C¥Documents and Settings¥User¥My Document¥脳内彼女 プレイ済エロゲのストーリーを脳内に書き残しておく為のブロg彼女にドキュメントフォルダ開けられたら死ぬほど殴られた
注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
失われた未来を求めて À la recherche du futur perdu (TRUMPLE)
2010/11/26
©TRUMPLE
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:4435字)
<ストーリー>
<2008.10.1>
秋山奏が所属する内浜学園天文学会。奏の幼馴染である佐々木佳織、唯一の上級生である華宮凪沙、学会長である支倉愛理に囲まれた奏はある日、生徒会から文化祭に向けての庶務の補佐を頼まれる。
文化祭に催しをねじ込もうと図る柔道部とのいざこざの結果、佳織に付き添われ保健室にいた奏。その時、地震にも似た振動が響き、二人は上階の5階へと走る。そこには昨日付けで転入した古川ゆいと名乗る、全裸の少女がいた。初対面で奏の名を呟いたゆいは、何があったのかという二人の質問に言葉を濁した。その翌日天文学会に入部したゆい。奏にどこか思うような素振りを見せながらもそれを口にはしない彼女に、佳織と奏はそれぞれに複雑な思いを抱く。(※1)
生徒会に解決を頼まれた、学園で噂される幽霊話。愛理はそれがゆいではないかと、奏に打ち明ける。ゆいに対する言い知れない胸のざわめきを感じた奏。
両親が研究の為に佐々木の家に奏を預けていることで、住まいも同じである佳織。自室でふとした話から切ない雰囲気となった二人は口づけを交わすが、先走った奏に胸を触れられた佳織はその身を引く。すれ違う奏はどうにか謝ろうとするものの、そのきっかけがつかめない。だが柔道部員に連れ去られた佳織を助け出したことは二人の溝を埋める契機となった。あの時は口にしていなかったその気持ちを伝えた奏。そして二人は幼馴染から恋人となった。
<佳織エンド>
だがその数日後、佳織が事故にあったという報せが奏の元に飛び込む。手術は成功したものの植物状態。いつのまにか姿を消したゆいを除く部員たちに声をかけられた奏は、長い間部室にあり謎だった、人の記憶を記録し再生できるのではないかというAIユニットの話を聞かせられる。
その十数年後。奏と愛理はついに計画を実行に移す日を迎えた。二人の目の前にはかつての記憶に留まる、ゆいの姿。過去を拒絶し失われた未来を求める、それは彼らが全てを賭けた、世界への背理。
<佳織トゥルーエンド>
その数日後、佳織が事故に巻き込まれたという報せを聞いた奏。だが間一髪のところでバスを避けた佳織はことなきを得た。佳織を失いかけた奏は改めて彼女の重みに気づいた。そして無事開催された文化祭を見回る二人。揉め事か、どこからか響いた愛理の怒声に、苦笑を交わした二人は駆け出すのだった。
<2008.10.1'>
(※1)
生徒会に解決を頼まれた、世間を騒がせる眠り病の調査を始めた天文学会。そこに愛理が数年を経たような容姿の、彼女の親戚を名乗る女性が現れる。変化があると人知れず呟いた彼女は、精神が肉体から切り離された為という眠り病についての所感を残して、その場を後にした。
入れ替わるように姿を見せた愛理。だがまるで何か大きな重圧に怯えていているかのような彼女に、奏は危機感を持つ。そんな彼女を奏は抱きとめ、愛理は心と肉体の繋がりを求めた。この先起きる何かが自身の生涯の選択を左右する。そんな理由なき話を後日聞いた奏は、恋人となった愛理を元気付ける為のデートを思い立つ。そして佳織からその仲を祝福された愛理は、彼女と涙交じりの抱擁を交わした。
<愛理エンド>
それをあざ笑うかのような、眠り病のアンケートをとっていた佳織がバスに追突されたという報せ。そして奏たちはゆいから、彼女が歴史を変える為に過去に送られていたことと、未来での再会を伝えられる。
その十数年後。奏と愛理は自らが創り出したゆいを前に、その決意を彼女に託す。道程までは介入できても佳織の因果までは変えられなかった。だが二人は諦めない。失われた未来を掴むまで。
<愛理トゥルーエンド>
そして迎えた文化祭。出し物を満喫した愛理は奏の手を引きながら、鼻息も荒く次の催しへと向かおうとする。こんな賑やかな日々も悪くはないと口元を緩めた奏は、その手を握り返すのだった。
<2008.10.1''>
(※1)
ゆいが倒れていた場所でもある、事故が多発する資材置場の調査を始めた天文学会。そこに愛理が数年を経たような容姿の、彼女の親戚を名乗る女性が現れる。変化があると人知れず呟いた彼女は、いずこかで起きる微細振動が荷物に影響を与えている為という事故についての所感を残して、その場を後にした。
調査を凪沙と行う内に、年上の女性らしく男子を手玉に取る、だが聡明で気取ったところのない彼女に、惹かれる自身を奏は自覚していく。思いがけず凪沙にデートに誘われた奏は、恋人との甘いそれのようなひとときを過ごす。だが凪沙はそれが得がたいもののように、別れ際に哀愁を残して去った。
<凪沙エンド>
翌日凪沙は大企業の令嬢としての、自身の政略結婚について奏に明かす。幾千の人間の生活を預かる一族として、凪沙の決意は固い。そこに入った、佳織が乗っていたバスが横転したという報せ。そして奏は愛理から、ゆいが残したその話を伝えられる。
その十数年後。奏と愛理は自らが創り出したゆいを前に、その決意を彼女に託す。道程までは介入できても佳織の因果までは変えられなかった。だが二人は諦めない。失われた未来を掴むまで。
<凪沙トゥルーエンド>
翌日凪沙の見合い話を知ってしまった奏。好きだというその気持ち一つだけで見合いの場に乗り込んできた奏や、それを追って現れた天文学会の面々を見た凪沙の見合い相手は、何か眩しいものを見るように目を細める。将来華宮を背負うことになるだろう二人が、誠実なビジネスパートナーとなるのならばと、彼は身を引いた。
凪沙が学園を卒業して数年の時が流れ、婿養子として華宮の家に入った奏。年月を重ねて夫婦となった今でも、二人のある意味での恋情は変わらない。それはまるで、未だ恋に浮かされているかのように。
<2008.10.1'''>
(※1)
ゆいの意見から、三つの事件全てを調べ始めた天文学会。事実を明かせないながらも、決して捨て去れない目的の為に、ゆいは自身が生まれたという。奏はそんな彼女にも自由を、そして自分たちに向き合って欲しいと願った。
だがゆいは数日後に全ての事件が消え去り、そしてあるいは自身も消えると明かす。その予言めいた確信の言葉に、奏は初めて彼女を失いたくないと強く思った。ゆいも渦巻く感情に戸惑いを抱きながらも、その使命を忘れることはできない。埋め合うことのできない隙間をそれでも満たすように二人は互いを求め合う。
そしてその当日ゆいは、佳織が事故にあうことを奏に明かす。佳織とバスが重なるわずかな刹那においての、最小の歴史改変でなければ、未来の運命もまた大きく変わってしまう。その為に佳織を直接的に保護することのできない二人。そしてバス停に駆けつけた二人の前で惨劇は起こってしまった。
佳織に事故が起きることでそれを変えようと、未来の奏と愛理の手で生み出されるゆい。にもかかわらず、まるで幽霊のようにゆいは消えていく。それはこの先の未来にゆいが生み出されない、もしくは過去に送り出されることがないという証左だった。
<ゆいエンド1>
その十数年後。過去への介入を繰り返し、だが佳織を縛る因果の鎖を断ち切れないでいた奏と愛理。眠り続ける佳織の肉体はその間にも限界が迫り続け、予備策であるゆいの素体への精神移植も、実行に移せるほどの成果は上がっていない。
そして愛理に限界が訪れる。全てを忘れ、十数年思い続けた奏と二人だけの世界に沈むこと。それが壊れた彼女の願いだった。それはあり得た、未来の一つの可能性。
<ゆいエンド2>
その十数年後。過去への介入を繰り返し、だが佳織を縛る因果の鎖を断ち切れないでいた奏と愛理。眠り続ける佳織の肉体はその間にも限界が迫り続け、予備策であるゆいの素体への精神移植も、実行に移せるほどの成果は上がっていない。そしてだからこそ、奏は愛理の制止を振り切り、強引に開いた過去の扉をくぐる。自らの手で過去を変える為に。例えそれが、この世界における自らの肉体の消滅という代償を伴っても。
そして迎えた二度目の時代。ゆいに全てを明かした奏はその過去を、再び過ごす現実のものとしてなぞり始める。記憶のそれを拭い去り、歴史を大きく改変することを選んだ奏。事前に自らが乗り込み、ブレーキのきかない車体を擁壁にぶつけることで強引にバスを停車させた。
二人は因果に打ち勝った。だが佳織が事故にあわなかったことで、ゆいはその存在の拠り所を失う。消えていく彼女を目の前にその瞬間、奏の脳裏に閃くものがあった。5階の動かないエレベーター、それは未来と過去を繋ぐ出口だったが、奏はそのコンソールを操作しそこに過去への扉を展開する。彼女を過去に送り出した奏は、自分ではない自身に未来への可能性を託した。
< YUIS 2008.10.1.y >
2008年10月1日から始まる2週間を再びたどり始めたゆい。だがそこに彼女の愛した奏はいない。そしてゆいは奏と佳織が結ばれていく光景を再び目の当たりにする。
あの時奏から最後に言付けられていた、部室にあるAIユニットに自身の記憶をバックアップし終えたゆいは、自身が愛した男を思いながらその日、16日を待った。だが一度未来が変わったことでか、因果はその定めを沿おうと、より強力に世界に干渉する。
崖上にあった工事現場のクレーンが崩落を起こしバスを飲み込みながらバス停を押し潰す。不安定に揺れるクレーンを見たゆいは、自らが描いた予測を阻止する為に走った。揺れるクレーンを押し大きく傾いたところでアームを引き、バス停とは逆の自身のいる方向に引き倒す。
倒壊に巻き込まれたゆい。投げ出した身体の、その指先一つさえ満足に動かすことが出来ない。佳織を守り抜き、たった一人で因果に再び打ち勝ったことにこの上ない満足感を覚えたゆいは、愛しいその名を呟きながら意識を手放した。(ゆいエンド3)
<2008.11.17->
佳織がバス待ちをしていた傍で唐突な事故が起きてから一ヵ月後。奏たちはあるべき何かがないような、何かを忘れているような違和感に、居心地の悪い思いを持て余していた。そこへ生徒会会長が持ってきた、事故現場に落ちていたという天文学会の部員用ピンバッジ。それは時を置き奏たちに、確かにそこにいた一人の少女の姿を思い描かせる。そして奏たちは部室に置かれていた謎のAIユニットと接続された形跡のある凪沙のPCに、出所が不明のファイルを見た。
そこにあったのは、彼女がたどった幾千の、今はもうこの世界に統合され消えた、いつかどこかであった世界の記憶の全てだった。そしてその事実を知った奏たちは、失った未来に向けて最後の試行を始めた。
それから14年後。見守る一同の前で、ゆいは眠りから覚める。新しい肉体に、残されていた記憶を移植されて。一足先に研究所を出た仲間たちを追い、奏はゆいの手を取る。かつて彼女が夢見て果たせなかった、14年ぶりの文化祭、その場へと。(ゆいグランドエンド)
<プレイ時間>
佳織エンド(初回)4時間19分、佳織トゥルーエンド時間36分、佳織ルート回収2分、愛理エンド(以下ルート全てプロローグスキップ)3時間17分、愛理トゥルーエンド46分、凪沙エンド2時間37分、凪沙トゥルーエンド1時間33分、ゆいエンド1・3時間30分、ゆいエンド2・1時間15分、ゆいエンド3・1時間41分、ゆいグランドエンド33分。計20時間9分。誠也の部屋様攻略参照。
<グラフィッカー情報・敬称略>
日野カツヒコ、紺乃犬呉、浅葱純、木村豊也、アマクラ(rootnuko)、夕燈とび(rootnuko)、くない瓜、なーこ、珈琲貴族、ねこむ。、山本縞、SALT、ukyo_rst、しらび、浅野晃、むまいづみ、シヴァ。、浅海わか、飛竜、笹森トモエ、clochette、有限会社オービット、minori
<あとがき・3/27>
ループものは何度も同じ展開を見なければならないのであまり好きではないんですが、運命・定めに抗う話は非常に好きだったりします。決して幸せとはいえない境遇の、儚げな少女が絶対的なものを相手に苦しみながら戦い、ついには幸福な結末を勝ち取るという、いい意味での因果応報。読んだ後にさわやかな気持ちにさせてくれるお話です。
アニメは…ゆいグランドルートが脚本でしょうか。基本世界+ループ1回+真世界の3シナリオで12話は尺的にきつそうですが、しかしこのルート以外をアニメ化する意味はなさそうですね。
2010/11/26
©TRUMPLE
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:4435字)
<ストーリー>
<2008.10.1>
秋山奏が所属する内浜学園天文学会。奏の幼馴染である佐々木佳織、唯一の上級生である華宮凪沙、学会長である支倉愛理に囲まれた奏はある日、生徒会から文化祭に向けての庶務の補佐を頼まれる。
文化祭に催しをねじ込もうと図る柔道部とのいざこざの結果、佳織に付き添われ保健室にいた奏。その時、地震にも似た振動が響き、二人は上階の5階へと走る。そこには昨日付けで転入した古川ゆいと名乗る、全裸の少女がいた。初対面で奏の名を呟いたゆいは、何があったのかという二人の質問に言葉を濁した。その翌日天文学会に入部したゆい。奏にどこか思うような素振りを見せながらもそれを口にはしない彼女に、佳織と奏はそれぞれに複雑な思いを抱く。(※1)
生徒会に解決を頼まれた、学園で噂される幽霊話。愛理はそれがゆいではないかと、奏に打ち明ける。ゆいに対する言い知れない胸のざわめきを感じた奏。
両親が研究の為に佐々木の家に奏を預けていることで、住まいも同じである佳織。自室でふとした話から切ない雰囲気となった二人は口づけを交わすが、先走った奏に胸を触れられた佳織はその身を引く。すれ違う奏はどうにか謝ろうとするものの、そのきっかけがつかめない。だが柔道部員に連れ去られた佳織を助け出したことは二人の溝を埋める契機となった。あの時は口にしていなかったその気持ちを伝えた奏。そして二人は幼馴染から恋人となった。
<佳織エンド>
だがその数日後、佳織が事故にあったという報せが奏の元に飛び込む。手術は成功したものの植物状態。いつのまにか姿を消したゆいを除く部員たちに声をかけられた奏は、長い間部室にあり謎だった、人の記憶を記録し再生できるのではないかというAIユニットの話を聞かせられる。
その十数年後。奏と愛理はついに計画を実行に移す日を迎えた。二人の目の前にはかつての記憶に留まる、ゆいの姿。過去を拒絶し失われた未来を求める、それは彼らが全てを賭けた、世界への背理。
<佳織トゥルーエンド>
その数日後、佳織が事故に巻き込まれたという報せを聞いた奏。だが間一髪のところでバスを避けた佳織はことなきを得た。佳織を失いかけた奏は改めて彼女の重みに気づいた。そして無事開催された文化祭を見回る二人。揉め事か、どこからか響いた愛理の怒声に、苦笑を交わした二人は駆け出すのだった。
<2008.10.1'>
(※1)
生徒会に解決を頼まれた、世間を騒がせる眠り病の調査を始めた天文学会。そこに愛理が数年を経たような容姿の、彼女の親戚を名乗る女性が現れる。変化があると人知れず呟いた彼女は、精神が肉体から切り離された為という眠り病についての所感を残して、その場を後にした。
入れ替わるように姿を見せた愛理。だがまるで何か大きな重圧に怯えていているかのような彼女に、奏は危機感を持つ。そんな彼女を奏は抱きとめ、愛理は心と肉体の繋がりを求めた。この先起きる何かが自身の生涯の選択を左右する。そんな理由なき話を後日聞いた奏は、恋人となった愛理を元気付ける為のデートを思い立つ。そして佳織からその仲を祝福された愛理は、彼女と涙交じりの抱擁を交わした。
<愛理エンド>
それをあざ笑うかのような、眠り病のアンケートをとっていた佳織がバスに追突されたという報せ。そして奏たちはゆいから、彼女が歴史を変える為に過去に送られていたことと、未来での再会を伝えられる。
その十数年後。奏と愛理は自らが創り出したゆいを前に、その決意を彼女に託す。道程までは介入できても佳織の因果までは変えられなかった。だが二人は諦めない。失われた未来を掴むまで。
<愛理トゥルーエンド>
そして迎えた文化祭。出し物を満喫した愛理は奏の手を引きながら、鼻息も荒く次の催しへと向かおうとする。こんな賑やかな日々も悪くはないと口元を緩めた奏は、その手を握り返すのだった。
<2008.10.1''>
(※1)
ゆいが倒れていた場所でもある、事故が多発する資材置場の調査を始めた天文学会。そこに愛理が数年を経たような容姿の、彼女の親戚を名乗る女性が現れる。変化があると人知れず呟いた彼女は、いずこかで起きる微細振動が荷物に影響を与えている為という事故についての所感を残して、その場を後にした。
調査を凪沙と行う内に、年上の女性らしく男子を手玉に取る、だが聡明で気取ったところのない彼女に、惹かれる自身を奏は自覚していく。思いがけず凪沙にデートに誘われた奏は、恋人との甘いそれのようなひとときを過ごす。だが凪沙はそれが得がたいもののように、別れ際に哀愁を残して去った。
<凪沙エンド>
翌日凪沙は大企業の令嬢としての、自身の政略結婚について奏に明かす。幾千の人間の生活を預かる一族として、凪沙の決意は固い。そこに入った、佳織が乗っていたバスが横転したという報せ。そして奏は愛理から、ゆいが残したその話を伝えられる。
その十数年後。奏と愛理は自らが創り出したゆいを前に、その決意を彼女に託す。道程までは介入できても佳織の因果までは変えられなかった。だが二人は諦めない。失われた未来を掴むまで。
<凪沙トゥルーエンド>
翌日凪沙の見合い話を知ってしまった奏。好きだというその気持ち一つだけで見合いの場に乗り込んできた奏や、それを追って現れた天文学会の面々を見た凪沙の見合い相手は、何か眩しいものを見るように目を細める。将来華宮を背負うことになるだろう二人が、誠実なビジネスパートナーとなるのならばと、彼は身を引いた。
凪沙が学園を卒業して数年の時が流れ、婿養子として華宮の家に入った奏。年月を重ねて夫婦となった今でも、二人のある意味での恋情は変わらない。それはまるで、未だ恋に浮かされているかのように。
<2008.10.1'''>
(※1)
ゆいの意見から、三つの事件全てを調べ始めた天文学会。事実を明かせないながらも、決して捨て去れない目的の為に、ゆいは自身が生まれたという。奏はそんな彼女にも自由を、そして自分たちに向き合って欲しいと願った。
だがゆいは数日後に全ての事件が消え去り、そしてあるいは自身も消えると明かす。その予言めいた確信の言葉に、奏は初めて彼女を失いたくないと強く思った。ゆいも渦巻く感情に戸惑いを抱きながらも、その使命を忘れることはできない。埋め合うことのできない隙間をそれでも満たすように二人は互いを求め合う。
そしてその当日ゆいは、佳織が事故にあうことを奏に明かす。佳織とバスが重なるわずかな刹那においての、最小の歴史改変でなければ、未来の運命もまた大きく変わってしまう。その為に佳織を直接的に保護することのできない二人。そしてバス停に駆けつけた二人の前で惨劇は起こってしまった。
佳織に事故が起きることでそれを変えようと、未来の奏と愛理の手で生み出されるゆい。にもかかわらず、まるで幽霊のようにゆいは消えていく。それはこの先の未来にゆいが生み出されない、もしくは過去に送り出されることがないという証左だった。
<ゆいエンド1>
その十数年後。過去への介入を繰り返し、だが佳織を縛る因果の鎖を断ち切れないでいた奏と愛理。眠り続ける佳織の肉体はその間にも限界が迫り続け、予備策であるゆいの素体への精神移植も、実行に移せるほどの成果は上がっていない。
そして愛理に限界が訪れる。全てを忘れ、十数年思い続けた奏と二人だけの世界に沈むこと。それが壊れた彼女の願いだった。それはあり得た、未来の一つの可能性。
<ゆいエンド2>
その十数年後。過去への介入を繰り返し、だが佳織を縛る因果の鎖を断ち切れないでいた奏と愛理。眠り続ける佳織の肉体はその間にも限界が迫り続け、予備策であるゆいの素体への精神移植も、実行に移せるほどの成果は上がっていない。そしてだからこそ、奏は愛理の制止を振り切り、強引に開いた過去の扉をくぐる。自らの手で過去を変える為に。例えそれが、この世界における自らの肉体の消滅という代償を伴っても。
そして迎えた二度目の時代。ゆいに全てを明かした奏はその過去を、再び過ごす現実のものとしてなぞり始める。記憶のそれを拭い去り、歴史を大きく改変することを選んだ奏。事前に自らが乗り込み、ブレーキのきかない車体を擁壁にぶつけることで強引にバスを停車させた。
二人は因果に打ち勝った。だが佳織が事故にあわなかったことで、ゆいはその存在の拠り所を失う。消えていく彼女を目の前にその瞬間、奏の脳裏に閃くものがあった。5階の動かないエレベーター、それは未来と過去を繋ぐ出口だったが、奏はそのコンソールを操作しそこに過去への扉を展開する。彼女を過去に送り出した奏は、自分ではない自身に未来への可能性を託した。
< YUIS 2008.10.1.y >
2008年10月1日から始まる2週間を再びたどり始めたゆい。だがそこに彼女の愛した奏はいない。そしてゆいは奏と佳織が結ばれていく光景を再び目の当たりにする。
あの時奏から最後に言付けられていた、部室にあるAIユニットに自身の記憶をバックアップし終えたゆいは、自身が愛した男を思いながらその日、16日を待った。だが一度未来が変わったことでか、因果はその定めを沿おうと、より強力に世界に干渉する。
崖上にあった工事現場のクレーンが崩落を起こしバスを飲み込みながらバス停を押し潰す。不安定に揺れるクレーンを見たゆいは、自らが描いた予測を阻止する為に走った。揺れるクレーンを押し大きく傾いたところでアームを引き、バス停とは逆の自身のいる方向に引き倒す。
倒壊に巻き込まれたゆい。投げ出した身体の、その指先一つさえ満足に動かすことが出来ない。佳織を守り抜き、たった一人で因果に再び打ち勝ったことにこの上ない満足感を覚えたゆいは、愛しいその名を呟きながら意識を手放した。(ゆいエンド3)
<2008.11.17->
佳織がバス待ちをしていた傍で唐突な事故が起きてから一ヵ月後。奏たちはあるべき何かがないような、何かを忘れているような違和感に、居心地の悪い思いを持て余していた。そこへ生徒会会長が持ってきた、事故現場に落ちていたという天文学会の部員用ピンバッジ。それは時を置き奏たちに、確かにそこにいた一人の少女の姿を思い描かせる。そして奏たちは部室に置かれていた謎のAIユニットと接続された形跡のある凪沙のPCに、出所が不明のファイルを見た。
そこにあったのは、彼女がたどった幾千の、今はもうこの世界に統合され消えた、いつかどこかであった世界の記憶の全てだった。そしてその事実を知った奏たちは、失った未来に向けて最後の試行を始めた。
それから14年後。見守る一同の前で、ゆいは眠りから覚める。新しい肉体に、残されていた記憶を移植されて。一足先に研究所を出た仲間たちを追い、奏はゆいの手を取る。かつて彼女が夢見て果たせなかった、14年ぶりの文化祭、その場へと。(ゆいグランドエンド)
<プレイ時間>
佳織エンド(初回)4時間19分、佳織トゥルーエンド時間36分、佳織ルート回収2分、愛理エンド(以下ルート全てプロローグスキップ)3時間17分、愛理トゥルーエンド46分、凪沙エンド2時間37分、凪沙トゥルーエンド1時間33分、ゆいエンド1・3時間30分、ゆいエンド2・1時間15分、ゆいエンド3・1時間41分、ゆいグランドエンド33分。計20時間9分。誠也の部屋様攻略参照。
<グラフィッカー情報・敬称略>
日野カツヒコ、紺乃犬呉、浅葱純、木村豊也、アマクラ(rootnuko)、夕燈とび(rootnuko)、くない瓜、なーこ、珈琲貴族、ねこむ。、山本縞、SALT、ukyo_rst、しらび、浅野晃、むまいづみ、シヴァ。、浅海わか、飛竜、笹森トモエ、clochette、有限会社オービット、minori
<あとがき・3/27>
ループものは何度も同じ展開を見なければならないのであまり好きではないんですが、運命・定めに抗う話は非常に好きだったりします。決して幸せとはいえない境遇の、儚げな少女が絶対的なものを相手に苦しみながら戦い、ついには幸福な結末を勝ち取るという、いい意味での因果応報。読んだ後にさわやかな気持ちにさせてくれるお話です。
アニメは…ゆいグランドルートが脚本でしょうか。基本世界+ループ1回+真世界の3シナリオで12話は尺的にきつそうですが、しかしこのルート以外をアニメ化する意味はなさそうですね。
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