、幾らかの署名が収められていると語る悠里。規定数まではたったの7票という焦燥と、島の実力者の娘である悠里の強い姿勢に、理事たちはその妥協案を呑んだ。すなわち、文化祭の実施だけは認めるという特例。悠里のハッタリによって、彼女たちの最後の矜持だけは守られた。
<椎ルート>
水科神社の係累ながら神を信じない天才肌の、手に嵌めたパペット人形を介してでしか他人と意思の疎通ができない椎。そんな彼女が紛失した人形を一緒になって探した経緯から、神は椎を意識し始める。翌日そのお礼という手作りのケーキを手渡された神は照れ隠しから、その意図を尋ねた。互いに自身の気持ちのありかに気づき、そして恋人となった二人。
だが椎が海外の大学機関から幾度も招聘を受けては断っていたことを知った神は、それが自身に向けられた思いの為だとよく知りながらも、彼女の背を押した。そして神は、急遽出場の取り止めがあり穴が開いた文化祭のステージに、生徒会での催しを思い立つ。その意味するところを理解した椎は躊躇しながらも最後には、生徒会の仲間たちを信じることを決めた。
迎えた文化祭の日、予定から大幅に遅れた公演時間間近に現れた椎。それは神が事前に調べをつけていた、椎に以前パペット人形を譲ってくれた好々爺にそれを返す為だった。全てを吹っ切った椎の歌声は観客全てを魅了し、生徒会による演奏は成功裏に終わった。
そしてその舞台裏に現れた、椎が病院まで出向いて会えなかったはずの老人。認知症が進み現在では何も覚えていないはずながら、その人形を見た一瞬だけ過去を思い出したかのように学園を訪れたいと口にしたのだと、付添い人の息子は椎に語った。椎は涙ながらに、得がたい友人と思い出を結んでくれたその老人の手を握り、積年の感謝を伝える。彼にそれが届いたのかそうでないのか。だがそれでも老人は目を細め、椎の小さな手を握り返した。
<樹雨ルート>
生徒会や数少ない友人を除いた周囲から、マニッシュ的な佇まいによる尊敬を集めているものの、近寄りがたい存在と見られている樹雨。だが神はそんな彼女が、朗らかながらどこか抜けた言動もある、普通の少女であることを、その活動を通して知っていた。
樹雨から、学園の存続を願う行動に、島の平穏を望んでいた今は亡き両親の思いを重ねていたことを聞かされた神。廃校の決定に諦観を隠せない樹雨に、何か自身にできることはないだろうかと考え始める。それは遥の力添えもあり、文化祭に発表する校史編纂という結果を結んだ。
樹雨にそのお礼と、食事に誘われた神はその帰り際、彼女から告白を受ける。神もまた自らの気持ちを伝え、二人は恋人となった。その一方で作成のコンセプトに迷い、はかどらない校史編纂。そんな中で区画整理の煽りを受け、僻地の集落に最後まで残っていた樹雨の実家が取り壊されることになった。両親との思い出の詰まったよすがが失われていく様を見た樹雨は、その思いを胸に決意を新たにする。
そして文化祭の日。集まった聴衆に披露された編集映像には、島の人々の郷里に懸ける素朴な思いが吐露されたインタビューと、祖父母から父母へ、そして今を生きる自身たちに至る写真が並べられ、失われた島の情景が綴られていた。変わっていく故郷。そこに寂しさはあれど、変わらない人の営みがいつでもそこにあったことは、その記憶が語りかけていた。時の流れの変化の中に何かを築き、受け継がれていく人の思い。その意味を、樹雨はこの試みの中で知り、移り変わりを受け入れていくことができたことを、聴衆に打ち明けた。生徒会最後の活動を島への感謝で締めくくった樹雨に、沸き立った拍手が鳴り止むことはない。
<ミソラルート>
その真意が確かなのか判然としない告白を、以前にミソラから受けていた神。生徒会を通して見る彼女の姿はいつでも真摯で、その好意をいつしか素直に受け入れていた神は、遅まきながら自身の気持ちを伝える。
恋人となったミソラと、幼馴染であるのの。一方の変化は友人だった二人の間に、微妙な溝を穿ち始めた。二人の仲を応援しながらもふと思いつめるののと、幼馴染の近さに時として不機嫌さを見せるミソラ。そんな折、荷物が荒らされた上に尾行の気配を感じると、ののは神に訴える。用心の為とそれを確かめた神は、幼馴染の跡をつけていた相手が、自身の恋人であったことを知る。
そして生徒会に入った、美術部に所属するののが心血を注いでいた文化祭の看板が、酷く壊されているという報せ。神はミソラに怒りを爆発させる。その一線をどうにかこらえ、距離を置こうと告げる神だが、それは思いも寄らない結果を生む。
ミソラの自殺。それは出血のショックによる昏倒で未遂に終わったが、当事者の神にしてみれば、屋上から飛び降りることなく済んだのはひとえに幸運からだった。そして神は彼女の日記から、破り捨てられた最後の1ページに記された、ミソラがののに寄せる真情を知った。それがもう一つの、真実を知りえた幸運。
神は日記を破ったであろう、彼女を呼び出す。全ては彼女の狂言で、ミソラが跡をつけていたことも、自身が神と帰ることをそれとなく伝えていた結果だった。神とミソラが自身から離れていくことに耐えられなかったのの。だがそれがミソラを追い込んだことに悔恨の涙を流した。
それを陰から聞いていた、退院したばかりのミソラ。互いの思いを吐露し謝罪を重ねた二人は、これから先まで確かに続く、本当の意味での親友となった。
<悠里ルート>
学園の男子生徒に気を持たせるような言動が何かと多い悠里。神はその行動の裏に、親に決められた許婚の存在と、在学中に相応しい相手を見つけることができるのならばという父親の妥協があったことを知る。そんな副会長に告白をした神と、誰もが畏れる名家の娘に諫言を恐れない下級生に惹かれていた悠里。
悠里と恋人となった神は彼女の父親と面会し、好感触の内に顔合わせを終えた。それからも文化祭に向けて運営準備と広報を順調に進めていた生徒会。だがある日、それまで快く協力を提供していた経済団体らが突如こぞって撤退を始める。それが全て父親の仕業によるものだと悟った悠里は、神に別れ話を切り出した。その頑なな態度にどうすることもできない神。
そうして時は流れ、文化祭の日が訪れた。運営に打ち込むことで悠里を忘れようとした神だがその決意は、ベストカップルコンテストに立つ彼女とその許婚の姿に、あえなく崩れ去る。その誕生日に贈られたネックレスを未だ身につけながら、口づけを迫られ涙を流す悠里を見た神。何かを思うより早くその足が動いた。壇上で、ただ一つ心以外は何も与えられないという男と、自らの思うがままを与えられるという男。悠里は自らに幸せを与えられるのは自分自身だと言い放ち、そして神の手を取り駆け出した。
未来の形は誰にもまだ知れない。だがただ一つ確かなことは、二人の未来がこれから先も続いていくということ。
<トゥルールート・真エンド>
彩京学園を卒業して三年。その日々を緩慢に生きてきた神は、母校の記念式典に出席する為に帰郷する。何とはなしに立ち寄った水科神社。そこで神はクシナダと名乗る女性と出会った。無為に失われた過去への歪な拘泥、その余りにも人間臭い思いを滑稽と捉えたクシナダは、気まぐれにその力を貸す。
そして神は過去を巡る旅人となった。だが誰との未来を歩もうと、あの文化祭を境にまるで幻のように姿を消してしまう遥。見果てぬ彼女の未来を脳裏に浮かべる神は、幾度も過去を繰り返した。それは誰になのか、その頑迷さに呆れさえ抱いたクシナダはこれが最後と言付けて、神を送り出すのだった。
(共通ストーリー経由)
生徒会活動を通して遥に触れた神。文化祭の準備を終えたその夜、その気持ちを打ち明けた神に対して、遥の答えはやはりそれを受け入れられないというものだった。夏の終わりで島を離れてしまう為という理由を聞かされた神は、自身に向けられた好意という言葉を支えに、距離は関係ないと食い下がった。それに頷き、ついには受け入れた遥だが、それでもなお過去を直視することはできない。
その翌日、神に遥から手紙が届く。遥が過去を避けるのはかつて妹を病で亡くした為で、そしてその紅月彼方こそが、幼い頃に神と約束を交わした相手であることが綴られていた。初めからすれ違っていた自分たちが一緒になることはやはりできないと結びに記された手紙。約束の相手を失いながら、それでもなお神の中に残ったのは、今の遥が好きだという気持ちだった。それを寮の扉越しに伝えた神だが、遥は励まし続けた妹が死の淵に残した、なぜ姉でなく自分だったのだろうという言葉に縛られ続けていた。
その意味を知る為に、かつて彼方がその相手に宛てて遥に手渡した、だが会うこと叶わずに紅月の家で眠っていた手紙を、神は封開けた。
彼方の心に時を越えて触れた二人。だが全ては遅かった。かつて遥は、妹を失った悲しみから少しでも遠ざかりたいと願った。それはリンネと名乗るクシナダの従者によって叶えられ、文化祭をその針の終わりにして、未来へ移ることが決まっていた。
だがクシナダはそんな覚えはないと口にする。リンネとは死神であり、自身と神のかかわりを感じて現れたのだろうと。遥との血判書を破り捨てれば契約は破棄できるといいながら、全くその気はないリンネ。
そして文化祭の日。生徒会の仲間たちに全てを打ち明けその協力を得た神は、リンネが余裕綽々で始めた血判書を巡るゲームに勝利する。出し抜かれ面子を失い怒り狂うリンネだが、神は遥に代わって自ら新たな契約者として名乗り出た。
そして三年後。あるべき時間へと還った神はそこで、遥と再会する。学園の閉鎖に至るまで何も起こらなかったはずの世界で、神はその表情を涙で崩した遥を前にする。その男を全ての人が留めたことで、統合された二つの世界の記憶。そして遥は仲間たちが待つ場所へ導く、その手を差し出した。
<プレイ時間>
遥バッドエンド(初回プレイルート)9時間20分、千郷バッドエンド31分、椎ルート4時間13分、樹雨ルート5時間17分、ミソラルート5時間37分、ののバッドエンド34分、悠里ルート4時間35分、トゥルールート(共通パートスキップ)4時間57分、遥回収20分。計35時間24分。誠也の部屋様攻略参照。
<グラフィッカー情報・敬称略>
夕燈とび(CG監修)、かやか、空木、アマクラ(原画)
<あとがき・5/16>
ぬこで一番ストーリーが面白かったでつ。読後のしんみり感はワールズワールズの方が強かったけど、でもやっぱりハッピーエンドだよねという趣きの方が好きです。
ぬこは1年に1作出るかどうかなので次回作まで待つのが辛いです。いつも思うことですが。
(海空のフラグメンツ:感想)
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