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注意
当ブログは成人男性向けPC用ゲーム(いわゆるエロゲー)のストーリーについてを取り扱っております。
18歳未満の方の閲覧はお控えくださるようお願い致します。
記事はゲームの主要なストーリーについてを記載してありますので、重大なネタバレ要素を多量に含みます。
作品の記事について、未プレイの方及びプレイ予定の方の閲覧は自己責任でお願い致します。
特典内容やゲームについての細かい質問等があればコメントにどうぞ。
ラブレプリカ (Garden)
2013/12/20
©Garden/VisualArt's
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:5526字)
<ストーリー>
モテたいが為にバンドを始めようと思い立った城越沢人。だが部活を設立するには部員が5人必要だった。友人の糸数怜と守弥影士こそ快く入部を決めてくれたが、そこから先が進まない。幼馴染の佐倉みずほを泣き落としにかかるもうまくいかず、途方にくれる中、沢人は屋上で澄んだ歌声を耳にする。それはかつて沢人がその歌を聞き、一目惚れした少女だった。鼻息も荒く入部を頼むが、少女には逃げられてしまう。
そして沢人のクラスに転入生が現れる。それはあの少女、やけに活発な姿に映ったが、亜透藍だった。沢人の頼みを受け入れる藍。それを聞いて動揺したようなみずほも、むくれながら入部を申し出た。楽器の経験者である怜と影士、藍を支柱として、軽音部は文化祭を目指して練習に励み始める。
夏休みの合宿に藍の別荘を借りた軽音部。そこで彼らは藍とは正反対に引っ込み思案な双子の妹、鈴と出会う。そしてホラー映画さながらにボストンバッグに身体を折りたたんで入っていた、沢人の同居人にして従妹である汀千佳。
そんな一同に、沢人の担任であり軽音部の顧問となった氷野咲子が唐突な特別授業を始める。沢人が可愛がっていた学習用教材であるニワトリのエリザベス、その屠殺。それを拒絶しても処分は免れない。最期に好きなだけ餌を与えられ何も知らず喜ぶエリザベス、その首を沢人は断った。供されたその肉の味を噛み締めながら、この世界の成り立ちを議論し始める学生たち。
いつからか世界を蝕み始めた、GODSと名づけられた多臓器不全症。人類の存亡さえ脅かすGODSを前には、その原因遺伝子を取り除いた人体クローン「ラブレプリカ」の臓器移植以外に生存の手段はない。外見は普通の人間と変わらないラブレプリカ。世界は未だ倫理に揺れながら、だがラブレプリカは人類の為に日々殺されている。そして沢人たちは発作で倒れた影士が心臓にGODSを発症していることを知る。クローンにも人権をという信念を持つ影士は、その命を秤にかけられても意思を変えることはない。
翌日、鈴がエリザベスの為に口ずさんだ鎮魂歌は、沢人に勘違いを気づかせる。あの歌声は藍ではなく鈴だった。沢人はそんな彼女をバンドのツインボーカルに招く。みずほと鈴、その双方から好意を向けられ、また沢人も二人に惹かれていく。沢人がその手を取ったのは鈴だった。オリジナル曲にも目処がつき、練習と努力が形になっていくことに昂ぶる軽音部。
だがみずほは沢人を諦め切れない。育児放棄で世界が閉ざされていた幼少の彼女は、沢人に家業の古武道道場に誘われたことで光を得た。その後、沢人は従姉の死で廃人同然となる。そんな幼馴染を救う為にみずほは、剣の達人だった沢人の祖父に自身を斬らせた。祖父が活を入れるべく薄皮を撫でようとし、それをみずほが庇ったことで事故が起きたと思っていた沢人。みずほを支え守っていくのだと結果的に立ち直った沢人には、彼女を肉親のように愛してはいても、恋人として見ることはできない。
だがその夜沢人は知る。突如昏倒し意識を失った鈴がラブレプリカであったことを。
あれから2年。実の妹と思っていた鈴を失った藍は、自身と妹を混同する統合失調症を発症していた。ラブレプリカが脳死を迎えるのは、依存する人間からの愛情を失ったと感じた時。その為鈴を殺したのは自身だという自責を抱える沢人と共に、二人は今でも咲子の元でカウンセリングを続けている。軽音部も鈴のことがあり、沢人たちが最高学年に上がった今でも活動は途絶えたままだった。(※1)
時間は哀しみを癒してはくれなかった。鈴を未だ引きずる沢人を、みずほは解放したいと願う。皆が苦しみ続けている。沢人が笑えないことで。それは沢人にもわかっていた。鈴の存在をないものはできないが、周囲の為に一つの区切りをつけること。そう決心できるほどには、2年という歳月には重みがあった。
千佳が一人部員を務めていた軽音部に、影士を除いて再び集まったメンバーたちは、再びその活動を始めた。(※2)
みずほへの感謝と思いを募らせていく沢人。それはふとした気の緩みから彼女に伝わってしまう。沢人を支えていければ多くを望まないと律していたみずほだが、無意識の内に零した涙はその心の有り様を物語っていた。鈴をひと夏の幻のようにして裏切り続けていくことを、沢人はその墓標へと伝える。
だがそれからほどなくして、藍と入れ替わるようにして鈴の人格が現れた。咲子からこの2年の出来事を伝えられ、そして沢人がみずほと共にいることに衝撃を受ける鈴。その身を引こうとする鈴を前に沢人は、その人格の戻る僅かな時間だけでも、彼女の側にいてやりたいと願った。(※3)
だが実際にはあの時倒れたのは藍であり、この2年間の彼女は藍の人格が表に出ていた鈴だった。判定試薬を使い、彼女がラブレプリカであることを確認した沢人。だが公的機関発行の判定試薬によって、鈴の存在は政府に把握されてしまう。権力者が臓器提供を望めば鈴に拒否権はない。事態を察し各所への根回しを行った鈴の父は、学園卒業後に北欧への移住を決める。(※4)
<藍エンド>
(※1)
かつて自身が好きだった、だが今は記憶にない思い人を、藍は探し始める。時を経るにつれ、藍はその男を沢人であると結論付けた。互いに半身を失った二人はその穴を埋めるように求め合う。恋人として、互いに存在を刻みあった二人。だがそんな日々は唐突な終わりを迎える。ある日待ち合わせた沢人の前には、藍ではなく鈴がいた。自身は鈴なのだと、そういった意識さえなく至極当然に、あの日と全く変わらない無邪気な笑顔を向ける、かつて藍だった少女。
それは普段の悪い冗談ではない。以前に交わしたお守りの中には、その覚悟が手紙として綴られていた。少しずつ自身が消えていく実感と、だが妹の存在を憎く思わないこと、そしていつか自身が還ってくるその時まで待っていて欲しいという願い。
感じていたであろう不安を一言も漏らさなかったことに、沢人は彼女の強さを垣間見た。藍を忘れることなどできない。であれば沢人ができることはただ一つ。再会はいつ果たされるかわからない。だが待ち続ける覚悟は沢人にも持てた。鈴と共に、いつまでも。
<みずほエンド>
(※3)
そして明らかになる、みずほのGODS発症。彼女を救う為にはラブレプリカの臓器が必要で、沢人には鈴以外に頼れる相手はなかった。その意味を知りながら、友人であるみずほの為に、そして何より愛する男の為に、その意志を定めた鈴。みずほから沢人のことを託されていた鈴は、自らが犠牲となることでその未来を否定し、そして姿を消した。
鈴から腎臓の提供を受け、GODSを克服したみずほ。ラブレプリカに感謝という感情を持っていては、それを殺して生き延びていくことはできない。事実人類はそうした犠牲の元に成り立っている。鈴もその為に自らの意志で姿を消した。それでもみずほは鈴に会いたいと願った。会って鈴に、二人の前からいなくなったことを怒り、そして彼女を抱きしめて感謝を伝えたい。それが独りよがりな思いであることはわかっている。だがみずほにとって鈴は掛け替えのない友達だった。二人はその一歩を今踏み出す。
<鈴エンド>
(※4)
みずほのことを考えると、沢人との渡航を喜べない鈴。藍に意識を返そうとする鈴を見た沢人は、藍を消し、みずほを裏切ってでも、二度目の死に別れを拒んだ。だがその直後、みずほの腎臓にGODSの発症が明らかとなる。彼女の命を切り捨てることは、沢人にはできなかった。鈴はその言葉に従い腎臓の提供を受け入れた。
みずほはそれに複雑な感情を抱く。離れつつある沢人の心にくびきを遺す為に、GODSによる死を望むようなふしさえあった。だが沢人にそれを知られ、自身の知らぬ間に臓器を差し出された。みずほには、沢人を裏切ることはできない。そして同時に、少女の生涯を賭けた初恋も終わりを迎えた。
二年越しの文化祭を成功裏に終えた蒼京学園軽音部。そして時が過ぎ、沢人と鈴は今日、結婚の日を迎えた。人間とラブレプリカが結ばれることは、人権意識に厚い北欧においても常ならぬことで、それは認められたものではない。だが二人にとって常識とは、幸福への導き手ではなかった。だからこそ二人は自らの決意でそれを口にした。
ラブレプリカは生殖能力を持たない。鈴は沢人の子をみずほに産んでほしいと願った。みずほはあの日以来沢人を忘れなければと自身に言い聞かせながら、それができないでいた。鈴は子供を産めない苦しみを。みずほは妻になれない苦しみを。それぞれに苦しみを共有していくことは、二人にならできることと思えた。そしてみずほは差し出された二人の手を取った。
<千佳エンド>
(※2)
そんな中、教材のニワトリであるマリアを家に連れ帰ってきた千佳。エリザベスの一件は未だ二人に暗い陰を落としており、その気落ちぶりを見た沢人は特別授業から千佳とマリアを連れ出す。その後現れた咲子に対して、千佳は自身の生い立ちを語った。GODSに絶望した暴漢から沢人を庇って死んだ従姉の千佳。その数日後に沢人の両親によって連れられてきた、同じ名前、同じ顔をした従妹。千佳は自身をラブレプリカだと咲子に告げた。教材を殺して犠牲の意味を知るというカリキュラムが、千佳にとっては真逆の意味にあたると咲子は理解した。
そしてそんな咲子はみずほがGODSを発症したことを沢人に伝える。苦悩の果てに、沢人はそれを千佳に託した。千佳に拭えない傷を強いて、みずほがそれでどんな思いをするのかを知りながら。だが千佳にとってもみずほが家族であることは、泣き崩れる沢人を抱き留める腕の力からも明らかだった。
出場が叶わなかった文化祭。沢人たちは公園で、蒼京学園軽音部の、最初で最後のライブを行った。そのアイノウタはこの残酷な世界に生きる人々へ、ひとかけらの何かを残しただろう。
<怜エンド>
(※2)
兄と鈴から、二つの遺言を託されていた怜。施設で育った怜は、そのDNAを提供することで生活の糧を得ていたが、亜透家が経営するクローン企業に入社した兄が失踪したことに、長年疑念を抱いていた。だからこそ鈴の変調に気がつけなかったことを悔いる怜に、その重責を見た沢人は彼女を支えていきたいと願う。
そして影士は、藍の人格から戻った鈴と沢人たちの前で、移植を受けない理由を語る。藍には二体のラブレプリカが製造され、2年前に脳死した彼女は一人目の、今ここにいる鈴は二人目のラブレプリカだった。オリジナルの人間だった藍は幼い頃の事故で亡くなっており、その際に藍と取り違えられた一人目の鈴が十数年にも渡って真実を明かさなかったのは、すでにGODSが明らかとなっていた影士にその心臓を譲る為だった。影士は一人目の鈴を愛しており、その生存を知れば心臓を受け取ることをしないだろう。そう考えた彼女は、幼い頃に死んだ鈴以外を愛さないと影士に誓わせ、そして自身を脳死へと導いた。彼女も影士を愛していた為に。全てを悟り崩れ落ちた影士。これが2年前の真相だった。罪悪感から心臓を受け取れないでいた影士だが、答えは出ていた。そうまでして遺された彼女の遺志を、沢人たちから諭された影士はついに移植を決断する。
残された後一つの問題。怜の兄の失踪にはやはり鈴たちの父、亜透鴻が関与していた。かつて死んだ妻がなんの冗談か、世界標準の判定試薬によってラブレプリカとされてしまった鴻。妻の人間性を否定された鴻は試薬の欠陥を証明する為に、怜の兄にそれを使用していた。だが実の娘にさえも試薬を使い、ラブレプリカとして殺してしまったことが取り返しのつかない過ちであったことは、本人が一番よくわかっていた。ラブレプリカを破損したとしても殺人には問われない。法で裁くことができない彼は生きて、自身で自らに赦しを与えるしかなかった。怜と沢人はそう結論付けた。
それから時が過ぎ、怜は学園の院に進み、研究室で判定試薬の検証に携わっていた。そして沢人と怜の間には子供が一人いる。子供の為にも二人はこの世界を変えていく決意だった。人が営み、次代に託し続けたように。
<咲子エンド>
(※4)
だが鈴は唐突にラブレプリカとして処理されてしまった。そのことに衝撃を受け、全ての気力を失ってしまった沢人。気がつけば1年の歳月が過ぎ、皆が学園を卒業した中で沢人はラブレプリカについて調べ始める。鈴のような犠牲を出さない為に。GODSの根絶という未来を語る沢人に対して、咲子は好きな男の夢を叶えてやりたいと語った。知見としてGODSの根治は不可能であると咲子から聞かされた沢人は、ラブレプリカに生殖機能を復活させ、せめて人間への理解と人間性を持たせてやりたいと望んだ。
沢人は人間とラブレプリカの垣根をなくす政治活動を、咲子は国連直轄の管理施設教官となりラブレプリカの啓蒙と遺伝子操作を。愛し合った二人はそれぞれの役目を果たす為に、これが最後かもしれない別れを交わす。
それから1年後。沢人はインターネットを通して大衆への影響力を持ち始めていた。完全に完結した、新人類となりうるラブレプリカを前に、GODSに恐れおののく旧人類がどんな思いを抱くのか。そして子を愛しながら最後には引き離され解体される運命を避けられない、そんなラブレプリカがどんな思いを抱くのか。両者の均衡を図る為の沢人の行いは未来に何を生むのか。
鈴を失った自身にはこの道しかない。それを為した先の自身の人生に何が残るのか。それを頭から振り払った沢人は、咲子との果たすべき約束だけを考えた。
<プレイ時間>
ノーマルエンド1(初回・鈴)7時間3分、藍エンド2時間24分、ノーマルエンド2(みずほ)4時間29分、みずほエンド22分、ノーマルエンド3(鈴)1時間10分、鈴エンド1時間38分、千佳エンド2時間4分、怜エンド3時間54分、咲子エンド2時間18分、memento mori13分。計25時間35分。
<印象に残ったシーン>
(作品のテーマはこれのような気がします。避けられない死への問いかけ)
<グラフィッカー情報・敬称略>
高田一廣、S谷、gram6design
<あとがき・2/28>
(プレイ時間が予想より)長く、そして(文章を考えるのが)険しい道のりでした。月末発売日の朝までかかってしまった。でもなんとか旧作全てを終わらせることができました。淫獣の檻?…1○歳女子○生が淫獣になるエロゲです。ストーリーはこれでおわり。おしまいったらおしまいなのッ!
最初は命を賭けても夢を追う、Treating2Uみたいな話かな?と思ったら全然違って、じゃあぼくのたいせつなものかな?と思ったらそれとも微妙に違う。犠牲の美しさはもちろん用いられていて一般的な展開だと、哀しいけど愛はあったんだ!その遺志を継いで強く生きよう!ハッピーエンドで終わるんですが、この作品は最後に回ってくる怜と咲子ルートで、そういうシステムの世界でそれからも生き続けるのだから未来がそれで終わるはずがないよね?と問いかけられているよう。だからといって作中にも明確な答えは出ません。
咲子ルートでは正直…人間が滅びるしかないと思います。鴻の妻、その子供、怜の兄(怜と血の繋がりがあるかは定かではない)、この三人のような、人類に混ざった第三者という、人間から産まれるラブレプリカと同じ遺伝子構造を持つ何者かというのは、愛を失った(繁殖能力を失った)現生人類(僕たち今の人間のことです)のように思えるんですよね。その旧人類と繁殖のできるラブレプリカ(沢人たち現人類)を造り出し、ラブレプリカの支配を阻止する為に自分たちの名を持つジャンク遺伝子を組み込み、メメントモリという宿命を与えた旧人類。血統の薄まりによってかそれでも子孫を残すことは困難だったのか旧人類は廃れていき、そして新人類も同じようにラブレプリカを残して滅びようとしている。なんかそんな話に思えたりしました。
完全に僕個人の妄想ですが。
どうもこのエロゲ、メーカーの同人時代に下敷きになった作品があるようですね?入手不可レベルみたいですが。むほぉやりたいぞな!復刻してほしいぞな!
2013/12/20
©Garden/VisualArt's
(注意)
ゲームのコンセプト上予備知識を得た上でプレイされた場合、娯楽性を大きく損ないます。
プレイ予定の方は閲覧を避けて頂くよう、強く推奨いたします。
キャラ設定等はHPに詳しいのでそちらで確認を。(テキスト:5526字)
<ストーリー>
モテたいが為にバンドを始めようと思い立った城越沢人。だが部活を設立するには部員が5人必要だった。友人の糸数怜と守弥影士こそ快く入部を決めてくれたが、そこから先が進まない。幼馴染の佐倉みずほを泣き落としにかかるもうまくいかず、途方にくれる中、沢人は屋上で澄んだ歌声を耳にする。それはかつて沢人がその歌を聞き、一目惚れした少女だった。鼻息も荒く入部を頼むが、少女には逃げられてしまう。
そして沢人のクラスに転入生が現れる。それはあの少女、やけに活発な姿に映ったが、亜透藍だった。沢人の頼みを受け入れる藍。それを聞いて動揺したようなみずほも、むくれながら入部を申し出た。楽器の経験者である怜と影士、藍を支柱として、軽音部は文化祭を目指して練習に励み始める。
夏休みの合宿に藍の別荘を借りた軽音部。そこで彼らは藍とは正反対に引っ込み思案な双子の妹、鈴と出会う。そしてホラー映画さながらにボストンバッグに身体を折りたたんで入っていた、沢人の同居人にして従妹である汀千佳。
そんな一同に、沢人の担任であり軽音部の顧問となった氷野咲子が唐突な特別授業を始める。沢人が可愛がっていた学習用教材であるニワトリのエリザベス、その屠殺。それを拒絶しても処分は免れない。最期に好きなだけ餌を与えられ何も知らず喜ぶエリザベス、その首を沢人は断った。供されたその肉の味を噛み締めながら、この世界の成り立ちを議論し始める学生たち。
いつからか世界を蝕み始めた、GODSと名づけられた多臓器不全症。人類の存亡さえ脅かすGODSを前には、その原因遺伝子を取り除いた人体クローン「ラブレプリカ」の臓器移植以外に生存の手段はない。外見は普通の人間と変わらないラブレプリカ。世界は未だ倫理に揺れながら、だがラブレプリカは人類の為に日々殺されている。そして沢人たちは発作で倒れた影士が心臓にGODSを発症していることを知る。クローンにも人権をという信念を持つ影士は、その命を秤にかけられても意思を変えることはない。
翌日、鈴がエリザベスの為に口ずさんだ鎮魂歌は、沢人に勘違いを気づかせる。あの歌声は藍ではなく鈴だった。沢人はそんな彼女をバンドのツインボーカルに招く。みずほと鈴、その双方から好意を向けられ、また沢人も二人に惹かれていく。沢人がその手を取ったのは鈴だった。オリジナル曲にも目処がつき、練習と努力が形になっていくことに昂ぶる軽音部。
だがみずほは沢人を諦め切れない。育児放棄で世界が閉ざされていた幼少の彼女は、沢人に家業の古武道道場に誘われたことで光を得た。その後、沢人は従姉の死で廃人同然となる。そんな幼馴染を救う為にみずほは、剣の達人だった沢人の祖父に自身を斬らせた。祖父が活を入れるべく薄皮を撫でようとし、それをみずほが庇ったことで事故が起きたと思っていた沢人。みずほを支え守っていくのだと結果的に立ち直った沢人には、彼女を肉親のように愛してはいても、恋人として見ることはできない。
だがその夜沢人は知る。突如昏倒し意識を失った鈴がラブレプリカであったことを。
あれから2年。実の妹と思っていた鈴を失った藍は、自身と妹を混同する統合失調症を発症していた。ラブレプリカが脳死を迎えるのは、依存する人間からの愛情を失ったと感じた時。その為鈴を殺したのは自身だという自責を抱える沢人と共に、二人は今でも咲子の元でカウンセリングを続けている。軽音部も鈴のことがあり、沢人たちが最高学年に上がった今でも活動は途絶えたままだった。(※1)
時間は哀しみを癒してはくれなかった。鈴を未だ引きずる沢人を、みずほは解放したいと願う。皆が苦しみ続けている。沢人が笑えないことで。それは沢人にもわかっていた。鈴の存在をないものはできないが、周囲の為に一つの区切りをつけること。そう決心できるほどには、2年という歳月には重みがあった。
千佳が一人部員を務めていた軽音部に、影士を除いて再び集まったメンバーたちは、再びその活動を始めた。(※2)
みずほへの感謝と思いを募らせていく沢人。それはふとした気の緩みから彼女に伝わってしまう。沢人を支えていければ多くを望まないと律していたみずほだが、無意識の内に零した涙はその心の有り様を物語っていた。鈴をひと夏の幻のようにして裏切り続けていくことを、沢人はその墓標へと伝える。
だがそれからほどなくして、藍と入れ替わるようにして鈴の人格が現れた。咲子からこの2年の出来事を伝えられ、そして沢人がみずほと共にいることに衝撃を受ける鈴。その身を引こうとする鈴を前に沢人は、その人格の戻る僅かな時間だけでも、彼女の側にいてやりたいと願った。(※3)
だが実際にはあの時倒れたのは藍であり、この2年間の彼女は藍の人格が表に出ていた鈴だった。判定試薬を使い、彼女がラブレプリカであることを確認した沢人。だが公的機関発行の判定試薬によって、鈴の存在は政府に把握されてしまう。権力者が臓器提供を望めば鈴に拒否権はない。事態を察し各所への根回しを行った鈴の父は、学園卒業後に北欧への移住を決める。(※4)
<藍エンド>
(※1)
かつて自身が好きだった、だが今は記憶にない思い人を、藍は探し始める。時を経るにつれ、藍はその男を沢人であると結論付けた。互いに半身を失った二人はその穴を埋めるように求め合う。恋人として、互いに存在を刻みあった二人。だがそんな日々は唐突な終わりを迎える。ある日待ち合わせた沢人の前には、藍ではなく鈴がいた。自身は鈴なのだと、そういった意識さえなく至極当然に、あの日と全く変わらない無邪気な笑顔を向ける、かつて藍だった少女。
それは普段の悪い冗談ではない。以前に交わしたお守りの中には、その覚悟が手紙として綴られていた。少しずつ自身が消えていく実感と、だが妹の存在を憎く思わないこと、そしていつか自身が還ってくるその時まで待っていて欲しいという願い。
感じていたであろう不安を一言も漏らさなかったことに、沢人は彼女の強さを垣間見た。藍を忘れることなどできない。であれば沢人ができることはただ一つ。再会はいつ果たされるかわからない。だが待ち続ける覚悟は沢人にも持てた。鈴と共に、いつまでも。
<みずほエンド>
(※3)
そして明らかになる、みずほのGODS発症。彼女を救う為にはラブレプリカの臓器が必要で、沢人には鈴以外に頼れる相手はなかった。その意味を知りながら、友人であるみずほの為に、そして何より愛する男の為に、その意志を定めた鈴。みずほから沢人のことを託されていた鈴は、自らが犠牲となることでその未来を否定し、そして姿を消した。
鈴から腎臓の提供を受け、GODSを克服したみずほ。ラブレプリカに感謝という感情を持っていては、それを殺して生き延びていくことはできない。事実人類はそうした犠牲の元に成り立っている。鈴もその為に自らの意志で姿を消した。それでもみずほは鈴に会いたいと願った。会って鈴に、二人の前からいなくなったことを怒り、そして彼女を抱きしめて感謝を伝えたい。それが独りよがりな思いであることはわかっている。だがみずほにとって鈴は掛け替えのない友達だった。二人はその一歩を今踏み出す。
<鈴エンド>
(※4)
みずほのことを考えると、沢人との渡航を喜べない鈴。藍に意識を返そうとする鈴を見た沢人は、藍を消し、みずほを裏切ってでも、二度目の死に別れを拒んだ。だがその直後、みずほの腎臓にGODSの発症が明らかとなる。彼女の命を切り捨てることは、沢人にはできなかった。鈴はその言葉に従い腎臓の提供を受け入れた。
みずほはそれに複雑な感情を抱く。離れつつある沢人の心にくびきを遺す為に、GODSによる死を望むようなふしさえあった。だが沢人にそれを知られ、自身の知らぬ間に臓器を差し出された。みずほには、沢人を裏切ることはできない。そして同時に、少女の生涯を賭けた初恋も終わりを迎えた。
二年越しの文化祭を成功裏に終えた蒼京学園軽音部。そして時が過ぎ、沢人と鈴は今日、結婚の日を迎えた。人間とラブレプリカが結ばれることは、人権意識に厚い北欧においても常ならぬことで、それは認められたものではない。だが二人にとって常識とは、幸福への導き手ではなかった。だからこそ二人は自らの決意でそれを口にした。
ラブレプリカは生殖能力を持たない。鈴は沢人の子をみずほに産んでほしいと願った。みずほはあの日以来沢人を忘れなければと自身に言い聞かせながら、それができないでいた。鈴は子供を産めない苦しみを。みずほは妻になれない苦しみを。それぞれに苦しみを共有していくことは、二人にならできることと思えた。そしてみずほは差し出された二人の手を取った。
<千佳エンド>
(※2)
そんな中、教材のニワトリであるマリアを家に連れ帰ってきた千佳。エリザベスの一件は未だ二人に暗い陰を落としており、その気落ちぶりを見た沢人は特別授業から千佳とマリアを連れ出す。その後現れた咲子に対して、千佳は自身の生い立ちを語った。GODSに絶望した暴漢から沢人を庇って死んだ従姉の千佳。その数日後に沢人の両親によって連れられてきた、同じ名前、同じ顔をした従妹。千佳は自身をラブレプリカだと咲子に告げた。教材を殺して犠牲の意味を知るというカリキュラムが、千佳にとっては真逆の意味にあたると咲子は理解した。
そしてそんな咲子はみずほがGODSを発症したことを沢人に伝える。苦悩の果てに、沢人はそれを千佳に託した。千佳に拭えない傷を強いて、みずほがそれでどんな思いをするのかを知りながら。だが千佳にとってもみずほが家族であることは、泣き崩れる沢人を抱き留める腕の力からも明らかだった。
出場が叶わなかった文化祭。沢人たちは公園で、蒼京学園軽音部の、最初で最後のライブを行った。そのアイノウタはこの残酷な世界に生きる人々へ、ひとかけらの何かを残しただろう。
<怜エンド>
(※2)
兄と鈴から、二つの遺言を託されていた怜。施設で育った怜は、そのDNAを提供することで生活の糧を得ていたが、亜透家が経営するクローン企業に入社した兄が失踪したことに、長年疑念を抱いていた。だからこそ鈴の変調に気がつけなかったことを悔いる怜に、その重責を見た沢人は彼女を支えていきたいと願う。
そして影士は、藍の人格から戻った鈴と沢人たちの前で、移植を受けない理由を語る。藍には二体のラブレプリカが製造され、2年前に脳死した彼女は一人目の、今ここにいる鈴は二人目のラブレプリカだった。オリジナルの人間だった藍は幼い頃の事故で亡くなっており、その際に藍と取り違えられた一人目の鈴が十数年にも渡って真実を明かさなかったのは、すでにGODSが明らかとなっていた影士にその心臓を譲る為だった。影士は一人目の鈴を愛しており、その生存を知れば心臓を受け取ることをしないだろう。そう考えた彼女は、幼い頃に死んだ鈴以外を愛さないと影士に誓わせ、そして自身を脳死へと導いた。彼女も影士を愛していた為に。全てを悟り崩れ落ちた影士。これが2年前の真相だった。罪悪感から心臓を受け取れないでいた影士だが、答えは出ていた。そうまでして遺された彼女の遺志を、沢人たちから諭された影士はついに移植を決断する。
残された後一つの問題。怜の兄の失踪にはやはり鈴たちの父、亜透鴻が関与していた。かつて死んだ妻がなんの冗談か、世界標準の判定試薬によってラブレプリカとされてしまった鴻。妻の人間性を否定された鴻は試薬の欠陥を証明する為に、怜の兄にそれを使用していた。だが実の娘にさえも試薬を使い、ラブレプリカとして殺してしまったことが取り返しのつかない過ちであったことは、本人が一番よくわかっていた。ラブレプリカを破損したとしても殺人には問われない。法で裁くことができない彼は生きて、自身で自らに赦しを与えるしかなかった。怜と沢人はそう結論付けた。
それから時が過ぎ、怜は学園の院に進み、研究室で判定試薬の検証に携わっていた。そして沢人と怜の間には子供が一人いる。子供の為にも二人はこの世界を変えていく決意だった。人が営み、次代に託し続けたように。
<咲子エンド>
(※4)
だが鈴は唐突にラブレプリカとして処理されてしまった。そのことに衝撃を受け、全ての気力を失ってしまった沢人。気がつけば1年の歳月が過ぎ、皆が学園を卒業した中で沢人はラブレプリカについて調べ始める。鈴のような犠牲を出さない為に。GODSの根絶という未来を語る沢人に対して、咲子は好きな男の夢を叶えてやりたいと語った。知見としてGODSの根治は不可能であると咲子から聞かされた沢人は、ラブレプリカに生殖機能を復活させ、せめて人間への理解と人間性を持たせてやりたいと望んだ。
沢人は人間とラブレプリカの垣根をなくす政治活動を、咲子は国連直轄の管理施設教官となりラブレプリカの啓蒙と遺伝子操作を。愛し合った二人はそれぞれの役目を果たす為に、これが最後かもしれない別れを交わす。
それから1年後。沢人はインターネットを通して大衆への影響力を持ち始めていた。完全に完結した、新人類となりうるラブレプリカを前に、GODSに恐れおののく旧人類がどんな思いを抱くのか。そして子を愛しながら最後には引き離され解体される運命を避けられない、そんなラブレプリカがどんな思いを抱くのか。両者の均衡を図る為の沢人の行いは未来に何を生むのか。
鈴を失った自身にはこの道しかない。それを為した先の自身の人生に何が残るのか。それを頭から振り払った沢人は、咲子との果たすべき約束だけを考えた。
<プレイ時間>
ノーマルエンド1(初回・鈴)7時間3分、藍エンド2時間24分、ノーマルエンド2(みずほ)4時間29分、みずほエンド22分、ノーマルエンド3(鈴)1時間10分、鈴エンド1時間38分、千佳エンド2時間4分、怜エンド3時間54分、咲子エンド2時間18分、memento mori13分。計25時間35分。
<印象に残ったシーン>
(作品のテーマはこれのような気がします。避けられない死への問いかけ)
<グラフィッカー情報・敬称略>
高田一廣、S谷、gram6design
<あとがき・2/28>
(プレイ時間が予想より)長く、そして(文章を考えるのが)険しい道のりでした。月末発売日の朝までかかってしまった。でもなんとか旧作全てを終わらせることができました。淫獣の檻?…1○歳女子○生が淫獣になるエロゲです。ストーリーはこれでおわり。おしまいったらおしまいなのッ!
最初は命を賭けても夢を追う、Treating2Uみたいな話かな?と思ったら全然違って、じゃあぼくのたいせつなものかな?と思ったらそれとも微妙に違う。犠牲の美しさはもちろん用いられていて一般的な展開だと、哀しいけど愛はあったんだ!その遺志を継いで強く生きよう!ハッピーエンドで終わるんですが、この作品は最後に回ってくる怜と咲子ルートで、そういうシステムの世界でそれからも生き続けるのだから未来がそれで終わるはずがないよね?と問いかけられているよう。だからといって作中にも明確な答えは出ません。
咲子ルートでは正直…人間が滅びるしかないと思います。鴻の妻、その子供、怜の兄(怜と血の繋がりがあるかは定かではない)、この三人のような、人類に混ざった第三者という、人間から産まれるラブレプリカと同じ遺伝子構造を持つ何者かというのは、愛を失った(繁殖能力を失った)現生人類(僕たち今の人間のことです)のように思えるんですよね。その旧人類と繁殖のできるラブレプリカ(沢人たち現人類)を造り出し、ラブレプリカの支配を阻止する為に自分たちの名を持つジャンク遺伝子を組み込み、メメントモリという宿命を与えた旧人類。血統の薄まりによってかそれでも子孫を残すことは困難だったのか旧人類は廃れていき、そして新人類も同じようにラブレプリカを残して滅びようとしている。なんかそんな話に思えたりしました。
完全に僕個人の妄想ですが。
どうもこのエロゲ、メーカーの同人時代に下敷きになった作品があるようですね?入手不可レベルみたいですが。むほぉやりたいぞな!復刻してほしいぞな!
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